ある人が、本棚を買ったとします。

 

 その本棚は、当然のことながら…本を並べて収納することが出来ます。

 

 そういう…「本を並べる(収納する)ことの出来る本棚」が家にある人は、

 

 「国民の〈知る権利〉を保障するために、○○出版の月刊誌を年間購読しなければいけない」

 

 こんなきまりがあったら、みなさんは…どう思いますか?

 

 おかしくて笑ってしまいますよね…。

 

 本棚を買うのは、本を並べるためですが、です。本棚を買わなくても、ダンボールを本棚の代わりに積み上げる人もいるでしょう。

 

 「いやいや…○○出版は国民にとって大事な情報を流しているから(←何だかトッテモ「上から目線」だと思いませんか?)、本棚を備えつける人は、その本棚を備え付けた時点から、○○出版の月刊誌を定期購読しなくちゃいけないんだ!」

 

 こんな言い方をされて…「ハイハイ、払いますよ。〈知る権利〉は大切ですもんね」なんて言って、ホイホイとお金を払う人はいますか…?それって、「オレオレ詐欺」よりも、低級な論理(ロジック)だと思いませんか。

 

 出版社が、国民の〈知る権利〉のために貴重な存在であることは一般論としてわかりますが、それなら

 

 「○○出版が実際に良質な本を出版して、多くの人がそれに共感して○○出版の本を購入するようにすればいい」…だけの話ですよね。

 

 現に、ほとんどすべての出版社が、そういうをしています。

 

チューリップ

 

 いま…本棚を例に、〈NHK受信料裁判〉について考えましたが、本棚もテレビも基本的に“しくみ”は同じです。

 

  本棚 … 木で出来た箱。そこに「」を入れられる。  

 

  テレビ … こちらも箱。「電波」を受信する。

 

 「本棚を買った人は、特定の出版社の月刊誌を定期購読しなければいけない」というような強制は、憲法で定める「契約自由の原則」とは相容れないのと同じように、

 

 「テレビを買った人は、特定の放送局(NHK)と受信料契約をしなければならない」なんていう強制は、「契約」と呼べるような代物ではありません。

 

 さきの出版社の場合と同じく、NHKだって…「さすがNHK、他局では放送できない貴重な番組を連日放送して…NHKが無かったら、私の〈知る権利〉はまったく意味をなさなくなってしまう」と、視聴者に支持されるような番組づくりをして、「受信料を払いたい人が払う」(契約自由の原則)ようにすればいいだけのことではないでしょうか。

 

 下に、〈NHK受信料裁判〉に関する記事を2つ引用しておきますが…本棚を買わずに「段ボール」でその代用をすることが出来るように、今は「携帯」でも「パソコン」でもテレビ番組を見ることもできるわけです。

 

 そうすると…同じテレビ番組でも、テレビで見たら受信料を取られ、パソコンで見ると取られない…というのは、これは不平等ですよね…。

 

 こんな鹿に…人は従うのでしょうか?(従わなくてはいけないのでしょうか?…あるいは、人はどうしてそれに異を唱えないのか…???)

 

 

 

 ふふふ…ちょっと想像してみたのですが…

 

 「最高裁」ではなくて…千代田区にある…あの裁判所を「最低裁」もしくは「サイテー裁」と名づけたら…そこの出す判決に、人々はどんな反応を示すでしょうね…?

 

 まったく同じ内容の判決でも…おそらく

 

 「最高裁が出した判決なら、それは一理あるのだろう。よくわからないが、とにかく従っておこう」

 

 となったり…

 

 「サイテー裁の出した判決とやら…何言っているのか、さっぱりわからん!オレは納得できないから…こんな判決には従わないぞ」

 

 という反応になったりすることでしょう。

 

 ダカラ…言葉(ロゴス)ニハ要注意!!

  

NHK受信料強制は合憲か 最高裁、6日に初の判断

2017年12月4日東京新聞(朝刊)

 

 テレビを設置したらNHK受信料を支払わなければならない制度は合憲か、違憲か-。最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は六日、受信契約を拒む東京都内の男性にNHKが受信料の支払いを求めた訴訟の上告審判決で、受信料制度の合憲性について初の判断を示す。NHKの受信料徴収業務や、公共放送の在り方にも影響を与える可能性がある。 (岡本太)

  

 主な焦点は「受信設備を設置した者はNHKと受信についての契約をしなければならない」と定める放送法64条1項の解釈だ。

 

 被告の男性側は、この規定が強制力のない努力義務だと指摘。もし努力義務ではなく強制を認めているとすれば、憲法が保障するとされる「契約の自由」を侵害すると主張する。

 

 一方、NHK側は「豊かで良い番組を放送する公共放送としての役割を果たすため、受信料制度には十分な必要性と合理性があり、憲法に違反しないのは明らかだ」とし、受信契約は強制できると反論している。

 

 最高裁は判決で、契約成立の条件についても判断を示す見通しだ。

 

 男性側は視聴者の承諾がない限り、契約は成立しないと主張。NHK側は、視聴者が承諾の意思表示をしていなくても「契約締結を申し込んだ時点で成立する」とし、これが認められなくても、裁判で承諾するよう命じる判決が確定すれば成立するとしている。

 

 最高裁が契約の成立を認めた場合、過去の未契約期間の受信料について、いつまでさかのぼって支払う必要があるかについても判断するとみられる。

 

 過去の地裁・高裁判決は、受信料制度の合憲性や契約の強制性についてNHK側の主張を認めた上で、契約成立の条件や支払い義務の範囲については判断が分かれている。

 

 

 ◇ 無理やり義務付け疑問

 

〈砂川浩慶・立教大教授(メディア論)の話〉

 

 放送法64条1項を素直に読めば、契約を強制的に義務付けたものだと解釈できる。問題は、この規定が憲法の保障する「契約の自由」を侵害して違憲なのか、という点だ。

 契約を強制的に義務付け、受信者に一切の拒否を認めないのは、契約の考え方としてあまりにもバランスを欠く。契約しない自由も認められるべきだ。

 NHKは公共放送の役割から強制は認められると主張する。ただNHKの報道姿勢などに異論がある受信者に無理やり契約を結ばせるのは、公共放送の姿としてふさわしいのか疑問だ。

 

 ◇ 受信料制度 合理性ある

 

 〈宍戸常寿・東大大学院教授(憲法)の話〉

 

 日本の放送制度は、NHKと民放の二元体制によって国民の知る権利や表現の自由を担保している。広告収入によらない公共放送を維持するための受信料制度には合理性があり、憲法が保障する「契約の自由」を制限することも許される。最高裁は合憲の判断をするのではないか。

 

 NHKと視聴者は対立関係ではない。視聴者や社会が必要な放送のために、お金を出し合い、NHKの放送を支えていると捉えるべきだ。最高裁判決は、国民自身が公共放送や「知る権利」について考える良い機会になる。

 

 〔NHK受信料〕 NHKによると、契約対象とみられる約4995万世帯・事業所のうち、未契約は約2割の約1000万世帯。他に契約していても未払いの人もおり、契約対象全体に対する支払率は79%。NHKは2018年3月時点で、80%の達成を目指している。契約を巡って裁判で争っているのは、今年9月時点で35件。ほかに携帯電話のワンセグ機能に支払い義務があるのかなどを争う訴訟が続いている。

 

  

NHK受信料合憲 最高裁 テレビ設置時から義務

2017年12月7日東京新聞(朝刊)

 

 

 

 テレビを設置した人に契約を義務付けるNHKの受信料制度が憲法に違反するかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、合憲と初判断した。「テレビ設置時にさかのぼって受信料の支払い義務が生じる」との判断も示した。

 

 受信者が公平に負担してNHKを支える制度を認めたことで、「公共放送の在り方」を巡る議論や受信料の徴収業務にも影響を与えるとみられる。

 

 訴訟では「受信設備を設置した者はNHKと受信契約しなければならない」と定めた放送法64条1項の解釈が焦点となった。

 

 大法廷は、この規定がテレビの設置者に契約を強制するものだと認定。受信料制度は「憲法の保障する『表現の自由』や国民の『知る権利』を具体化するという放送法の目的にかなう合理的な仕組みで、契約の強制も許される」とした。

 

 判決ではNHK側の主張を全面的に認め、これまでの全国の地裁や高裁で出された同様の訴訟の判決とほぼ同じ。被告の男性側は「放送法の規定は強制力のない努力義務。強制を認めているとすれば憲法の保障する『契約の自由』を侵害する」と主張したが、退けられた。

 

 一方、大法廷は、契約を拒む受信者との間に契約を成立させるには、NHKが契約を求める訴訟を起こし、勝訴判決の確定が必要との初判断も示した。裁判官十五人のうち十四人の多数意見。木内道祥(みちよし)裁判官は「確定判決で契約は成立しない」とする反対意見を述べ、合憲性には触れなかった。

 

 訴訟は、NHKが2011年、受信契約を拒む東京都内の男性に契約の締結を求めて提訴。一、二審判決は契約と、テレビを設置した06年以降の受信料約20万円の支払いを男性に命じた。最高裁は男性の上告を棄却し、二審判決が確定した。

 

〔NHK受信料〕 NHKによると、契約対象とみられる約4995万世帯・事業所のうち、未契約は約2割の約1000万世帯。他に契約していても未払いの人もおり、契約対象全体に対する支払率は79%。NHKは2018年3月時点で、80%の達成を目指している。契約を巡って裁判で争っているのは、今年9月時点で35件。他に携帯電話のワンセグ機能に支払い義務があるのかなどを争う訴訟が続いている。