導流帯は通行することは可能だが、通行すべき場所ではないグレーゾーン

 

 

 一般的にゼブラゾーンと呼ばれている導流帯。導流帯と似た見た目のものに安全地帯があるが、安全地帯と異なり導流帯を規定している法令はほとんどない。「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」にのみ導流帯は設置場所として「車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要がある場所」となんともいえない表記がされている。

 

 この導流帯、見た目が派手なために進入してはいけないと思っている人も一定数いる。だがこれは私が言うまでもなく多くの方が「違法ではない」ことを確認している。では単に道路に線が書かれているだけで普通に通行して良いかというと「問題あり」「問題なし」「むしろ積極的に使え」等、意見が分かれている。

 

 特に気になったのが、車線が複数あり、右折車線の手前に導流帯があるときに「導流帯を通行するのがマナーとしても正しい」という人がいることである。たしかに右折車線の手前に導流帯がある時に、導流帯に従って導流帯を避けて進路を変更して右折車線に進入する車両と、導流帯を無視して直進する車両が衝突した場合の過失割合は、導流帯を避けて右折車線に進入した車両の方が高くなる。しかし導流帯がない場合には右折車線に進入した車両の過失割合はより高いのである。このことは導流帯を通行することは違法ではないがマナーとして良くない行為であることを示している。

 

 そもそも「車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要がある場所」に書かれているのが導流帯なのだから通常は通行を避けるべき場所であることは当たり前の話なのだが、中には「警察が通行しろと言った」と言う人もいる。これは道路の状況(渋滞等)により導流帯を使用した方がより安全と警察が判断して言った言葉を拡大解釈していると思われる。

 

 なお、導流帯は区画線であり道路標示であるので道路ではあるが、車道であるとは書かれていない、本当になんともいえないグレーゾーンなのである。