この本は、わりに薄いのです、写真の文庫本、ねだんを見たら、140円でした(やすっ!今なら、倍の280円とか、360円とかしそうです)。これぐらいの分量なら早い人で1日、ふつうに読んでも2、3日で読めるでしょう。読みたい人は私に声をかけて下さい。貸し出し可能です。新潮文庫の、この装丁、かなりなじみです。(2024年8月3日)
谷崎潤一郎(1886~1965)のこと、わたしはモーレツに好きというわけではありません。でも、作家としては、ものすごい人(=才能のあった人)だと実感しています。
何がすごいって、その変態性(と文章力)ですよね…。
潤一郎さんは、写真で見る感じは、ごくふつうの少年(や青年)だったり、おとなになってからも、永井荷風みたいな「変態顔」はしていません。でも、その(内面の)変態性は、永井荷風なんてとても足元に及ばないのです(注)。
(注)文学史上、谷崎も永井荷風も「耽美派」なんてくくられ方をすることがありますが、谷崎と荷風って、まったくちがいますよね…。荷風って、単なる偏屈でわがままなおじさんじゃないでしょうか…。戦災のあと、市川で暮らしたらしいですが、部屋を貸していたフランス文学者の小西さんなんか…とっても迷惑だったらしいですよ(笑)。わたしもそう思います、荷風みたいなおじさんがいたら、おそらく迷惑でしかない…。
谷崎潤一郎の『痴人の愛』(1924年)を読んだとき、わたしは、まだ本当に彼の変態性は理解していませんでした。
あっ、この人は、生まれながらの変態なんだな…と思ったのは、『痴人の愛』を彼が書いた年齢を知った時でした。
みなさんも、そんなに知らないと思います、
谷崎が『痴人の愛』を書いた年齢なんて…。
38歳なんです、びっくりでしょ?
50、60になって、半分隠居した老人が淫靡(いんび)なエロ小説を書くというのならわかりますが、38歳なんて、むかしで言う「青い山脈」なんかで女子生徒らに憧れられる青年教師みたいなものじゃないですか…。←たとえが古い(笑)。いまのアレで言うと、「嵐」のメンバーだった櫻井翔くんが、ことし42歳だからですね、今から4年前の櫻井翔くんが『痴人の愛』を書くと想像してください、ねっ?それはもうすごい変態でしょ?
だからですよ…、谷崎潤一郎は、もう10代のころから、そういう淫靡な少年だったのです。でも、たまたま…文才があって、その淫靡さを文字にすることが出来たから、彼は性犯罪者にはならずに、文学者として後世に名を残すことが出来たのではないでしょうか。
それはさておき――。
たまたま今月、谷崎の短編『庄造とねこと二人のおんな』(1936年)を読みました。
別に、これを読みたいと意気込んだわけではなく、第二書庫にたまたま『庄造とねこと二人のおんな』があって、外出時にちょっと持ち出したという次第…。
内容ですか…?
まぁ、読んでみて下さい(すぐ読めますから…笑)。
谷崎が「ねこ好き」だったとは意外でしたが(どこかでそのウワサは聞いた気がします)、でも、谷崎の場合は「ジイノ」(写真下 参照♪)みたいにはいかなくて、どうしても、「女がらみ」になってしまうわけです。
そこが、すこし笑えました。
( お し ま い )
2020年12月12日ブログでも紹介した、
室生犀星の飼い猫「ジイノ」
◆ 励 ま さ れ る 言 葉( 2021年9月13日ブログ )