おはようございます、建築エコノミストの森山です。
先週からの箱モノ入魂記事には少し疲れましたので、さらっと軽い話題でいこうとおもいます。

昔は各曜日7時代のTVは子供向けの特撮ヒーロー物が目白押しでしたが、今は日曜日の朝にみんな移行しているみたいですね。現在放映中の番組としては侍戦隊シンケンジャーと仮面ライダーディケイドはその設定から味方キャラデザイン、敵キャラデザインまでなかなか面白いです。

私が子供のころは大御所ウルトラマンシリーズや仮面ライダー、戦隊物の元祖ゴレンジャー、その他趣向を凝らしたヒーロー設定やテーマで様々なヒーロー特撮ものがありました。キカイダー、イナズマン、ライオン丸、ズバット、レッドバロン、ロボット刑事K、ジャンボーグエース、電人ザボーガー、バロムワン、シルバー仮面、アイアンキング、ミラーマン、レインボーマン、スペクトルマンなどなど枚挙にいとまがありません。

みな、平和な地球を征服せんがために現れる悪の秘密結社、それを阻まんとする孤高のヒーローという設定でした。しかも孤高のヒーローはウルトラシリーズを除き、たいがい変身前はごく普通の市民だったりするのが特徴です。

しかし、悪の組織は違います。それだけを専業とする首領と現地スタッフである将軍に常勤の戦闘員とプロジェクトごとの契約なのか、戦いのスペシャリティとして毎回あらたに登場する怪人、怪獣、星人たち。
そして彼らは所有なのか賃貸なのかわかりませんが、かならず秘密のアジトを持っています。

そんな中で多くの悪の組織が秘密のアジトとして使用していたり、ヒーローと戦う舞台となった建築があるのですね、繰り返し様々な組織が使用していたとすると賃貸しだったんでしょうけど、多くの組織が借りたがった建物が今日ご紹介する「聖跡記念館」「八王子セミナーハウス」そして「試みられた起爆空間という名の住宅」です。
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これらが組織のアジトにされてしまったのは、公園の近くで場所的にも撮影しやすかったのでしょうけれど、やはり何かそういった「地球征服をたくらむ感」がほしい、ヒーローの敵としてそれにふさわしい「科学力と権威」といったシンボリズムを表現しているのではないでしょうかね。

そういった意味では昨今の箱モノとは違う、「何かをやり遂げようという意思」と「容易には内部が伺い知れない」こと、「ひと目でそれとわかる特徴的な形態」の3つの要素があります。
それともっとも重要な点は「窓が小さい、窓が少ない、窓に見えない」の必要十分条件を満たしていることです。

窓とは何か
日本語の語源では、間戸(ま+と)で柱の間の戸のことをさしており、透ける壁、動く壁といった感じの障子的なものです。西洋型の壁に穴を開けるタイプのWindowとは異なった概念です。
ではWindowとは(Wind+eye)風の眼という意味で、建物に通風と採光をとるための建物の眼ということです。

であるなら、目は口ほどに物を言い、目を見れば分かる、目が死んでいる、とかいわれるように、建物のビジュアルでも「目であるところの窓」が、「小さくて、少なくて、目では無いように見える」とすると、ちょっと不気味な感じがするのかもしれませんね、と同時になんだろうここは?というインパクトもあるのでしょう。

それが、特撮ヒーローものの監督をして撮影に使ってみたいなあと、子供たちからもきっと組織がいるんだよ、とか思わせる効果があったのだと思います。

話は変わって、現在のヒーロー像と悪の組織と建築空間の関係としては、昨年放映されて人気を博した「太陽戦士サンレッド」を参照していただくのがよいかと思います。変身前のヒーローは実は特に仕事をしていなかったんですね、毎日ブラブラしています。で彼女のかよ子の2LDKのマンションに住んでいます。
そして悪の組織フロシャイムは世界征服のために毎日まじめに資金稼ぎのバイトをし、ヴァンプ将軍は戦闘員や怪人の世話をよく焼いて面倒見がよく、週に一回サンレッドと対決する以外はご近所付き合いもいい。
住んでいるフロシャイムのアジトは、ごく普通というよりちょっとくたびれた築30年くらいの木造モルタル二階建ての玄関、居間共有の下宿屋さんといった風情のところなんですね。

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ご近所のみんさんはフロシャイムが地球征服をたくらむ悪の組織という仕事をしているのをよく知っていて、いつかサンレッドを倒せるといいね、と応援してくれているのです。
組織のありようによってアジトの見た目もずいぶん変わるものです。