集団的自衛権の行使容認に反対する集会で、登壇する伊藤真さん(2014年4月8日、日比谷公園にて)

 

 新婦人しんぶん」に、わたしが深く深く敬愛してやまない…伊藤真さんが「共謀罪」について寄稿されていました。ピンクハートラブラブキラキラ

 

 「共謀罪」の法案は、報道によれば来月7日に「霞が関でサークル活動をしている『大臣』級オジさんたち」で“了解”し合って(閣議決定)、そのあと10日にも国会に提出される見通しとのことです。

 

 これは本当に危険な法案です。こんな法律が通ったら、わたしたちは

 

「テ!

ムカムカ

 

などと口実をつけられて、いつでもどこでも警察権力(→この人たちも「サークル活動」系のオジさんたちです)の好き放題を許すことになってしまいます。

 

 以下、「新婦人しんぶん」に掲載されていた「伊藤真のワクワク憲法塾」、「〈9〉『共謀罪』を提出させない」の全文です。

 

 

【引用はじめ】 

 

 「合意」を処罰!?

 

 政府は、東京オリンピックを控え、テロ対策を強化する必要があるとして、組織犯罪処罰法を改正し、共謀罪を今通常国会で新設しようとしています。

 

 共謀罪とは、一言でいえば、他人と犯罪を行う合意をしただけで処罰されるものです。

 

 殺人が行われる経緯をたどると、誰かがAを殺そうと決意し、共犯であれば共犯者と殺害に合意し(共謀)、凶器や潜伏先を準備し(予備)、実際にAの殺害が実行されます。一命を取り留めれば殺人未遂、死んでしまえば殺人既遂です。犯罪は、このように共謀→予備→未遂→既遂の順に、被害が深刻化していきます。

 

 日本の刑法では、その深刻度に応じて、処罰を分けています。処罰できるのは原則として既遂犯です。未遂犯を処罰するのは例外で、「未遂も処罰する」という法律の定めが必要です。死刑や懲役刑などの刑罰は自由を強く脅かすものなので、処罰できる場合を原則として既遂犯に限定したのです。深刻度がより軽い予備は、刑法では殺人、強盗、放火のような重大犯罪を9つだけ処罰できます。犯罪に合意したにとどまる共謀は、刑法では内乱の陰謀罪など極めて重大な3つの犯罪だけ処罰できます。

 

 このように犯罪結果から遠い行為を処罰するのは重大犯罪に限るというのが、現在の刑事法の基本的な考え方です。

 

 日常的に監視の対象に

 

 今回の法案は、「4年以上の懲役・禁錮にあたる犯罪」を行うことを目的とした組織が、団体の活動としてそれらの共謀した者を処罰するものです。政府によれば、暴力団や詐欺集団のような「組織的な犯罪集団」の犯行を処罰するものであり、一般人は対象外だとしています。しかし、そういう組織かどうかは警察の判断に委ねられ、捜査してみないとわかりません。ですから、新設の会社や市民運動団体、ペーパーカンパニーをもつ家族も捜査対象として日常的に監視の対象になりえます。LINE(ライン)やツイッターはもちろんメールや電話、果ては室内の会話もが捜査の対象となれば、プライバシーの重大な脅威です。

 

 また、そもそも4年以上の懲役・禁錮にあたる犯罪は、現行法で600以上あり、そこには万引きや釣り銭詐欺、キセル乗車など、重大でないものも数多く含まれ、これらの共謀を、処罰する必要があるとは思えません。刑罰は、犯罪予防には有益ですが、市民の自由との関係では諸刃(もろは)の剣(つるぎ)なのです。

 

 過去3回廃案に

 

 今回の法案では、「共謀」だけでは足りず、「犯罪の実行に必要な準備その他の行為が行われた場合」(over act)に限定する動きもあるようです。単なる目配せや、あごで合図する場合を除くためです。しかしそれで共謀の認定が限定できるとは思えません。たとえば、ATMでお金を引き出すことが、買い物をするためなのか逃走資金のためなのかは、外からは見てわかるものではなく、結局は行為者の意図、すなわち共謀の有無から判断せざるを得ないからです。

 

 そもそもなぜ、共謀罪の制定を急ぐのでしょうか。政府は、既に締結した「国連越境組織犯罪防止条約」が、重大犯罪について共謀罪を設けるように求めているからだとしています。しかしこの条約は、本来マフィアなどによる経済利益を目的とする犯罪組織を対象にしてきたもので、テロ対策とは関係がありません。しかも、先にふれたように、重大犯罪に限らず処罰の対象を一気に広げ、600を超える犯罪の共謀を処罰することまで、条約が求めるものではありません。

 

 「共謀罪」は過去3回、国会で廃案になっています。処罰の必要より国民の自由を侵す危険が高いからです。治安維持法のように、当初とは違う目的で悪用される場合もあります。わたしたちは今回も提出させず、しっかりと反対の声をあげていく必要があります。

 

【引用おしまい】 2017年1月26日付「新婦人新聞」より)

 

2014年4月8日、日比谷での集会のあと、横断幕を持ってデモを先導する伊藤真さん

 

 伊藤真さんには、いつもわたしが気づかないことを教えてもらって…感謝なのですが、この「集団的自衛権」の時にも、真さんは…わたしにそっと耳打ちしてくれました。(注:「耳打ち」は少し大げさな表現です…いつもの、わたしのホラ?)

 

 「『解釈改憲』という言葉を最近(注:2014年当時)聞くことがあるよね…、でも、ぼくはああいう言い方にはちょっと反対なんだ。『解釈改憲』という言葉を定着させてしまうと、憲法を新しく学ぶ人たちが、『改憲』の仕方(方法)には“明文改憲”と“解釈改憲”の2種類があるように錯覚してしまう可能性があるよね…。だから、ぼくはああいう言い方はあまりいいとは思わないんだ」(注:大意)

 

 

 そうなんです…!

 

「集団的自衛権」に反対する集会やデモなどに行くと

 

「解

 

 なんてコールを聴くこともあって、その四字熟語を聞くたびにわたしは真さんに言われたことを思い返していました。

 

 …え?

 

 伊藤真さんの著書は「世界一小さい図書館」にあるのか…ですって??ウインク

 

 あるに決まっているでしょ?『DAYSJAPAN』誌を約100冊そろえている「世界一小さい図書館」ですよ…。スタッフ一同、みなさまのご来館(と館外貸し出し)をお待ちしてま~~~す。

 

 

  新日本婦人の会

 「羊頭狗肉」の共謀罪 

  日弁連も「共謀罪」には猛反対! 

  「雨ニモ負ケズ…」(2016年9月19日ブログ)