(5年生の話)
5年生の秋、
運動会の前日の朝、
炊飯器を見たら
タイマー予約をしたはずなのに
ご飯が炊けていませんでした。
あれ?
おかしいな?
よくよく見ると
電源が入っていませんでした。
なんで?
ボタンを押しても
反応しません。
コードをたどってみると
途中でコードが
切れていました。
どういうこと?
起きてきたうーちゃんと
妹のゆうちゃんに
聞きました。
「ねえ、見てこれ。
切れてるんだけど」
ゆうちゃんは
「えー、知らないよ。
ご飯炊けてないなら
パンでいいから
早くちょうだーい」
と言い、
うーちゃんは
コードを一瞥して
「知らない。
どっかにひっかかって
切れたんじゃない?」
と興味なさそうに言うだけでした。
私は
切れたコードを
まじまじと見ました。
切断面はきれいで
刃物で切られたように
思えました。
あやしいとしたら
うーちゃんですが、
態度からは
うーちゃんの仕業とも
思えないような気がしました。
白いご飯を全くといっていいほど
口にしないうーちゃんが
わざわざ炊飯器のコードを切る理由も
思い付きませんでした。
炊飯器が置いてあった
棚を動かし、
棚の後ろの
コードの通っていた位置を
確認しました。
炊飯器の横に置いてあった
電子レンジの裏側の
プラスチック部分が
一部欠けていて尖っていました。
ひっかかるとしたら
そこしかありません。
そんなところに
ひっかかったくらいで
丈夫な電気コードが
切れるとは思えませんでしたが
そこで切れたのかもしれない、
と、それ以上は考えませんでした。
うーちゃんは影響ないにせよ、
炊飯器が使えないことは
私とゆうちゃんには大問題。
半年前に買ったばかりだったので
買い換えるのも嫌。
念のためメーカーに電話してみると
修理可能で、
修理中は無料で代替品を
貸してくれるとのことでした。
うゎー、修理してくれるし、
そんな気の効いたサービスも
あるんだ!
なんかほっとして、
うーちゃんとゆうちゃんに
メーカーが修理してくれることを
話しました。
その夜
単身赴任中の夫が
運動会を見学するために
赴任先から帰ってきました。
炊飯器の話をすると、
「見せて」
と言うので
炊飯器の切れたコードを
見せました。
主人は
見るなり、
大きな声で言いました。
「バカなの?!!
これ、どう見たって
切られてるでしょ!!」
「あのさ、
これのどこが
ひっかかって
切れたように
思えるの?!」
「うーちゃんが
やったに決まってるでしょ!!」
その後
うーちゃんと話し、
うーちゃんのやったことだと
判明しました。
「ママが運動会に
お握りを作ったら
嫌だから切った」
うーちゃんは
そう言いました。
気持ちを打ち明けてもらえないことも
ショックでしたし、
まともな判断も対応もできなくなった自分が
悲しくなりました。
うーちゃん仕業であるという事実に
向き合う気力も失っていました。
私はこの頃、
冷凍のことや
買いだめ、
それ以外にも大小様々な
うーちゃんの問題行動に
日々振り回され続けていました。
「もうだめかもしれない」と、
ときどき思うようになっていきました。