海底での生分解性は確かにあるが、まだ実用には時間がかかるか

 

 

東京大学岩田教授によるしんかい6500を利用して生分解性プラスチックの海底での実際の分解性の検証結果が報道されました。生分解性プラスチックの生分解性を実際のフィールド、しかも海底で行うことはそんなに簡単にできないと思うのでなかなかに興味深い試験です。顕微鏡写真には球菌も見られますが、主に分解している微生物はかん菌のシュードモナス属とかでしょうか。

 

ただ、対象区はポリプロピレンと言っていたのに、試験区の生分解性バイオプラスチックは何か言っていないのが残念です。まあ言ってもポリ乳酸くらいでないと一般の人には分からないので省いているのでしょう。

 

映像にNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の名前が載っているとおり、この試験はNEDOの

「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」の一環だと思われます。2023年度の実施方針に載っている『研究項目4-3「深海実験の結果を基軸とした評価法の開発」』の成果のようです。ただそこには、結晶化度、結晶配向度の異なるフィルムを多数用意したと書かれているので、映像の生分解プラスチックはかなり分解しやすい性質のものだと推測されます。また岩田先生の言い方もかなり慎重で、生産コストの問題をあげていますね。

 

いずれにしても低温・高圧の深海での分解が確認されていることから、今後の研究開発によりより良い素材が作られる可能性は十分にあります。特に海洋プラスチックは漁業による漁網や船具由来のものが懸念されているので、こういったものからリプレースされることが期待されますし、国としても支援していってほしいものです。