女性は一度は「プリンセス」にあこがれるのだろうか。
小さい頃、ビデオテープが壊れるほど、観た作品がある。
ディズニーの「シンデレラ」
ビデオテープで最初に観て、そのあとブルーレイディスクに焼き直してもらったものを
伯父がくれたのだったと思う。
何度も、何度も観て、いつだったか壊れてしまった。
何度も観ると言っても、観るのは
最初の、シンデレラが家事をするシーンである。
家事をする場面だけ何度も何度も。
たまに
動物たちがドレスを作ってくれるシーンまで進めて観ることはあっても、
お城に行く場面の手前で一時停止し、
また最初に戻して観ていた。
ドレスやキラキラの馬車や王子様に
あまり興味がなかった。
それでも、覚えている限りでの一番最初の
将来の夢は「シンデレラ」だった。
プリンセスと言えばドレスを着ている姿を想像するのが普通だろうに、
私にとってのプリンセスは
永遠に「家事をするシンデレラ」である。
どうしてだろう。
いつだったか
友人に「お嬢様」と言われたことがある。
なんとなく、「お金持ち」というニュアンスだったような気がする。
ちょっと付け足して言ってしまうと、
大切に育てられたという点では
私はまったくもってお嬢様であるが、
その子の方が、
経済的には「お嬢様」である。
そう言われたときに、ムッとしたのを覚えている。
誰かにかしづかれ、ちやほやされ、
マナーや家柄や
社交界の嫉妬やら何やらで窮屈なのが
「プリンセス」や「お嬢様」であるという
イメージがたぶん私の中にある。
私にとって、
ドレスを着て、美味しいものを食べ、
王子様に愛されて、キラキラしているのが
「プリンセス」ではないのだ。
人から言われる「お嬢」という言葉と、
自分の中の「プリンセス」は違うものなのだ。
でもきっと
誰もドレスを着ていないシンデレラを
プリンセスだなんてきっと思わないだろう。
なぜか、私は小さい頃から、
自分の身の回りのことを自分で自然と、朗らかにやることに憧れていた。
自分で買い物をして、自分で料理をして、掃除をして、洗濯をして。
ドレスを着ているシンデレラも素敵だけれど、
まだ誰も起きていない早朝から、
一人でエプロンを身に着け、身支度を済ませて、
鼻歌を歌って、
動物たちに話しかけ、
食事の準備をする彼女の姿が、
輝いて見えた。
自分でもよく分からないけれど、
自分で買い物して、料理ができるなんて
なんて幸せ!自由なんだ!と今でも思う事がある。
買い物しているときに、
楽しいと思うし、
掃除をしてスッキリした部屋を見るのが好きだし、
洗い立てのお布団で寝るのが幸せ。
料理を
面倒に思うときもあるけれど、
気が付いたら、ほぼ自炊である。
切羽詰まって忙しくなかったら、
ずっと自炊だと思う。
何気ない、淡々とした日常が、
実は何よりも輝いていることって
あるのではないかしらと思う。
私がドレスを着ていないシンデレラに
憧れたのは、
当たり前の日常を心を込めて、
鼻歌を歌って、
健やかに送る彼女の姿こそ
高貴だと感じたからなのではないかな
と今になって思う。
小さい頃の美しいと思ったものは、
ずっと自分の美学になる。
私の
仲の良い友人は、
オーロラ姫の森の中で生活しているときの
ワンピース姿が好きだと言う。
彼女も料理が好きで、
私よりもはるかにかわいいお菓子を作り、
バレンタインはいつも私がもらう。
「プリンセス」仲間で嬉しいなあなんて思う。
自分が美しいと感じる感覚が伝わる相手は
必ずいるのだ。
さてさて、
お腹が空いてきたので、
高貴なお仕事
始めようか。