既存の振袖なら着れなかった | Moratoriumer´

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今日も波に揺られて海を漂う。

「レンタルなら着ない。オリジナルなら着るよ。」

成人になる手前の私の

そんなわがままを母は聞き

着物や帯の生地を選び

大きな蓮と羽ばたく鳥と澄んだ青を染め

唯一無二の

振袖と帯と草履とバッグを用意してくれました。

そしてそれらを身にまとい

私が成人式に出席したのは10年以上前のことです。

贅沢な希望であることは百も承知でした。

そんなわがままを言ったのは

カミングアウトをしていなかった時でしたが

母はまだ知らぬ私を尊重してくれたのだと思います。

今日

地元で開催している母の個展に足を運びました。

その振袖と写真が展示されていました。




「あ、この写真の子です。」

と来てくれた人に紹介する母の姿が

私は嬉しかった。


自分に合うものがなければ作ればいい、と母は教えてくれた。↓
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