(5年生の話)

 

うーちゃんの

ヨーグルトの冷凍についてのこだわりは

日に日にひどくなっていきました。



ヨーグルトを冷凍室に入れる時間や

ヨーグルトの向きを変える時間が

少しでもずれるだけでも、

癇癪を起こすようになりました。



私は、

このこだわりが摂食障害による

仕方ない状況なのか

(だから受け入れるべきなのか)、

それとも

ただのワガママなのか、

判断できませんでした。



主治医のS先生に相談すると、


「食に対するこだわりが強くなることは

 よくあります。

 うーちゃんは、凍らせ方にこだわって

 いるんですね。

 お母さんが無理のない範囲で

 付き合ってあげてください」


と言われました。



S先生を目の前にして

お話をしているときは、

なんとなくわかったようなつもりに

なっているのですが、

いざうーちゃんと向き合うと

簡単にはいきません。




無理のない範囲って??



私に課された

ヨーグルトスケジュール。

守ってあげたい自分と、

そうしたくない自分。


どこまでが摂食障害の子の親として

してあげるべきかわからないまま、

結局自分の気持ちは二の次にして

私はできる限りのことを

してあげていました。




ところがある日、

私はまたうっかり

ヨーグルトを冷凍室に

移し忘れてしまいました。


それを知ったうーちゃんは

以前より更にひどく

泣き叫んで、

私を責め立てました。



「なんで?!

 入れてって言ったよね?!

 なんでやってくれないの?!」


「ねえ、ママ?!

 聞いてる?!

 言ったよね?

 なんでよ!

 なんでいれてくれないの!」




私は、

思わず怒鳴り返しました。




「うるさい!!

 忘れただけでしょ!

 たかが冷凍でしょ!

 どうでもいいでしょ!!

 うるさいっ!

 うるさいっ!!」




そして私は、

冷蔵庫から移し忘れたヨーグルトを

取り出し、



「こんなものっ!!」



と床に投げ付けてしまいました。



ヨーグルトは床一面に飛び散りました。







しばらくしてから、

私は無言でキッチンの床と

その周りに飛んだヨーグルトの

掃除を始めました。



四方八方に飛び散ったヨーグルトの掃除は

1時間近くかかりました。


システムキッチンの埋め込み式の

足元用ヒーターにも

ヨーグルトがかかってしまい、

手の届かない奥にまで

ヨーグルトが入り込んでいました。

拭いてはみたものの、

スイッチを入れると

牛乳の焦げたような

嫌な匂いがして

使えなくなりました。





私がこんな風にキレてしまうほど

うーちゃんにイライラしても、

結局うーちゃんは

何も変わりませんでした。


私の態度や気持ちなんてどうでもよくて、

この頃のうーちゃんの関心事は、

ヨーグルトなど、

食べ物にしか向いていませんでした。