現行法では速度超過のみでは危険運転に該当しない。

 

 

法務省にて危険運転致死傷罪の罰則に関する検討が開始されました。今までに危険な運転で親族等を亡くされた方々の意見や厳罰化に危惧する意見など様々にあり、皆が納得する着地点は難しいだろうが、少しでも良い結果になることに期待したいものです。

 

危険な運転による事故が起きるたびにインターネットのコメント等で「明らかに危険運転なのになぜ危険運転で起訴、処罰しないんだ。」という意見が散見されます。しかしマスコミもまぜこぜにして使いますが「危険運転」と「危険な運転」は違うものであり、「危険な運転」は必ずしも「危険運転」にはあたりません。危険運転とは自動車運転致死処罰法の第2条における8つの行為のみを指します。

 

制限速度をはるかに超過した速度の自動車事故は、危険運転の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」に該当するという意見を出す人がいますが、法律に詳しい方の意見はほぼ「該当しない」です。この行為は例えば

 

・その道路の構造上曲がりきれないような速度での事故

・道路に起伏があるのを利用して、速度を出して通行し加重を抜くような行為を楽しんでいた場合の事故

 

などに適用されます。駐車車両などの障害物をよけきれない場合も適用されるでしょうが、動いている車両と直進したまま衝突した場合は適用されないのです。「速度が出ているから止まれないじゃないか」と言いたいでしょうが、ほぼ全ての事故は止まらない、止まれないから起きるものなので、そういう意見は除外しているのでしょう。

 

いずれにしても、とんでもない速度の運転による事故に対する処罰をどうするかは今回の検討会のテーマの1つだと思われるので成り行きを追っていくべきでしょう。

 

自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会 第1回会議(令和6年2月21日)