いかなごのくぎ煮
3月14日放送の「日本全国白いご飯のおとも」では、
兵庫県瀬戸内沿岸の、春の風物詩、
「いかなごのくぎ煮」を
紹介しました。
新物の文字が、待ちに待った、「いかなごの春」の到来を
よろこぶ、気合いを感じさせます。
くぎ煮にするいかなごは、「新子」とよばれる小さなもので
この新子がとれるのは、春の初めのわずかひと月ほどの期間。
春になると、善は急げとばかりに、いかなご漁の船が海にくりだし
家庭ではとれとれのいかなごをたっぷりのしょうゆでことこと煮るのだそうです。
折れ曲がった古釘ににているから
「くぎ煮」
なるほど、そっくりです。
(※遊んでしまいましたが、まな板の上の魚もおいしくいただきましたよ)
それでは、いかなごの詩をどうぞ。
いかなごくぎ煮
見た目は古クギみたいに渋い色をしてるけど
あたらしい季節をつげるニュースなのだ
見た目は古クギみたいにとまってるけど
あたらしい季節のなかで踊っているのだ
くぎ煮のいかなごの時間は とまってはいない
小魚のしょうゆ煮は過去ではなく
春なんです 未来なんです
いかな、いかな、はよ行かな
の、いかなごなんです
ご飯の上の魚たち
だまっているようで、語ってます。
いかな、いかな、いかなGO!のいかな語で。
みてください、魚たち、矢印になって
いかな、いかな、と、わたしたちを、あたたかい季節へ
せきたてます、おどらせます
くぎでとめるように、思い出をピンナップしてるだけが春じゃないんです。
写真も佃煮も、過去じゃないんです。
ましてや、これから細胞が満開にひらくあなた自身も
もりもりとあつめしに、釘煮をたっぷりのっけてください。
からだが、いかな、いかなと、沖をめざしていくでしょう。
いかなごの春が、
また、瀬戸内にやってきました。
しぐれ蛤
3月7日の、「日本全国白いご飯のおとも」のコーナーでは
三重県の桑名市から「しぐれはまぐり」を紹介しました。
「その手は くわなの焼きはまぐり」でおなじみの、桑名のはまぐり。
さらっとしていて、甘さやベトベト感がない。
たいへん上品な味で、しっかりとかみごたえがあり、
じわっとうま味がでてくる逸品でした。
じつは、ブログ用の写真をとろうと思っていたのですが
美味しすぎて、深夜うっかり、写真をとる前に
お茶漬けにしてしまい現物が胃袋に消えてしまいました。
ごめんなさい。
下の写真は、
紙にペンで色づけし、丸めてつくった、はまぐりしぐれ煮
のイメージです。参考まで。
これは、実物ではありません
(紙製のレプリカ)
それでは、放送でよんだ、しぐれはまぐりの詩をどうぞ
しぐれ蛤
3年あわなかったひとが
春にひょっこりあらわれた
わたしの入江にもどってきたのだ
なにが食べたいのときけば
はまぐりのしぐれ煮めしにのせて
煎茶をまわしかけて食いてえという
料理ともいえないものをたのまれて
ちょっと拍子抜けだったけれど
ふたりで、蛤の、しぐれ煮の
お茶漬けたべた
3年ものの桑名の蛤を
ことこと煮詰めたものである
忘れもののように遠浅の浜のどこかで
ずっとうまっていた貝なのだろう
3年の沈黙が
ひとくちのなかで
じゅわっとしみでてくる
おいしいね
うんうまい
しぐれ煮をかめば、
会えなかった時間が巻きもどる
ときをへだてても 肩よせてお茶漬けたべれば
しぐれ蛤
わたしとあなたは ほら
ぴったりと合ってしまう
貝あわせのように
虫へんに、合うとかいて、蛤。
殻の上下がぴたりと合う二枚貝は、相性や縁の象徴。
味よし、見た目よし、縁起よし。
あなたも、しぐれ蛤を、お茶漬けにして、さらさらとやってみては。



