直接税と間接税は、何を基準に分類しているか明確ではない
消費税に関する動画を見ていて、どうも腑に落ちないことがあります。
「消費税は間接税ではなく、直接税ではないのか」と主張する政治家がいるのです。それも一人ではありません。
最初に目にしたのは、参政党の安藤裕氏です。
安藤氏は自身の動画で「消費税は間接税ではない。事業者が負担する直接税」といった内容を主張しています。
消費税は間接税ではない。事業者が負担する直接税であり、人件費等に課税される付加価値税である。(安藤裕チャンネルひろしの視点より)
さらに興味深いのが、れいわ新選組のたがや亮氏です。
参政党とれいわ新選組といえば、政治的な立場は大きく異なるかと思います。
ところが、たがや氏も2023年2月15日の国会で、
「したがって、消費税というのは、消費者が支払った税を預かった事業者が支払うという間接税ではなくて、事業者が直接支払う事実上の直接税、すなわち、第二法人税と言えます。」
と発言しています。
第211回国会 衆議院 予算委員会 第11号 令和5年2月15日
ここまで政治的立場の異なる二人が、消費税について似たような主張をしているとなると、何も考えずに聞いていると「本当にそうなのだろうか」と思う人も出てくるのでしょう。
国税庁は、
・税を納める人と負担する人が同じもの=直接税
・税を納める人と負担する人が異なるもの=間接税
と説明しています。
国税庁 税の学習コーナー「[税のしくみ] 税の種類と分類」より
消費税については、事業者が納税し、価格への転嫁を通じて最終的に消費者が負担することを予定しているため、間接税という説明です。
ここまでは分かります。
ところが、ここで一つ疑問が生じます。
「入湯税や住民税と整合性が合うのか?」
国税庁は、入湯税も間接税に分類しています。
しかし、入湯税の納税義務者は入湯客であり、旅館や銭湯などの事業者は、入湯客から税を徴収して自治体に納める「特別徴収義務者」にすぎません。つまり、
・入湯客=納税義務者=負担者
・事業者=徴収・納付する者
です。
次に住民税を考えてみます。
会社員の住民税は、会社が給与から天引きして自治体に納める「特別徴収」が一般的です。
つまり、
・従業員=納税義務者=負担者
・会社=徴収・納付する者
です。ところが、住民税は直接税です。
入湯税と住民税は、どちらも「税を負担し納税義務がある人とは別の者が徴収して自治体に納める」という仕組みなのに、一方は間接税、もう一方は直接税です。
ということは、誰が実際に徴収して自治体に納付するのかは、直接税と間接税を分ける決定的な基準ではないことになります。
では、入湯税はなぜ間接税なのでしょうか。
この問題は、2025年4月18日の国会でも取り上げられています。
第217回国会 衆議院 財務金融委員会 第18号 令和7年4月18日
ここで、れいわ新撰組の高井崇志議員の質問に対して、財務省主税局長の青木孝徳氏は、消費税については、価格への転嫁を通じて消費者が負担することを予定しているため間接税と説明しています。
一方、入湯税については、入湯客が納税義務者でありながら、事業者が特別徴収して納付することなどを理由として、一般的に間接税に分類していると説明しています。
しかし、青木氏の説明だけでは、なぜ入湯税が間接税で、住民税が直接税なのか、その違いがよく分かりません。
安藤氏やたがや氏の「消費税は直接税ではないか」という主張にも、かなり無理があるように思えます。
一方で、国税庁・財務省側の説明も、必ずしも分かりやすく、論理的に整理されているようには感じられません。
「直接税と間接税は、何を基準に分類しているのでしょうか。」
この点を、財務省・国税庁にはもう少し分かりやすく説明していただきたいと思います。
少なくとも、現在の説明だけでは、「ごまかしているのではないか」と感じてしまうのも無理はないでしょう。