はぁい、オクラホマミキサーでございます

実は今回は曲の紹介ではない

この曲、皆さん知ってますよね

そう、フォークダンスといえばこれ

 

 

おおたか静流さんの作詞がとてもステキなのですが

まあ、今日のお話のBGMだと思ってください

 

あんまりあなたが好きなので

 

 

 

 

 

 

時は高校2年生の頃に戻る

 

体育祭も近づいてきてフォークダンスの練習もする

このダンス、次々にパートナーが入れ替わる乱交パーティ

ちゃーう!

 

ウブで真面目な男生徒が女性と初めて手を繋げるチャンス

ドキドキブルブル 手が震えてましたがな

 

(* ̄▽ ̄)フフフッ♪

どうやってブルマの中に手を入れようかと、震えてますたぁ~

ちゃーう!

 

 

体育祭の練習は同じクラスでやるでしょう

私のクラス、ブスばっか

フォークダンスで緊張する要素は何もなーし

手を繋ぐのも嫌々やってました

 

 

で、練習中にクラス1のブスのラスボスから

『いや~ ムンスタ君,手がすごく熱い』

 

なんて冗談も花子さん

ホント首絞めて殺したろか

50トンのプレス機で頭挟まれて死んでくれや

 

なんかぁ~

わしゃ、お前の手を握るのに興奮して熱くなっとると言いたいんかぁ

嫌なことを我慢しとるとイライラして手に汗かくんじゃ ボケ

 

 

なんて下品なことは言わずに

純情青年は二度とそのラスブスの順番が回ってこないことを祈るばかりである

 

 

 

私がなぜ、こんなに嫌な思いまでして

フォークダンスの練習をしているかには、訳があった

体育祭最終時間にフリー参加のフォークダンスタイムがあるからだった

学年の壁を越えて意中の人と手を繫げるのは

この機会しかないのですよ

 

 

 

 

 

その人はおとなしく地味な上級生の女性だった

だから交際しようとか告白しようとかそういうのじゃない

ただ、なんとなく前から気になっていた

遠くで見ているだけなんですけれど

立ち居振る舞いがとても女性らしくて控えめなんです

私ずっと昔から、憂い顔の女性って好きで

そういう人見ると近づいて、かまってあげたくなる

なんか、笑顔にさせたくなるんです

その方はそういうタイプの人だった

 

ただ、それだけなんです

一度秘かな憧れの人と手が繋げたら、それでよかった

 

 

 

 

で、当日でーす(⌒∇⌒)

 

 

 

なるべく彼女の近くをうろうろしていて

体育祭終了間際のフリーフォークダンスの時

 

声を掛けましたよ

『一緒に踊りに出ましょう』って・・・

 

学年は違うけど、私の事は知ってくれてたみたいで

うんって小さな返事をくれました

そんな自由参加に自分から行くような人じゃなかった

でも、その時初めてその方の微笑みを見たように思う

 

 

フォークダンス踊りました

 

 

ワザとパートナーを交代せずにずっと手をつないだままで・・・

始めは恥ずかしがって手を引っ込めてましたが

それは私と手をつなぐのが嫌なんじゃなくて

器械体操やってたから、手の平が豆だらけで恥ずかしかったみたい

 

途中でそれに気が付いたから

ぐっと力を入れて手の平まで強く握りました

その時、相手の方からも強く握り返してくれた

何かの意思表示みたいで凄く嬉しくなった

想像した通りの細い肩が愛らしくて

ぐっと抱きしめてしまいたくなるほどだった

 

 

 

 

 

永遠に続いてくれと思った曲もやがて終わりが近づいてきた

急に恥ずかしくなった私は

彼女とちょっとだけ顔を見合わせて笑った

そのあとに続く言葉は何も出ずに、お互いに手を離してそのまま別れた

 

 

 

私は初めて見た彼女の笑顔を思い出しながら、

自分のクラスの待機所に戻った

みんながジャージを学生服に着替えていた

祭りはもう終わったのだ

そこには、ありきたりの体育祭の終わりが待っていた

 

ただ、それだけの話

ただの体育祭のフォークダンスの思い出だった

誰でもが経験するようなフォークダンスで

一度も話したことのない女性と手を繋いだだけのこと

当たり前に行われる学校行事のひとつに過ぎなかった

 

・・・・・・

 

私はそのあと、

大人という暗いトンネルの中でいろんな経験を重ねてきた

遠い遠いあの頃には二度と戻ることはない

だが、今もオクラホマミキサーを聴くと

明るい陽の下で踊る自分がいて、彼女の笑顔を思い出す

触れ合った手と手の中で

強く握った手の感触だけが切なく蘇るのだ