隣の爺さん・・・
なんと強制退院させられた!

薬は飲まない。注射しない。外出させろ。と散々ワガママを言い、看護師を悩ませたアベの爺さん。
それなのに看護師や先生がいないとベッドでハリウッドザコシショウばりのダミ声で「ウガァー イデェー」の連続。
夕べはホントに眠れず耳栓をしてやっと寝ました。

で、このアベの爺さん、最後まで気にしてたのが車検。
「車検やるために車に行かせろ」「法律違反になる。違反させる気か」「日本では車検の切れた車には乗れないの!そういう決まり」

うーむアベさん。
その携帯で車屋さんに連絡するば良いんですよ。なんなら紹介しましょうか?



とても大人しい感じの皮膚科の先生がついにブチ切れ!
「病院は治療するところです。その治療に協力頂けないと言う事ですので・・・ 今から退院して下さい!」

哀れアベ爺
急いで荷物をまとめ這々の態でこの病室を後にした。


それから数分後

オレは放射線治療のために1階の放射線科へ。
暫く待ってるとビニールハウスのような外気を通さない乳母車が運ばれて来てその中にはまだ2才ぐらいのとても痩せた男の子がいた。
その子はそのままお母さんと一緒に放射線室に入って行った。
少ししてお母さんが出て来た。
中からママを呼ぶ泣き声が聞こえる。
そして放射線照射が始まった。


あんな小さい子が生きようと必死で戦ってる。

オレはとても大きな勇気をもらった。
「怖がってなんかいられない」

と同時にこの姿をアベの爺さんに見せてやりたいと思った。

ここは県内でも有数の先端医療の整った病院でもある。殆どの人が地域の病院から紹介状をもらってやって来る謂わば重病人だらけの病院でもある。
だからこそここのスタッフは一生懸命で手抜きなく誇りを待って仕事してるように思える。
普段はボーッとしてそうな先生でも良い加減な患者は許せなかったんだと思う。

アベの爺さんには爺さんなりの理由があったのでしょう。
しかしソレを受け入れるほどこの病院は暇じゃない。他に沢山の治療や手術を待ってる人がいるんだから。


オレが放射線の治療を終えた頃にはもう男の子は帰った後だった。





入院して1ヶ月。

誰だい?入院生活は退屈だって言ったやつは。

オレは人生で大切な事を毎日学んでる気がしています。


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爺さんが出て行って静かになったベッド。
カーテンの隣がオレのベッドです。