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今日より明日

いつか誰かに曲をつけてほしい歌詞の卵を書いていきます。制作の裏話はXに書いています。

認めたくはないが時は確実に奪う

誰にも例外なく何かを持ち去るもの

私にはもう一つの魔法の鏡がある

時間も場所も動かない私を支えるもの

南の海で生まれた空気の渦が

気流に乗って旅を始めた頃

あなたは日に焼けた笑顔で

いつもと同じように出かけて言った


この町で育った人なら誰もが

故郷にとってとても大事な人と

あなたを認めていたので

とても悲しい出来事であった


嵐が予測不能の迷走を

あちこちの町を傷つけたあと

あなたまでも連れ去るとは

そのとき思いもしなかった


近くの海まで迫った嵐が

気圧に押されて漂い始めた頃

溺れた子どもを助けようとして

いつもと同じように正義感を出して


せめてもの救いだったのが

あなたの助けた子どもが回復したあと

その子の母に抱かれたことで

あなたの願いは確かに叶った


あなたがいなくなったこの町が

あなたのことを忘れること

あなたの思いを受け継ぐことで

叶うときは一体いつ来るんだ?


溶けてゆく世界

ぼやける地平線

あなたはどこにいるの


裂けてゆく境

ぶれてゆく世界線

私はどこにいるの


確かに誰よりも

理論的に生きてきた

そう思うのは自己矛盾


逃げてゆく視界

変わりない世界観

我らはどこに行くの


広げてく理解

辿り着けない達成感

どれだけゆけばいいの

写真で見ただけの花の美しさを

どのように伝えたらいいのだろう

実際には見たこともないあでやかさ

いかにして描いたらよいのだろう

 

そこに流れているかすかな風も

肌に照り付ける日差しのほども

その周りにあるものがなにかも

私は何も知らないままだけど

 

映画で見ただけのできごとを

どのように話したらいいのだろう

本当はその場所に行ってはないのを

どうして分かってもらえるのだろう

 

その場所にある静かな空気も

やさしさに満ちた柔らかな時間も

それを包むなにか大きなものも

私は何もしらないままだけど

 

ネット調べただけのことを

どのように受け取ったらいいのだろう

たまたま検索して出てきただけのことを

そのまま語るのはおかしいだろう

 

その言葉が生まれた背景も

その事件にかかわる人々も

そのイベントがどのように続いたのかも

私は何も知らないけれど

 

人から聞いた戦争の話を

どのように受け継いだらいいのだろう

すでに亡くなってしまったその人の話を

いつまで持ち続けたらいいのだろう

 

その戦がなぜ起きたのかも

その戦がなにを求めていたのかも

その戦がなんで止められなかったのかも

私は何も知らないけれど

 

その戦がなぜ繰り返されるかも

その戦がなにを壊してしまったのかも

その戦がまた起ころうとしているのかも

私は何も知らないけれど

私は何もわからないけれど

なでしこ

 

まだ小学生だった父が

その街に住んでいた

夏の暑い日には雲が

厚く垂れ込めていた


南の島から来た爆弾が

飛行機で運ばれていた

夏の雲は街を隠し目標が

どこにあるのか見えなかった


父はその時も腹をすかせていて

少し前にみた焼夷弾の炸裂

明日は少しは良くなることを願って

目えない未来を考えていたはず


爆撃機は目的を果たせなかったが

別の街を襲う指令を受けた

間もなく着いた第二目標だが

そこで投下のボタンは押されてしまった


そんな訳で父は生き残った

そのため私もここにいるそれが

偶然とはどうしても言えなかった

私は生かされていた


私がいない選択肢も必ずあったはずだ

私よりも素晴らしいことをした人が

爆弾で奪われた命を考えてみた

選ばれなかった選択肢は捨てていいのか


私がいない世界を考えれば

私のいない今日を思えば

あなたと過ごした日々を思えば

あなたの世界に私が何をしたのか