…なんだか、きょうのブログ タイトル、完全に佐藤愛子さんの
『90歳。何がめでたい』のパクリみたいです。
↑ぶっちゃけ…そうです。
どうやら 常磐線(じょうばんせん:上野から福島県を通って仙台ぐらいまで行く路線)が近々 全線開通するみたいです。都内のそこかしこに、その手の告知(ポスター等)がされています。
…でも、福島県では、まだまだ放射線量の高いところがありますし、原発から、放射能は出続けているのです。
〔参考〕 最近、わたしは小出裕章さんの文章を読み直して、びっくりしました。「広島原発168発分が(3.11当初福島で)放出された」だけではなく、これ迄に放出された放射能の量が「広島原発約1000発分…」という表現もあったからです。 コチラ
人によっては「除染する/除染している」(注)と言う人もいますが、それは言葉のトリックで、放射能は(半減期のサイクルで少なくなるのを待つしかなく、人為的に)「取り除く/無くす」ことはできないのです。
(注)だから、小出裕章さんは、「除染」という言葉は適切ではない、どうしても言うとすれば「移染(いせん:放射性物質をよそに移す)」とでも言うべきである、と発言されています。
いったい…どうして、このタイミングで、常磐線を開通させるのでしょう
(2020年1月12日、千葉県内にて)
わたしは、2016年10月30日ブログ で、福島の放射能汚染地域に、多くの人々が捨て置かれる中で、県外避難者の住宅手当てが(2017年3月末で)打ち切られることについて取り上げました。
そこで、わたしは「オリンピック」にまつわる事情について、こう書いたのです。
【ここから10.30ブログ引用はじまり】
つまり…
「政府」…じゃなかった、「霞が関周辺でサークル活動しているオジさん」たちは、原発事故は「アンダーコントロール(われわれがきちんとコントロールしている)」という言い方よりもさらに進んで…「もう(事故は)終わったんだ」「だから…みんな避難生活を切り上げて福島に戻っているじゃないか」「政府としても…そろそろ支援は打ち切ってもいいでしょ」ということにしたいのよ。(注3)
(注3)原発事故直後に“政府”から発令された〈原子力緊急事態宣言〉は、まだ解除されていないのよね…。その「緊急事態宣言」下で、いま福島の人たちは生活しているわけ。
「住宅支援の打ち切り」――そのモクロミの先に何があるのか…わたしは餅(もち)のロンでわかってる。
それは…2020年の東京オリンピック
国中が東京オリンピックで浮かれている時、いいえ…世界の目が東京でのオリンピック競技に注目が集まる中で、福島県外へ避難する被災者がいたら、政府…じゃなかった…「霞が関周辺でサークル活動しているオジさんたち」の面目丸つぶれですものね…。日本の記者は聞かないけど…海外のメディアは、ごく当たり前のことを質問したりするもの…。
「聖火ランナーが福島の被災地を通りましたが…福島県では原発事故の影響で、まだ県外に避難して、ふるさとに帰れない人たちが、何万人もいるのですか?」
「正確には、避難者は何万人ぐらいいるのですか?」
「そういう人たちが、ふるさとに帰れる見通しはあるのですか?」
「国内に、そんなに困窮している人たちがいるのに…、あなたがたは…よく何年も前から『オリンピック』『オリンピック』…なんて連呼していましたね…オリンピックより、まずは原発問題じゃないんですか?」
そういう質問を一切シャットアウトするためには、避難者への住宅支援を(2017年3月に)打ち切って…
「避難の必要がある人は、福島にはもういないのです」
「いま県外に出ている人は“避難”ではなくて、それぞれの自己都合です」
「原発事故で避難していた人たちは、すでにふるさとに戻って、復興のために力を尽くしています」
と「霞が関周辺でサークル活動をしているオジさんたち」(政府)は言うつもりなのです(ホント…最低のオヤジたち)。
【ここで10.30ブログ引用おしまい】
きょう、都内で映画 『原発の町を追われて』(第1部~第3部:堀切さとみ監督)の上映会があり、そこでわたしは「2020年春 常磐線:全線開通」の ウラ事情 を知ってしまいました。
上映会では、堀切監督が「オリンピック聖火リレー」で、福島県の双葉町には(いまの段階では)聖火リレーが通る予定になっていない…とボードを使って説明しました。
「福島県内:聖火リレールート」の図を持って説明する堀切監督〔左〕(2019年1月19日、都内にて)
なぜか…、
まだ双葉町の「避難区域」が、解除されていないからです。
そういう…「避難区域」として指定されているところを 聖火ランナー
が走れば、当然…批判を浴びますし、
特に海外のメディアは…
「あれれ…、福島県内…まだ、放射線量が高くて、人の立ち入れないところがあるのか?」
「オリンピックもそうだが、フクシマの原発事故は、この9年間でどの程度収束しているのか?」
「オリンピック開催国の選考時には『アンダーコントロール』というふうに言われていたが、本当にそうなのか?」
と、興味の矛先(ほこさき)がどうしてもフクシマの生々しい現状に向いてしまう危険性があります。
すでに都内の地下鉄の駅では、ホーム売店等で
「オリンピック グッズ」が売り出されています(2019年11月13日)
だから、そういう諸々(もろもろ)の不都合を解消するために、霞が関のオジさんたちは、どういう 奇 策 を考えたのか…、それは
すでに、被曝の危険性を無いことにして…
(なんちゃって“避難解除”)
その上で、形だけでも…常磐線を開通させて…
(なんちゃって“全線開通”)
原発事故の被害者らも、
「復興」に向けて前向きに生きていることにする…
(なんちゃって“復興”)
そして、その「なんちゃって(=フェイク:嘘)」をあとで何と言われようと、そういう“復興/前向きムード”の中で、海外メディアの眼をフクシマからそらし(注)、とりあえずオリンピックを盛大に開催してしまえ~ということなのです。
(注)「国内メディア」についてはどうなのか、また改めて書きます。
⇒ 参考 : コチラの、「メディアの姿勢」を見てください。
と…まぁ、きょうの上映会で、わたしが知ったこと、感じたことを(わたしなりの言葉で)まとめると、だいたい以上のようになります。 ひどくないですか???
上映会後のトークでは、3月に予定されている「常磐線:全線開通」が、おもしろい比喩で説明されていました。
双葉町を「魚の骨」にたとえると(注:上映会以外のところで、今回の開通をそう表現した人がいたそうで、そのたとえが紹介されました)、真ん中の背骨(中心の太い線)に当たる常磐線のみを開通させ、かつ 「双葉駅」の駅前エリアのみ、「避難解除」にする。
その開通に合わせて、特急を…だれも人が降りるはずのない双葉駅に、 (形だけ)停車させる。「避難解除」とは言っても、魚の背骨から放射状にのびる「小骨」にあたるような道路、生活圏の避難解除は当分先…(注)。
(注)実際のところ、「魚の小骨」に当たるような細い道路まで「避難解除」にしても、
わざわざそんなところに“帰還”しようとする人は、だれも居ないそうです。
とにかく、鉄道が「不通」の状態だと、いかにも「原発事故(の処理作業)が9年経っても、いまだに進行中」…といった感じで印象が悪いが、双葉町も(部分的であっても)「避難解除」にして、フクシマ全県で「聖火ランナーが走れる」ようにすれば、世界に向けての見栄(みば)えがよい。 ←いまふうに言えば「インスタ映え」がする~♪
ということで、
「常磐線:全線開通」のポスター迄作って、その事をアピールしているようです。
そして、その開通に関する報道発表が 3月はじめにおこなわれるとか。
いま、関係者は、すでにそのあたりの経緯やウラ事情について知っているらしいのですが、双葉の人が問い合わせても「3月はじめの報道発表まで待ってほしい」と言われて、何も答えてくれないそうなのです。
都内の「脱原発デモ」等では、一般の人たちからも、“国”に対する「被曝かくし」「避難者切り捨ての復興政策」などへの批判の声か多く聴かれます。(写真左:2019年11月9日、写真右:2019年5月11日)
… まったく ひどいものです。
先日の、ラグビーW杯の時も、ありとあらゆる商店街(や裏通り)まで「W杯」のノボリが掲げられてびっくりしましたが…、今回のオリンピックでは、どうなることでしょう。
オリンピックのことを「スポーツの祭典」と呼ばずに「オリンピック災害」と揶揄(やゆ)する人がいますが、こういう原発事故の深刻な被害隠しのために利用(悪用)されることを考えると…、“国”の悪質さがよくわかります。
とにかく…、3月になってからの報道発表もそうですが、引き続き「原発事故の深刻さ」について、実態を見極めたいと思います。
2019年12月18日に常磐線「双葉駅」でおこなわれた〈試運転〉の様子を
伝える朝日新聞ニュース。(2020年1月1日、都内「明大前駅」の掲示板にて)
◆ ラグビー W杯 @ 開幕♪ (2019年9月20日ブログ)
◆ 続 : 「ベトナム村」の話 (2019年11月17日ブログ)