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(阿古屋のチラシ)

 

◆鶊山姫捨松(ひばりやまひめすてのまつ)

・中将姫雪責の段

 前 豊竹靖太夫、野澤錦糸

 奥 豊竹千歳太夫、豊澤富助 野澤錦吾(胡弓)

(人形役割)

浮舟・桐竹紋臣

桐の谷・吉田一輔

岩根御前・吉田簑二郎

奴角内・吉田文哉

奴宅内・桐竹紋秀

大弐広嗣・吉田清五郎

中将姫・吉田簑助

父豊成卿・吉田玉也

 

 

◆壇ノ浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)

・阿古屋琴責の段

 阿古屋・竹本津駒太夫

 重忠・竹本織太夫

 岩永・竹本津國太夫

 榛沢・竹本小住太夫

 水奴・竹本碩太夫

 鶴澤清介、鶴澤清志郎 鶴澤寛太郎(三曲)

(人形役割)

秩父庄司重忠・吉田玉助

岩永左衛門・吉田文司

榛沢六郎・吉田玉翔

遊君阿古屋・桐竹勘十郎

水奴・桐竹勘介、吉田玉路、吉田和馬、吉田簑之

 

 

第三部。

中将姫の雪責めと、阿古屋の琴責め。

責め二種という演目が並んだ。

 

中将姫の方は、やはり簑助師の中将姫に尽きる。

雪の中で折檻される役だから、ほとんど動きがない。

 

無実の罪を着せられて、

継母から酷い折檻を受ける、可憐な姫。

 

人の心の奥底にある嗜虐趣味を見せつけるような、ちょっと正視できないような舞台だが、

簑助師が遣う姫には気高い魂が宿り、生きているとしか思えない。

 

折檻する方の継母岩根御前。

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どうも意地悪な役柄には、「岩」が付くようで、

この後出てくる阿古屋の「岩永」や、女では「岩藤」。岩のゴツゴツしたイメージがそのまんま役柄に投影されるようだ。

 

一部の、帯屋の長右衛門の親繁斎もそうだが、

この意地悪くてなんの取り柄もなささうな後妻を、なんで分別ありそうな父が娶ったのかが謎!

 

舞台上では、姫がひたすら折檻される場合が続く。これはいわゆる継子虐めだが、

現実の世の中では連日これでもかと、実の親からの虐待のニュースが流れてくる。

 

江戸時代のいわばワイドショー的な要素もあった浄瑠璃だが、

さすがに実の子への虐待の物語は聞いたことがない。

それでは、浄瑠璃が最も大事にしている「情」を描くことができないからだろう。

 

岩根御前(と、共謀の広嗣)は姫を殺してしまったと思い、オロオロし始め逃げる。

実は局たちと姫と予め示し合わせてあった姫の死んだふりで、

無事に逃がしてもらうという幕切れ。

 

この姫は、折口信夫の「死者の書」では蓮糸で曼荼羅を織る。

中将姫伝説という、今の私達の記憶からは消えてしまった、古い言い伝えが元になっている。

 

もう一つは、「阿古屋琴責」。

これは文楽では未見で、歌舞伎でしか見ていない。

(フィルムライブラリーの白黒フィルムのものは見せてもらったことがあったが)

 

歌舞伎では坂東玉三郎の、

三様の楽器を操りつつ唄い演技をするという、女形最高峰の芸を見せる演目だった。

これはもう、一人の人間のなせるわざといったものだ。

 

そこへいくと文楽では勘十郎さんが阿古屋の主遣いではあるけれど、

左は一輔さんで、このお二人の息の合った遣いぶりで、

人形が生きているかのような演奏シーンを繰り広げていく。

 

さらに、実際の音は寛太郎さんがすべて演奏をし、

ソリストを支えるオーケストラのように三味線二挺と太夫の語りが入ってくる。

幾重にも重なった芸の姿を見るにつけ、なんと贅沢な芸能に接している事よ・・

と、思いを新たにする。

 

しかし、阿古屋は常にうつむき加減で演じられていたので、

唄っているという様子は見られなくて、文楽では楽器の演奏だけかな・・?

と思ったが、そうではなかったようだ。

楽器演奏しつつ唄っている様子を遣うというのは、本当に難しいのだろうが。

 

三部は人形に注目ということで、双眼鏡持参だった。

(うっかりして、日付が前後するブログアップになってしまった。)