(5年生の話)
拒食期のうーちゃんが
ジューススタンドのジュースを
飲むようになったので、
家でもフレッシュジュースを
作ってみることにしました。
うーちゃんは拒食症になる前から
料理にあまり興味がなく、
発症後も自らキッチンに立つことはなくて
食べ物の準備もほぼ私にまかせていました。
今回のジュースも私が作ることになりました。
ミキサーはなかったので購入。
冷凍イチゴや冷凍ストロベリーの
大袋も買いました。
私はうーちゃんに、
「余計なものは入れないから。
約束するから」
と平然と嘘をつき、
うーちゃんの見ていないすきに
ガムシロップ2つを
ミキサーに入れました。
ガムシロップ2つで
プラス60カロリー。
貴重な60カロリーだと思いました。
すぐにガムシロップの空容器も
ゴミ箱の奥の奥に押し込み、
うーちゃんの目に触れないようにしました。
甘味はジューススタンドのジュースと
同じくらいだったので、
うーちゃんは特に疑問も持たなかったようで
出来上がったジュースを
全部飲んでくれました。
それからは、
ジューススタンドにも通いつつ、
家でもフレッシュジュースを毎日のように
作りました。
毎回ガムシロップを入れるところを
見られないようにするのが
本当に大変でした。
冗談でなく、
狙った相手の飲み物に
毒を入れる殺人犯のような、
すごい緊張感の中で
シロップをこっそり投入していました。
あまりに慌てすぎて
シロップをこぼしてしまうこともありました。
そのときはその痕跡も消すために、
急いで拭きあげ平静を装っていました。
買ったシロップも、
工具などを入れている棚の奥に
隠して収納して
シロップの存在自体を
うーちゃんに気付かれないように
していました。
もしうーちゃんにシロップのことを知られたら、
暴れてミキサーを壊すかもしれない、
二度と手作りのものを
食べなくなるかもしれない、
どんなジュースも飲まなくなるかもしれない。
さらにひどい拒食になるかもしれない。
そう思うと、
1カロリーでも多く
うーちゃんに食べさせたいけれども
絶対に気付かれてはいけないと、
本当に必死でした。
うーちゃんがあの頃、
どんな気持ちで私の作ったジュースを
飲んでいたか
わかりません。
もしかしたら、
痩せすぎでつらくて、
ジュースくらい足さないと
生きていられなかったのかもしれません。
当時のうーちゃん、
身長は140センチくらいで
体重は22キロくらいでした。