国際情勢は日々、刻々(こくこく)と動いています。

 

 およそ1ヶ月前の4月22日、拉致問題に関する集会で、加計問題などで窮地に立つ安倍総理大臣は、被害者家族を前にして、次のような発言をしました(注1)

 

(注1)まだ1ヶ月しか経っていないのに…どうかすると…こういう集会や

そこでの人の発言をわたしたちは忘れがちになります。こわいことです。

  

 「拉致問題は安倍内閣の最重要、最優先の課題であります。拉致問題は安倍内閣が解決をする。安倍内閣において解決をする。拉致被害者の方々がご家族の皆様と抱き合う日がやってくるまで、私たちの使命は終わらないとの決意で、今後ともこの問題に取り組んでまいります」

 

 「拉致問題の解決のためには、日本国民が一致をして、拉致被害者を日本に返すとの強い声を伝えていくことが、大切なことであります。その声こそが国際社会を動かし、そして北朝鮮を動かしていくことにつながっていく。このように思います」

 

 「われわれは国際社会とともに圧力をかけ、やっと南北首脳会談、米朝首脳会談、北朝鮮の側から求めてくるところに至ったわけであります。今後とも確固たる決意で、進んでいかなければならない。過去の経験を生かしながら、この問題にこれからも皆さんとともに取り組んでいくことをお約束いたしまして、私からのごあいさつとさせていただきます。皆さん、ともに頑張ってまいりましょう」

2018年4月22日付産経新聞より)

 

チューリップ 

 

 国内問題でポイントを稼げないものだから、この時期…安倍総理は、しきりに海外に飛んで「外交問題」で点数を稼ごうとしていたようです。

 

 外交の安倍

 経済(アベノミクス)の安倍

 

 安倍総理自身は、こう印象づけたかったのでしょうが、「〈外交の安倍〉ではなくて、実態は〈外交をやらせてはダメ…の安倍〉だ」と言っていたのが、古賀茂明さんでした。

  

 「国連の関係者などからも言われるんです…『安倍さん、ダイジョウブ?』って。国際社会は、みんな(外交の原理・原則について)よくわかっているのに、安倍さんひとりわかっていなくて……、だから、『安倍さん、ホントウにダイジョウブ』となるのです」

 

 4月19日におこなわれた参議院会館での講演の中で、古賀さんはこんなふうに、安倍総理のオカシサを表現していました(注:大意です)。

 

 「たとえば…安倍さんはしきりに〈圧力〉〈圧力〉〈圧力〉…と、まるで圧力さえかけ続ければ、相手が『私が悪うございました、ごめんなさい』と謝るとでも思っているのです」

 

 「そうじゃない、(その場、その場での)〈圧力〉というのは、料なのです。時に圧力をかけて、そして…交渉に持って行く。安倍さんは、そのことがまったくわかっていなくて…ただ〈圧力〉と言っている、これではダメです」(注2)

 

 まったく同感です。

 

 この1ケ月ぐらいの北朝鮮情勢を見ても…

安倍総理は完全にです。

 

 国際社会の中で…日本はホントウに何の役割も果たしていないし…朝鮮半島情勢なのに、そこに最も近く、最も強くリーダーシップを発揮しなければいけない日本が…指をくわえて、ポツンと遠く離れた場所に立っている感じすらします。

 

(注2)そう言えば…むのたけじさんが面白いことを書いていました。

「(ケンカでも交渉事でも)相手のことを負かしてはだめだ、相手に

『負けた』と思わせるようでないと…」と。〈負かす〉んじゃない、

〈負けた…と思わせる〉んだ…って、さすが歴戦の勇者むのさんだけの

ことはあります。あと…個人的には…「交渉」というよりは「対話」

という言葉のほうが、わたしは好きですけど(笑)。

 

 チューリップ

 

 いけない…、

 

 また…前置きが長くなった…、

 

 この「前置きが長くなる」こと…、わたしの悪いクセですよね~、

 気をつけないと。

 

 では、本題を手短に書きます。

 

古賀さんの講演を聴き終えて外に出ると、国会裏手では

安倍内閣退陣を求めて人々が集まっていました。

(撮影:2018年4月19日)

 

 霞が関で働いている、いわゆる「官僚」と呼ばれている公務員について、

 

 「かれらは悪い人間なのか、あるいはもともとは善良ではあったが、時々…悪くなるのか」といった点についてふれた時に、こう言ったのです。

 

 「いわゆる官僚と呼ばれる人たちは、もともと生まれながらにして善であり(性善説)、そして時々…悪いことをしてしまうのか。それとも、かれらは生まれながらにして悪い(性悪説)のか、…かれらを理解するのに、性善説、性悪性、そのどちらも私は本質をとらえていないと思います」

 

がんばれ…サムライ正義団 ラブラブ(撮影:2018年4月19日)

 

 「もし、そういう(性善説、性悪説といった)言葉でかれらを言いあらわとすれば――かれらは性弱説なのです、つまり…であり、だから…あっちにふらふら、こっちにフラフラと国民のためにならない行動を、つい採ってしまうのです」

  

   説!コアラ

  

 そのために、あっちにふらふら、こっちにフラフラとしてしまい…

 時によくない行動を採ってしまう。

 

 う~~~~ん、

 

 そうだ、そうだ…。

 

 セクハラ問題で辞任した財務省の福田事務次官も、いま世間をにぎわせている日大アメフト部の監督コーチも、そして…わたしも()、みんな…みんな…「善か悪か」ではなく「弱い」存在なのか…、それってとってもわかりやすい表現でした。

 

 

プチ高江体験(2016年12月5日ブログ

 

チューリップ 

 

 〔 オマケ 〕

蓮池透さん「司令塔?この期に及んで」 首相発言を批判

2018年4月23日付 朝日新聞

   

 北朝鮮による拉致被害者の救出を求める集会で、安倍晋三首相がした発言を、拉致被害者家族の蓮池透さん(63)が批判し、話題となっている。蓮池さんによると、「言葉と行動がかけ離れている」との思いからの発言という。

 

 安倍首相は22日、拉致被害者家族会や支援団体「救う会」が開いた「国民大集会」に出席し、「南北、米朝首脳会談の際に拉致問題が前進するよう、私が司令塔となって全力で取り組む」と語った。この発言に対して蓮池さんは23日、ツイッターで「司令塔? この期に及んで。どうやって?」と書き込んだ。

 

 蓮池さんは2002年に帰国した拉致被害者・薫さん(60)の兄。21日にTBSが放送した「報道特集」では、首相が訪米し日米首脳会談に臨んだことについて「わざわざアメリカまで行ってトランプ大統領にお願いするというのは、自分たちがお手上げということの裏返しなわけですよね。それじゃまずいと思うし、トランプさんが拉致問題を取り上げてどういうふうにするのか、全くわからない」と発言している。

 

 蓮池さんに話を聞いた。「北朝鮮をめぐっては中韓米各国が相次いで首脳会談に臨もうという情勢の中、『圧力』ばかり言ってきた日本は、相当水をあけられている。拉致問題は日朝の問題であり、本来は安倍首相がそれこそ司令塔となって、日本が北朝鮮と直接交渉を進めるべき話。ところが首相は自分で日朝会談をやろうとせず、トランプさんに『米朝首脳会談で拉致問題を取り上げて』とお願いに行っている。言葉と行動がかけ離れている」

 

 蓮池さんは「米国への丸投げは危うい」とも懸念する。「米朝会談で、約束通りトランプ氏は拉致問題を持ち出すかもしれないが、金正恩(キムジョンウン)氏に『あれは解決済み』と言われたらどうするのか。日本にとって満足できない結果で米朝が妥結することもあり得る」

 

 そして「首相は『司令塔』と言うからには、きちんと自分で北朝鮮に向き合い、情報を収集して相手を研究して取り組んでほしい」と念を押した。

(編集委員・北野隆一)