銭湯に行ってたら

洗い場の通路で年上の人の背中を流してる若い人がいたんですよ

狭い通路ですから、私は後ろを苦労しながら通り過ぎようとした

そしたら、若い人がその気配にバランスを崩して転びそうになった

急いで後ろを抱えてあげたんですけど

何とよく見ると。背中にタトゥーが入ってる

それで背中を流されているオジサンのほうはもっとすごい全身タトゥーだった

 

おいおい、こんな人を銭湯に入れるの やばかねぇ

 

そしたら、若い方の人が偉い丁寧に礼を言うんだよね

それで私も畏まって、いえいえとんでもないです

って返事をしてたんだけど・・・

じっと私の顔を見るなり

『アレぇ、私の知ってる人によく似てる』って言うんです

それで兄貴分の人に『ねえねえ、似てますよね』って話しかけてる

それで振り返った兄貴分の人の顔が

どっからどう見ても ザ・893 なんですよね

 

その怖い顔が私を見るなり、ちょこんと頭を下げる

案外礼儀正しいのかも って思ってたんだけど・・・

しばらく弟分に何か耳打ちしてる

 

それからどうなったかというと

『どうしても、その似ている人と合わせたいので、ご同行願えませんか』

眼が頼み事をしている人の眼じゃない(笑)

言葉は丁寧でも無言の圧力をかけられてるのは分かります

こういう人達って、したてに出る時の方が反動が怖い

 

絶体絶命のピンチですよね

 

多分、下手な言い訳をしても通じないと思う

妙に神経を逆なでするよりかは

ここは黙って従うしかないと覚悟を決めました

 

それで黒塗りのベンツに乗せられたんですけど

道中の車の中で喋ってる内容を聞くと

どうやら、これから向かう先は、(般若の兄貴)と呼ばれる人の家

 

おお、怖い

 

で、

車が私の知っている見慣れた路地に入ってスピードを落としたので

ここなら、地理を熟知していて、逃げられると判断した

カーブで止まった時に、ドアハンドルに手をかけた

それで、飛び出して一目散に逃げました

車で追って来れない細い路地を抜けて自宅にやっとの思いでたどり着いた

 

家に着くなり、余りの出来事にベットに倒れ込みましたよ

すごーい倦怠感とびっしょりの汗で

いつのまにか眠っていたんでしょうね

 

肩をとんとんされて目覚めると、

なっ!なんと、

枕元にさっきの二人組

 

 

『般若の兄貴にそっくりなお方を見つけて

兄貴の手土産にお連れしようとしたんですけど

ここに来る途中で逃げられてしまいました』

 

二人が神妙に私に頭を下げてる

 

内心、私はビビりながら

『俺みたいな男前が他にいるなら見てみたかったなぁ』

 

混乱した頭で、ハハ八ッと高笑い

 

 

 

 

これは夢で有ってくれと願いながら

はて?

どっからが夢だったのか

 

私って一体誰?