まず、裁判員制度については、裁判所にいろいろ説明があるので、それをみるのが一番ですが、
裁判員制度
http://www.saibanin.courts.go.jp/
一言でまとめると、一般人がにわか裁判官として、職業裁判官と一緒に裁判をするということらしい。
次に、ニュースのリンク
「惨劇」「重圧」 裁判員制度廃止求め 経験者が国を提訴 ・・・・・・河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/05/20130508t73019.htm
「裁判員でストレス障害」 福島の女性が国を提訴・・・・・・・・・・・河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/05/20130507t63031.htm
ストレス障害の元裁判員女性が提訴へ 「意に反する苦役」と国賠請求 ・・・・産経
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130503/trl13050312160001-n1.htm
記事は、他にもいろいろありますが、ニュース記事としては、地元の利を活かして原告にインタビューをした河北新報が一番詳しい。
趣旨を要約すると、裁判員に強制的に任命されて、現場写真を見てストレス障害になった、こんな制度はひどいから、裁判を起こせば裁判員制度がなくなるだろう、、ということのようだ。
自分の個人的な感想としては、いろいろつっこみたいところがあるなぁ、というカンジ。
まず、女性側の
>>「呼び出しに応じない候補者への制裁などを定めた裁判員法により、出頭を強制され、裁判員となった。」
>>>女性側は「裁判員制度は、意に反する苦役に服させられないことなどを定めた憲法に違反する」と主張している。
についてですが、要は強制的に裁判員にさせられた、という主張だ。
しかし、女性本人が認めているように
昨年12月、福島地裁郡山支部から裁判員候補者の呼び出し状が届き、注意事項に目が留まった。「正当な理由がなく呼び出しに応じないときは10万円以下の過料に処せられることがあります」
となっており、選任される前に正当な理由があれば辞退できる理由が法に規定されている。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律 16条
http://www.saibanin.courts.go.jp/shiryo/pdf/02.pdf
この女性の場合には、
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第十六条第八号に規定するやむを得ない事由を定める政令
六 前各号に掲げるもののほか、裁判員の職務を行い、又は裁判員候補者として法第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することにより、自己又は第三者に身体上、精神上又は経済上の重大な不利益が生ずると認めるに足りる相当の理由があること。
http://www.saibanin.courts.go.jp/shiryo/pdf/28.pdf
ちょっと長いので、関係する部分だけ抜粋すると、
「裁判員の職務を行い、自己に、精神上の重大な不利益が生ずると認めるに足りる相当の理由があること」
に、選任前から該当する可能性があったということになる。ただ、選任前にはそのようなことが相当程度に予想できなかったとしても、辞退は裁判員に選任された後にもできることになっている。
第四十四条 裁判員又は補充裁判員は、裁判所に対し、その選任の決定がされた後に生じた第十六条第八号に規定する事由により裁判員又は補充裁判員の職務を行うことが困難であることを理由として辞任の申立てをすることができる。
女性は、選任前から
”裁判と無縁の人生。「人を裁けない」と苦悩した。”
ということがあり、その時点で辞任する旨を申し立てればよかったのである。
その後に辞任の「決定的な理由が見つからなかった。」と女性は自分で判断をして辞任申し立てをしなかった結果、裁判員に選任された。
そして、「裁判員になった3月1日の夜から心身に変調を来す」とあり、その時点で、辞任を申し立てればよかったのに、辞任をせず、3月4日に現場写真をみて、ストレス障害になったのである。
制度上、このようなストレス障害となるようなことが予見される場合には辞任できる旨が定めてあるのに、「制度をなくすべき」という結論になってしまうのは論理の飛躍がある。
実際のところ、辞任をする人は結構存在する。
裁判員裁判の実施状況等に関する資料13ページ
http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/pdf/09_12_05-10jissi_jyoukyou/h23_siryo_digest.pdf
ただ、結果としてこの女性のような不適格者を選任してしまった選任プロセスは改善すべきだ。
なんだか、日本人て変に我慢する傾向にあるのかなぁ、とか、年寄りには、こういうことをネットで調べる調査能力はないのかなぁ、とか、そもそも裁判所に嫌なんですけどどうしたらいいですか?と聞くとかできないのかな、とは思う。ま、自分も変に無理してやっぱりダメになるタイプですが。。。
あと、訴訟の請求上は損害賠償を請求しているが、本当は別のことを目的としている(この事件では制度の廃止)、という訴訟は、悪く言えば、訴訟提起事態を嫌がらせとして起こすのと、図式は一緒だと思う。