テレビなんかで見る歌謡曲ってあんまり興味がない

だからそれについて話したくはない

大体音楽自体は垣根なく好きなんだけど

テレビ用に編集された演歌みたいなものがどうも性に合わない

それで、あの歌手の歌が上手いとか言っているのを聞くと

なんかとっても小さな世界だなぁと感じてしまう

マスコミや人気によってランク付けされた歌うまって胡散臭い

好きな歌手を歌うまにランクインさせたいんだろうけど

根本的にうまいから売れるとは限らない世界なのだ

私も音楽評論家を自称しているもんですから(笑)

そういう質問をしてくる人もいる

そこで私が並みの答えをするのも自尊心が許さない

そこいらの評論家ほど目が曇っていない証明をしなければ、と!

そういう時出してくる名前が、(五輪真弓)さんである

 

五輪真弓さんは歌謡曲というジャンルで飛び抜けて上手い歌手だと思う

皆さんはこの人を歌謡界にいる歌手だと思っているかもしれないが

実は女性シンガーソングライターの走りだった人なのだ

荒井由実や中島みゆきよりはるか以前にフォーク歌手でデビューしている

15歳で「少女」という曲をピアノの弾き語りで歌っていた

そういう当時のことを知っている人は少ないが

私は15歳の少女の唄う「少女」に少なからず衝撃を受けた一人だった

この若さで、この歌唱力は信じられなかった

だが先に言ったように、この世界は歌が上手いから売れるというものでもない

15歳という年齢とその技量があまりにかけ離れていたのだ

彼女はほとんどメディアに取り上げられることもなく姿を消していった

 

そして数年の時が過ぎ、彼女がテレビに出るようになった姿を見て驚いた

その技量はパワーアップしていたけれど、それに見合うだけの年齢になつていた

彼女の歌謡界のデビュー曲「恋人よ」は紛れもなく

彼女のような高い歌唱力がなければ成り立たない名曲だった

 

 

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五輪真弓は私の知っている限りでは一番上手いシンガーだと思う

だが音楽雑誌を見ても、彼女の歌唱力については

通り一遍の賛辞しかされていない

だから、私は日本の歌謡界を小さな世界だと感じてしまうのだ

 

いつかテレビから出なくなって忘れ去られるのかと思われた彼女だったのだが

何の偏見も持たない人々によって再び支持される奇跡が起こった

彼女の裏名曲といわれた「心の友」がインドネシアで爆発的ヒットをした

現地ではこの曲はただの流行歌扱いはされていない

インドネシアでは、国歌と同等の扱いで愛されているのだ

スマトラ沖地震の時に人々を勇気づけたのもこの曲だった

みんながこの曲を心の頼りにして苦難を乗り越えたのだった

 

本来の音楽の持つ力ってすごい

だから、ひとつの楽曲が何枚売れたなんてほんとに小さな事だ

そんな小さな歌謡界で誰が上手いなんて大した話じゃない

五輪真弓の唄う「心の友」が成し遂げた偉業に比べればね

 

 

 

私にとって「心の友」は音楽そのものだった