廃墟の周りは広い草地となっていて、一見するとただの草原にようだが、よく観察すると道があった形跡が残されている。
おそらく夏ともなれば草が生い茂り見通しもきかなくなってしまうだろうが、今時期なら見通しもよいので少し歩いてみることにした。そう、ここが何なのかわかる手掛かりが見つかるかもしれない。
ところどころに古びた消火栓や配管の残骸などが残っていて、かつてここには集落があったのではないかと予想するも、それにしては建物の基礎がまったく残っていなかった。
建物を撤去しても基礎部は新たな土地利用計画でもない限り残されるものなのに、それらしい基礎はどこにも見当たらなかった。
謎は深まるばかりだ・・・
少しだけのつもりだったのに、気が付くと500メートルほど廃墟から離れてしまったので再び廃墟へ戻ることにした。もう一度建物をよく観察すれば、何かわかるかもしれない。
しかし鹿の死骸がやたらと多い。実は有毒ガスが噴出しているため、健康上の理由で閉鎖かとちらっと頭をよぎったが、冬眠をしない鹿が冬に死んでしまうのは普通にあることなので、それは考えすぎだろう。
建物に戻り、注意深く周りを廻っていると、容易に進入できる場所が見つかった。
ところどころ天井が崩れ落ち、少々危険な状況だったが、ここの正体を確かめずにはいられなかった私は、ためらわず建物内へ進入したのだった。
初めに侵入した広間には古タイヤや玩具など、この施設とは関係ない、いわば一般家庭の不法投棄物らしいゴミが散乱しているだけだったが、隣へ移ると最も私を納得させるにふさわしい、そう、大浴場が現れたのである。
浴槽は非常に大きく、長辺で5mほどのものが三つと、画像奥に小さめのものが二つと、かなり規模の大きな浴室である。
ここでやっぱりここは温泉施設だったのだと納得したかったのだが、この建物の外観を考えるとどうもスッキリしなかった。
浴槽内はゴミで埋まっていた。さすがにこれらのゴミを確認するほどの情熱はなく、これほどの規模の温泉なら家に帰ってからネット検索すれば、すぐに正体が判明するだろうと判断して外へ出ることにした。
夕方から雨予報が出ていたので先を急ぎたかったが、最後に流れ出た温泉がどこに流れているのかを確認することにするが、沼を経由した湯は地下へと流れ、最後まで確認はできなかったが、おそらくパイプを経由して川に流れ込んでいるのだろう。
ここで廃墟探索を終了し帰路につく。
芦別には珍魚を扱っている(タコの卵とか)スーパーがあるというので寄ってみたが、お目当てのハッカクはなかったので何も買わずに店を出た。
途中、ダム湖に寄ったところでとうとう雨が降り出した。本降りではないのでびしょ濡れになることなく帰ることができた。
今回はツーリングのはずが、思いがけず廃墟探索へと変わってしまったが、久しぶりに好奇心を大いに駆り立てられた一日となった。
やはり初めて走る道というのは発見が多い。
廃墟の正体は、結局検索してもその日にはわからず、翌日職場の人に聞いたところでは、かつて炭鉱の施設があった場所ということだけががわかり、推察するにあの廃墟は、炭鉱で働く大勢の労働者が仕事を終えて汗を流す大浴場だったのだろうという結論に落ち着いたのであった。
走行距離 115キロ











