建築知識ビルダーズでの巻末連載も三回目になりまして、
今発売中の号では上杉鷹山を取り上げています。

建築エコノミスト 森山のブログ


鷹山の功績については昨今小説にもなり多くの書籍も出版され、
多くの人の知ることとなりましたが、聞くところによればジョン・F・ケネディによって
尊敬する日本の政治家として「Yozan Uesugi」とのコメントが出るまで、
日本では戦後すっかり忘れ去られていたそうです。

戦前は修身の教科書にも取り上げられるほどであったのに、です。
戦後20年ほどでそこまでになってしまっていたということに、
本当に教育の恐ろしさを感じますが、

童門冬二さんの小説などからボツボツ多くの人々にも鷹山の事跡が見直され
たのではないかなと思います。

鷹山の抱えたテーマはいろいろとありますが、有名なものは「三助」と言われるものです。
三助とは、自助、互助、扶助の三つですが、そもそもこの「助ける」という言葉の意味は
「救助するとか引っ張り上げる」とかそういう意味ではなく、「力をそえる、サポートする」
というのがその語源のようです。

そういった意味では、互助「お互いがサポートしあう」、扶助「有力者や為政者がサポートする」
までは分かりやすいのですが、
案外、「自助」というのがわかりにくくなっているのが現代だと思います。

自らを助ける・・と言われてもどういうこと?
俺が俺を助けるの?私が私を救助する?という風に、
個人というものを相互関係から切り離して考えてしまうためです。

以前、「矢沢化のススメ」で検討したように、「自助」とは「俺が俺を助ける」ではなく、
自分を自分から切り離す。
悩んだり考えたりしているときに、自分のことを、脳内で「俺」とか「私」にしない。

「コンビニ店員である山本(自分のこと)を俺がサポートするにはどうすればいいのか?」
「公務員である山田(自分のこと)を俺がサポートするにはどうすればいいのか?」
「母親である鈴木(自分のこと)を私がサポートするにはどうすればいいのか?」

そうすれば、「ただ頑張らなきゃ」ではなく、「たまには休めよ俺」とか、
「ここで逃げちゃ山田じゃねえじゃん」とかいろんな思考の幅が広がると思うんですよね。

と、いうことで上杉鷹山と矢沢永吉には相通じるものがあるのではないか?
という思いつきでした。
休載している「ヤザワ化のススメ」の続きを書かなきゃいけませんね。

もしくは、「建築知識」誌上で「ロックスターに学ぶ設計事務所経営」とかを企画連載したくなりました。