先輩の橋田さんも迷ったが、家族から報告することにした。
ここの生活にも慣れてきた頃、1人の子に会う。
「こんにちは。」
見た目は女の子と間違えるほど目がくりくりの男の子『瑞穂』。
「こんにちは。どうしたの?」
「お姉さんは何で来たの?僕、親から気持ち悪がられてここに連れてこられたの」
話によると、瑞穂はメイクもしているが決して性の不一致では無い。美容のためにしているだけ。だが、再婚相手の父親から気持ち悪がられ、味方だった母親からも同じように気持ち悪がられ高二の夏休みにここに連れてこられたらしい。
「何それ。ひどくない?美意識高いってすごく良いことなのに。」
「ありがとう。褒められたの初めてかも。」
「可愛いね。瑞穂君」
顔を真っ赤にする瑞穂。まもなくして2人は年の離れた兄弟のようにして過ごすようになった。
「ねえ、アンナちゃん。これ見て。すっごく浸透力あってもちもちになるんだよ」
新しい化粧水を見つけたらしい。
「これ知ってる。売り切れてなかなか買えないのに。すごいね。」
「運良く買えたの!ラス1とか僕に買ってって言ってるもんじゃ無い?」
得意げに笑ってみせる。