(5年生の話)
拒食期のうーちゃん、
なぜかジューススタンドのジュースを
飲むことができました。
それがわかってからは、
給食を食べずに早退すると
決まってそのまま
ジューススタンドに向かいました。
うーちゃんはいつも
スイカジュースです。
私が別のジュースを注文したとき、
うーちゃんが
「一口ちょうだい」
と言ってきました。
そして、
私のジュースも半分くらい飲みました。
それが嬉しくて
次からは必ず
私も別のものを
注文することにしました。
本当はバナナジュースを頼みたいな、
と思ったときも
バナナはうーちゃん無理だろうと思い、
ベリー系とか柑橘系にしました。
今日は飲みたくないな、
と思ったときでも
うーちゃんがちょっとでも
飲んでくれるかもしれないと思い
毎回注文しました。
毎日だと高くつくなぁと思っても
必ず注文しました。
あまりに連日同じくらいの時間に
通っていたので
店員さんが
(あ、またあの親子だ)
と言う顔をするようになりました。
その店員さんは
ちょうど私と同じくらいの40代の女性。
とても優しく対応してくれて
気持ちのよい方でした。
しばらく通ううち、
その店員さんが
お会計のときに、
何かを言おうとしてやめるような
素振りをするようになりました。
そして結局は
毎回
何も言わずに
通常とおりの接客で終わりました。
平日のお昼、
暗い顔をした小学生とそのママが
いつも来るのを
その店員さんは不思議に
思ったかもしれません。
何か声を掛けたくなったのかもしれません。
でもきっと
何か事情があると思い
言葉を飲み込んでくれたのでは
ないかと思います。
もしあの時
何か声を掛けられていたら…。
「学校お休み?」
とか
「スイカジュースお好きですか?」
とか
そんな些細な会話でも、
私はうまく答えられず
次の日はもう行けなかったかもしれません。
目の前のジュースを
うーちゃんが飲んでくれること、
それを毎回祈るような気持ちで
見守っていたので
全く心の余裕がなかったのです。
あのときのうーちゃんには
あのジューススタンドのジュースが
間違いなく命を支えていた大切な物の
一つでした。
欠かせない貴重なカロリーでした。
あの店員さんが
何かを察して
何も言わずに普通に接してくれたこと、
今でも有り難く思い出します。