こんにちは! ビジネス力向上トレーナーのみのりんです!
早速、今日もお題に行ってみましょう! 本日付日経新聞朝刊3面、「リースに政府保証」という記事から、設備投資の際リースにするか購入にするかの意思決定について考えていきます。
記事の内容は、政府が先端技術の導入にリースを活用させる目的で、リース会社に対する補償制度の整備と保険料基金への拠出を行った、というものです。記事によれば、リースを推進する理由は、「(企業にとって)財務負担を軽くできるから」ということです。確かに、設備を購入する場合は、当然ながら最初に多額の資金を用意しなければいけませんから、その必要がないリースはそれだけで財務負担が軽いと言えます。今回は、少し長い目で見た場合でもリースがトクになるのかどうか、今回の記事で紹介されていた株式会社龍森のケースで検証してみましょう。
今回、龍森社は生産規模3億円の設備(工業用粒子のふるい機)をリースで導入します。購入の場合との有利不利を判断するにあたって、まずこの設備の価格ですが、記事には情報がありません。ですので、有形固定資産回転率を8回と仮定し、3億円÷8回で3750万円の設備を導入する、と仮定します。
まず購入ですが、前提としてこの設備の耐用年数は5年、残存価格(5年経過後に、購入時の何%の価値が残っているか、ということです)は0%、減価償却方法は毎年一定額を償却する定額法、とします。また税率は40%とします。
上記の条件で、購入によって5年間で出ていくお金の総額を計算します。まず、当然ながら最初に3750万円がドーンと出ていきます。ただしその後はお金は出て行かず、逆に毎年の減価償却費750万円(3750万円÷5年)が費用計上されるため、節税効果300万円(750万円×40%)の「トク」を生み出します。よってトータルの「出ていくお金」は300万円×5年-3750万円=-2250万円(マイナスは、「お金が出て行った」ということを意味します)となります。
一方、リースですが、前提としてリース料総額は5年間で4312.5万円(設備価格の115%)とし、1年ごとに均等価格を支払うものとします。こちらは購入のように最初はお金は必要ありません。その代わり毎年リース料862.5万円(4312.5万円÷5年)を支払い、これが「出ていくお金」となります。ただし、このリース料も減価償却費と同じく費用計上されますので、節税効果345万円(862.5×40%)の「トク」を生み出します。よってトータルの「出ていくお金」は、(-862.5+345)×5年=-2587.5万円となります。
あれ? 購入の方がマイナスが少ないですね。ということはホントは購入の方が有利なのでしょうか? 実は、この計算にはひとつ重大なことが抜けています。
購入の場合の「トク」300万円と、リースの場合の「トク」と「出ていくお金」の差引-517.5万円が生じるのは、早くて1年後、遅い場合は5年後です。1年後、あるいは5年後の「300万円」や「-517.5万円」は、現在の「300万円」「-517.5万円」と同じ価値でしょうか? 例えば、年利1%の銀行の定期預金に預けて1年後に300万円にしたいと思ったら、今預ける額は300万円÷1.01=297万円、ということになります。これは逆に言えば「1年後の300万円の現在の価値は297万円」ということと同じです。
この手の計算をする場合、この「年利〇%」に当たる数字を「資本コスト」と言い、企業に資本を提供する株主や債権者(銀行)の期待収益率がこれに当たります。「トク」や「差引額」をこの資本コストで割り引いて、投資キャッシュフローにおける現在の価値を出す、というプロセスが抜けていたのです。このプロセスを入れると、購入の場合は「トク」の300万円が時間の経過とともに割り引かれて目減りするのに対し、リースの「差引額」のマイナスは時間の経過とともに減少しますので、トータルではやはりリースの方が有利、という結果になります。参考までに資本コストを5%と仮定した結果をお示します。
購入:
300万円×4.33-3750万円=-2451万円
リース:
-517.5万円×4.33=-2240万円
※4.33とは、年金原価係数といって、年利5%で割引計算する際の係数です。
これは「DCFモデル」(割引キャッシュフロー・モデル)と言われ、経営上の意思決定に幅広く使われているツールですが、割引率の算出が難しいなど、問題点もあります。頑張って説明したつもりですが、お分かりいただけましたでしょうか?
それでは、また!