(5年生の話)

 

 

うーちゃんの週1回の通院は、

入院するまでほぼ続いていました。

 

 

毎回、先生の前で

体重計に乗り、

決めた体重より少なくなったら

入院すると約束していました。

 

 

しばらくは素直に通っていたので、

うーちゃんは嫌々ながらも

体重計に乗って、

目標体重はなんとか

クリアしていました。

 

 

 

 

小学生の親御さんなら

私と同じような方がいらっしゃるかも

しれませんが、

すぐ「お茶ちょうだい」という

子供たちのために、

私はいつも水筒を持ち歩いていました。

 

通院の際も

必ず水筒は持って行っていました。

 

 

 

うーちゃんは

元々よくお茶を飲む子でしたので、

診察前によくお茶を飲むうーちゃんを

最初は特に気にも留めませんでした。

 

というより、

摂食障害を知ったばかりの私は、

うーちゃんのすることの意味が

全くわかっていませんでした。

 

 

何回目かの通院でやっと、

うーちゃんが体重を多くするために

診察前にお茶を飲んでいることに

気付きました。

 

さらに通院を続けているうちに、

うーちゃんがポケットに物をつめて

体重をごまかしていることにも

気付きました。

 

 

 

主治医のS先生は、

「たとえごまかしていても、

 目くじら立てなくて大丈夫です。

 そのくらいは大目に見て

 あげましょう」

と言って、

体重を図る前に

うーちゃんが重りをもっているかなど

確かめることはありませんでした。

 

 

しかし、

そういったごまかしを知った私は、

うーちゃんの行動が

いちいち気になるようになりました。

 

それに、

ひどい拒食期を脱したとはいえ、

まだ痩せすぎのうーちゃんの体重を

正確に把握しないのは、

よくないのではないかと思いました。

 

 

病院に向かう車の中での

うーちゃんの動きが気になりました。

私にばれないように

お茶を飲んでいるのではないかと

疑いました。

 

通院の際、

毎回うーちゃんが

ジーンズを履くことに気づいてからは、

うーちゃんが必要以上に厚着しているのではと

勘ぐってうーちゃんを見るようになりました。

 


以前は

診察を待つ間、

診察時間を最大限有効に使うために、

先生に相談することや

質問することを、

頭の中で反芻したりメモしていたのですが、

その時間、

うーちゃんの行動を横目で

追ってしまうようになりました。





重りを発見したのは、

我が家の下駄箱でした。

下駄箱の奥の奥に、

見たこともない工具の一部?のようなものが

ありました。

 

「あれ?

 これなんだろう」

 

と思いました。

手に持ってみると

思いのほかずっしりしていました。

夫の物かと思い

そのままにしていましたが、

数日後、

うーちゃんのバッグの中で

その工具のようなものを発見したのです。

 

うーちゃんが病院に持っていった

バッグの中でした。

 

 

また別の日、

うーちゃんのクローゼットで

文鎮のような小さな重い物も

見つけました。

 

これも

うーちゃんの体重をごまかすための

重りだな、と思いました。

 

 

工具の一部のような物は

工事現場で拾ったとのこと、

文鎮らしきものは、

小学校の備品でした。

(翌日返させました。)

 



うーちゃんを

疑いの目で見るようになりました。


そういう目でうーちゃんを見ていると

自分自身が苦しくなりました。

 

何を見逃し、

何を注意するべきか

その線引きもわからなくなって

いきました。

 

 

ギスギスした空気が

うーちゃんと私の間に

絶え間なく流れるようになっていきました。