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遠近法で描く中国 -2nd Season-

片手にピストル 心に花束 唇に火の酒 背中に人生を。 

副題:ノーブレス・オブリージュとは
著者:李登輝
出版:文唱堂 / 2003年 / 単行本
ジャンル:評論、解題書

新渡戸稲造先生が英語で書かれた『BUSHIDO / 武士道』(1900年)を、元台湾総統の李登輝氏が日本語で解題された一冊。
私も「武士道」の日本語訳(佐藤全弘訳 / 教文館)を2008年に読んでいますが、決して読み易い本ではありません。
新渡戸先生がキリスト教の信者であり、その宗教および哲学の基盤があるからこそ、欧米人向けに「武士道」とは何なのか、を説くことができたのです。
すなわち、「武士道」を読み解くには、新渡戸先生の人となり、またキリスト教を知ることが大切です。
李登輝先生もキリスト教の信者であり、終戦までの青年期を日本人として、日本の教育環境で過ごされました。
ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、氏の兄は日本人として出兵して、現在は靖国神社に祀られています。
そのような人生経験を持つ李先生だからこそ書くことができた、「武士道」解題書なのです。

この著作には、ご紹介したい個所が多くあります。
機をみて何度かに分けて紹介していこうと思っています。

<目次>

はじめに いま、なぜ『武士道』か

第一部 日本的教育と私
  第一章 世界に目を開いてくれた先哲の教え
  第二章 新渡戸稲造との出会い
  第三章 新渡戸稲造、国際人への旅立ち
 
第二部 『武士道』を読む
  第一章 道徳体系としての武士道
  第二章 武士道の深淵
  第三章 義
  第四章 勇・敢為堅忍の精神
  第五章 仁・惻隠の心
  第六章 礼
  第七章 誠
  第八章 名誉
  第九章 忠義
  第十章 武士の教育および訓練
  第十一章 克己
  第十二章 自殺および復仇の制度
  第十三章 刀・武士の魂
  第十四章 婦人の教育および地位
  第十五章 武士道の感化
  第十六章 武士道はなお生くるか
  第十七章 武士道の将来

あとがき

[付]慶応大学三田祭・幻の講演原稿
日本人の精神

私は本書をこう読んだ



『武士道』は多くの現代語訳が出ています。
この李先生の解題書なら、高校生の読解力で充分読み解けます。
あくまで個人の意見ではありますが、高校の現代文の教科書はこの李先生の解題書1冊、そして英語の教科書は、新渡戸先生の原著1冊で充分ではないでしょうか。
これを3年間で何度も何度も読み解く、日本の教育はきっと変わると思います。

戦後の日本人が捨て去ってしまったのは何か、忘れ去ろうとしている日本人のあるべき姿はどういうものなのかを、100年前の日本人と、台湾の偉大な哲人政治家が説き、力強く警告し、奮起を促しているのですから。

久しぶりの★5評価となっています。

「武士道」解題―ノーブレス・オブリージュとは/李 登輝

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著者:津本陽
出版:文藝春秋 / 1986年 / 文庫本
ジャンル:歴史小説

直木賞作家で、時代小説でその名を知らしめる著者は、自身も剣道三段、抜刀道五段の腕前です。得意とする剣豪小説では、その描写の繊細さや臨場感を見事に表現されることでも知られています。
この作品も例に漏れず、薩摩藩島津家に代々伝承された示現流剣術を題材とした短編小説集となっています。

<目次>

薩南示現流
 第一章 上意討ち
 第二章 雲燿の太刀
 第三章 御前試合
 第四章 師弟の意地
 第五章 江戸の対決
桜田門外の光芒
寺田屋の散華
煙管入れ奇聞
最後の殺陣

解説

第一番目の作品で、示現流を島津藩に定着させ、その流祖となった東郷重位を題材としています。この剣豪の描写が大変荘厳で美しく、類稀な剣の達人として描かれます。
その後の作品では、示現流を会得した薩摩藩士の闘いを、西南の役の時代まで描いています。
作品は時代を追って描かれていますが、その時代背景と登場人物が、少し説明不足でわかりにくい部分があったことは残念に感じました。しかしその部分も、読み手自身が調べることを厭わないという前提で書かれていて、読者もそれを了承しているのではないか、とも思います。


薩南示現流 (文春文庫)/津本 陽

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著者:夏樹静子
出版:文藝春秋 / 1993年 / 文庫本
ジャンル:小説(社会派ミステリー)

ハワイと日本を舞台とした社会派ミステリー小説です。
実は夏樹氏の作品をきちんと読んだ記憶がなく、おそらくこれが自分にとっては最初なのでしょう。
舞台設定が、バブル絶頂期の日本で、日本の資本がアメリカの、ここでは主にハワイの土地や不動産を買い漁っていた、そんな時代と状況の中、不動産経営側と、その不動産を購入しようとする日本人、そしてハワイの人々が描かれています。

夏樹氏もミステリー界の巨匠と呼ばれるだけあり、最後まで読者を惹き付ける手法はさすがです。
また、ストーリーを組み立てるための舞台設定、取材力が凄いと感じました。
ハワイの舞台は当然オアフ島なのですが、ハワイ島が重要な場所として描かれていることにも好感がもてた作品でした。
そして、題名であるダイアモンドヘッドにかかる虹は勿論、ダブル・レインボウです。

<目次>

第一章 プルメリアの夢
第二章 TIME FOR ACTION
第三章 ブルーハワイ
第四章 ダミー
第五章 断崖
第六章 約束

解説 古川薫


ダイアモンドヘッドの虹 (文春文庫)/夏樹 静子

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