2020年5月26日ブログ ゆるやかな殺人」より

 

 

 

  2021年3月12日ブログ より 

 国連科学委員会も2021年の3月、つまり…フクシマ原発事故のちょうど「10年目」の

節目に「これまで県民に被曝の影響によるがんの増加は報告されておらず、今後も、

がんの増加が報告される可能性は低い」との報告書を出しました。


 この国では、「ゆが着実に進んでいるようです。
 さきの水俣病のことを思い出してください。

注意 1950年代、熊本県水俣湾周辺で、

  原因不明の“奇病”が発生します。

注意 政府(=霞が関周辺でサークル活動をしているオジさんたち)は、そんなこと知ったこっちゃないとばかりに、その病気の存在を否定し続けました。けれども、あまりの病例の多さから、ついに「そのような病気は存在しない」とコメントし続けることが出来なくなり、そういう病気が(熊本県水俣市周辺で)発生している事実を、ようやく認めるのです。

 これが、水俣病の「公式確認」の年と言われている1956年のことでした。

注意 けれども、水俣病の存在を認めても、「霞が関周辺でサークル活動をしているオジさんたち」は、水俣湾に垂れ流しにされている工場廃液が、水俣病の原因だとは認めませんでした。その有毒な水銀を含む工場廃液が水俣病の原因であると認めたのは、上記の「公式確認」から12年も経ってからのことです(→1968年)。

 

ぽってりフラワー


 いま、この構図とまったく同じ事態が、静かに進んでいます。

 2011年3月の福島原発事故以来、福島県を中心に「小児甲状腺がん」が多発しました。国は、当初、小児甲状腺がんの「多発」を認めず、(甲状腺検査の)過剰診断だと言ってきたのです。子どもたちの間で「鼻血」が見られても、「原発事故の影響とは考えられない」「それこそ風評被害である」「過剰な反応は、復興の妨げになる」といった言い方で一貫して、原発事故による被曝の影響を否定してきました

 ところが、その発生件数の多さから、「多発」を認めざるを得なくなると一転してそれを認め、その一方で「多発はしているが、原発事故が原因ではない」と強弁を続けているのです。

 12月18日の仙台高裁判決記事を下に貼っておきますが、いま原発事故による被曝が原因で健康が害された(=甲状腺がん)として、その責任を問う裁判が起こされています(注)

 

(注)ちなみに、今回の裁判の判決文を書いた石栗正子裁判長は、今年2月にも「被ばく」関連の判決文を書いています。2月の裁判は、福島市や郡山市等に住む4名がそれぞれの自治体に「被曝」の危険性を根拠に教育活動の差し止めなどを求めた裁判の控訴審で、1審(福島地裁)は原告の請求を棄却していました。2審、仙台高裁でも石栗正子裁判長は「健康に悪影響を及ぼす危険が生じているとは言えない」として請求を退ける判決を書いたのです。

 仙台高裁での判決(12月18日)は「原告の請求棄却」という極めて悪質な判決でしたが、こういう「行政」の番犬みたいな判決文を書いた石栗正子裁判官は、今後は…ウハウハです。つまり…最高裁からは「たいへん、よく出来ました」と褒められて、法曹界で立身出世していくわけです。←これ、ホントの話です。

 それにしても、原告のみなさんは悔しいことでしょう。

 わたしも、このむごたらしい「ホロコースト」

 同時代の人間として注視し、そして声をあげ続けたいです。

 

( お し ま い )

 

原発事故“子ども被ばく”賠償訴訟 2審も原告側の訴え退ける

2023年12月18日付、NHKニュース


 東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、子どもの被ばくを避けるための適切な対応が取られなかったなどとして当時、福島県内に住んでいた子どもとその親たちが国と県に賠償を求めた裁判で、2審の仙台高等裁判所は1審に続いて原告側の訴えを退ける判決を言い渡しました。

 原発事故が起きた当時、福島市や郡山市などに住んでいた子どもとその親あわせて116人は、事故のあと子どもの被ばくを避けるための適切な対応が取られなかったことで、健康被害への不安を抱くなど精神的な苦痛を受けたとして国と県に1人あたり10万円の賠償を求めていました。

 裁判では、『SPEEDI』と呼ばれるシステムで算出された放射性物質の拡散予測をただちに住民に公表すべきだったかや子どもたちをただちに集団避難させるべきだったかなどが争点となりました。

 18日の2審の判決で、仙台高等裁判所の石栗正子裁判長は、「『SPEEDI』の予測計算の結果は正確性が高いとは言いがたく、情報の有効性や今後の変化の可能性などを分析し評価したうえで、公表の時期や内容を判断する必要があり、裁量権の逸脱や乱用があったとは言えない」と指摘しました。

 そのうえで、「集団避難を実施すべきだったと原告が主張する根拠とした法律や法令は、今回の事故のような被ばくの大きさや範囲が予測できない状況で、緊急の対策を必要とする場合にも妥当なものとして定められたものではない」などとして1審に続いて原告側の訴えを退けました。

 判決のあと、裁判所の前では原告の3人が「不当判決」や「またもや司法は子どもを守らず」と書かれた紙を掲げました。集まったほかの原告たちからは「司法が子どもを守らなくてどうする」とか「次は勝つぞ」など次々と声が上がっていました。

 判決のあとの会見で原告の1人、今野寿美雄さんは「国や県の主張をなぞっただけのあきれ果てる判決だ。受け入れるわけにはいかず、上告して最後まで闘いたい」と話しました。また、原告側の井戸謙一弁護士は「大変残念な判決で、苦しい思いで闘ってきた原告のことを考えるとつらいものがある。1審に比べて中身に踏み込んだ判断だったが論理の過程に強引なこじつけや証拠のない認定が多くあった」などと述べました。

 (NHKニュース:引用ここまで)


親子被ばく訴訟二審も敗訴 仙台高裁、慰謝料認めず

2023年12月18日付 産経新聞


 東京電力福島第1原発事故後、子どもの被ばく防止策が不十分で精神的苦痛を受けたとして、事故時に福島県に住んでいた親子らが国、県に1人当たり10万円の慰謝料を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は18日、一審福島地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。

 石栗正子裁判長は判決理由で、原発事故後の対応と精神的損害に因果関係があることを立証していないと指摘。原告側は「国と県が被ばく回避のための適切な情報提供を怠った」と主張したが、「国と県の裁量に委ねられており、裁量権の逸脱があったとはいえない」として退けた。

 また甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤服用の指示を出さなかったことについては「防災指針の指標を踏まえた国や県の判断が不合理だったとはいえない」と判断した。

 2021年3月の一審判決は原告側の請求を棄却した。

 (産経新聞:引用ここまで)


 〔参考〕
星 子ども脱被ばく裁判ホームページ
星 OurPlanet-TV〔4分45秒〕
星 渡辺一枝さんの裁判傍聴記 ←渡辺一枝さんは、椎名誠さんの奥さまデス。
星 鈴木博喜さんのレポート

  

◆ 原発:だれにでもわかる話( 2023年3月17日ブログ