繊維を撒くことは可能。ただし元死刑囚の車の繊維をかけるのはまず不可能

 

 

記者の木寺監督へのインタビュー記事ですが、

 

 ――久間元死刑囚のワゴン車ですけれど、(事件後)警察が押さえていますね。座席の繊維痕が、微量であるが被害女児の服から出たと。テーブルの上で誰かが服の上にパラパラって撒けば、あっという間だと思うんですよ。

 

という文章があります。

 

木寺監督ではなく、現代ビジネスの記者のものだと思われます。とんでもない話です。たしかに捜査のかく乱のために「誰か=犯人」が、どこからか持ってきた繊維を被害女児に撒くのは可能です。ただし、元死刑囚の乗用車は「1982年3月26日から1983年9月28日までに製造されたマツダステーションワゴン・ウエストコーストの座席シート」という非常に数の少ない車種となります。このような乗用車の座席の繊維をたまたま、または狙って撒くことは現実的に不可能です。

 

また、「誰か=捜査関係者」が自作自演をしたと妄言を語る人がネットにはいます。たしかに捜査関係者が元死刑囚が犯人だと決めつけて、彼の乗用車の座席シートの繊維片をどこからか調達して被害女児の衣服に撒くことは自体不可能ではありません。ただし鑑定に使用された被害女児に付着していた繊維片は1992年2月21日、つまり事件の翌日(遺体発見の当日)には採取されています。一方、捜査機関が元死刑囚の乗用車を押収したのは1992年9月26日、乗用車の繊維片を採取したのは1992年10月7日です。どう考えても遺体発見日に捜査関係者が自作自演することは不可能です。

 

一体この記者は何が言いたいのでしょうか? 根拠のない想像だとしても書いて良いことと悪いことがあるのが分からないのではないか、と疑ってしまいます。一応書いておきますがこれに対して木寺監督は「いま仰ったようなことが疑わしいかどうか、私が摑んだ情報では何もはっきりとしたことは言えないですけれども…」と話しています。すこし濁しているのが気になりますし最低限のレベルですが、ましな返答だと思います。