遠近法で描く中国 -2nd Season- -20ページ目

遠近法で描く中国 -2nd Season-

片手にピストル 心に花束 唇に火の酒 背中に人生を。 

著者:アガサ・クリスティ
訳者:中村能三
発行:早川書房 / 1978年 / 文庫本
ジャンル:推理小説

アガサ女史の傑作とも言われるポアロ登場事件の一つ。
自分でも何度読んだか分からない作品です。

推理小説について書くのも野暮ですので、オリエント急行について調べてみました。
http://www.orient-express.com/web/vsoe_ja/venice_simplon_orient_express.jsp

運行開始が1883年というのは、驚きですね。
現在の定期運行ルートは、
ベニス-パリ、ベニス-ロンドン
となっていて、その他臨時列車も運行されているようです。

この事件の舞台では、イスタンブールからカレー(フランス)までの列車が描かれています。
サイトに拠ると、イスタンブール-パリ間の特別列車も年1度運行されているようですが、
まあ、チケットなんて簡単には取れないでしょうね。

こんな特別列車に乗れない一般市民は、女史の作品でその雰囲気を味わってみてください。


オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/早川書房
¥861
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著者:安倍晋三
出版:文芸春秋社 / 2006年7月 / 新書
ジャンル:政治

著者は第九十代内閣総理大臣の安倍晋三氏。
ご存じの方は多いと思いますが、この作品は首相就任直前に出された半自伝的な一冊。

<目次>

はじめに
第一章 わたしの原点
第二章 自立する国家
第三章 ナショナリズムとはなにか
第四章 日米同盟の構図
第五章 日本とアジアそして中国
第六章 少子国家の未来
第七章 教育の再生
おわりに

気になった箇所のご紹介です。

「歴史を単純に善悪の二元論でかたづけることができるのか。」(25頁)

「この国に生まれ育ったのだから、わたしは、この国に自信をもって生きていきたい。そのためには、先輩たちが真剣に生きてきた時代に思いを馳せる必要があるのではないか。その時代に生きた国民の視点で、虚心に歴史を見つめ直してみる。」(26頁)

「企業の駐在員をはじめ、海外で活動している日本人はたくさんいる。犯罪者やテロリストに対して、「日本人に手をかけると日本国家が黙っていない」という姿勢を国家がみせることが、海外における日本人の経済活動を守ることにつながるのである。」(52頁)
→日本の報道の在り方にも問題があるのだろうが、一般的に日本人は海外において必死で生きている同胞=日本人に対して冷たく、情けがない。これは経験から感じたこと。色々あるが、私が安倍氏を支持する理由は、おそらくこの部分に対する、氏の考え方に拠る。

「外交というのは、まずメッセージが先になければならない。交渉はその先の問題である。出すべきメッセージを出さなければ、そもそも交渉にならない。制裁するかもしれないと思わせることによって、困った相手は、はじめてテーブルにつくのである。最初から制裁の可能性を否定してしまったら、せっかくのカードを失い、向こうのペースで交渉するしかなくなるのである。」(58頁)

「国民がパスポートを持つことによって国家の保護を受けられるということは、裏を返せば、個々人にも、応分の義務が生じるということである。」(64頁)

「一つを選択すれば、他を捨てることになる。なにかに帰属するということは、そのように選択を迫られ、決断をくだすことのくりかえしである。」(93頁)

「わたしたちは、いま自由で平和な国に暮らしている。しかしこの自由や民主主義をわたしたちの手で守らなければならない。そして、わたしたちの大切な価値や理想を守ることは、郷土を守ることであり、それはまた、愛しい家族を守ることでもあるのだ。」(108頁)

「アメリカのいいなりにならずに、日本はもっと言いたいことをいえ、という人がいるが、日米同盟における双務性を高めてこそ、基地問題を含めて、わたしたちの発言力は格段に増すのである。」(133頁)

「たとえ国と国で摩擦が起きようと、相手の国の人たちには、変わることなく親切に、誠実に接する。それこそが日本人のあるべき態度だし、わたしたちが目指そうとしている国のありかたに重なる。」(155頁)

「教育の目的は、志ある国民を育て、品格ある国家をつくることだ。そして教育の再興は国家の任である。」(207頁)
→教育基本法の改正は、2006年安倍内閣で実現しました。

個人的には、安倍氏の内閣総理大臣再登板を支持したいのですが、氏が総理を辞職した際の健康問題から判断すると、再度その激務に耐え続けるのは無理ではないかと思っています。


美しい国へ (文春新書)/安倍 晋三
¥767
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著者:呉善花 (O Son Fa)
副題:融合する文化が世界を動かす
出版:PHP研究所 / 2009年 / 新書
ジャンル:文化比較論、講義録

韓国・済州島出身で日本の文化に触れ、今は日本の大学で教鞭をとっていらっしゃいます。
日本文化「肯定」論者でもあります。

<目次>

はじめに

第一回 日本文化の基礎 日本人の曖昧さの根にあるもの
第二回 日本人はなぜ旅に出るのか
第三回 「美の大国日本」はいかにして生まれたか
第四回 日本人はなぜ微妙な歪みを愛するのか
第五回 日本の職人はなぜ自然の声に耳をすますのか
第六回 世界で一番平等で安全な社会を築いた国はどこか
第七回 なぜ日本人は穏やかなのか
第八回 日本はいかにして「アジアの文明の博物館」となったのか
第九回 日本語はなぜ「受け身」を多用するのか
第十回 なぜ日本庭園にいると想像が膨らむのか
第十一回 なぜ日本には武士が生まれたのか
最終回 天皇はいかにして日本社会に平等をもたらしたのか

特別書き下ろし講義 世界的な課題としての「日本風」

気になった個所のご紹介です。
「日本では目に鮮やかな原色よりも、しっとりと沈んだ中間色が好まれます。しかも、「四十八茶百鼠」という言葉もあるように、茶色には約八十種類、鼠色には約七十種類の色があるそうです。他の中間色も同様に、微細なゆらぎを湛えた色の曖昧な世界が豊かに広がっています。」(15頁)
「四十八茶百鼠」について→http://ggdesign.blog48.fc2.com/blog-entry-69.html

「体系的に日本を理解するには、三つの指標があります。一つは、欧米化された日本。もう一つは、中国や韓国と似た農耕アジア的な日本。この二つの世界は、外国人でも理解することができます。しかし、日本にはもう一つの別の顔があるのです。それを私は、前農耕アジア的(自然採集・縄文時代以来の)日本と表現しています。」(34頁)

「さて、日本特有の「旅文化」の中でも特徴的なのが、「旅館文化」です。(中略) たとえば、韓国の旅館は純粋に休むためや寝るための宿泊施設であり、そこで料理やお風呂を楽しむという習慣はありません。」(46頁)

「現在の日本の学校では、神話についてほとんど教えていないそうですね。これはきわめて残念なことです。たとえば、神話につながる王朝の系譜を残すのは、世界で日本の皇室のみですが、今や多くの若い人がこうしたことを知りません。」(118頁)

「ひるがえって中国やインドでは、異民族の侵入、王朝の覆滅交代、国内動乱などが歴史上幾度となく起こったため、文化遺産もその精神性も継承されにくかったというのです。だから、たとえば唐代の文化について研究したければ、奈良の寺院でその影響を見るしかないし、宋元時代の精神文化は、雪舟が描いた水墨画の中に見るしかないのですね。」(140頁)

「戦後世界一貧富の格差の小さい平等な社会を実現した経済、外国にはもちろん国民にもいっさい銃口を向けることのない軍隊、伝統的な職人技から世界最先端のテクノロジーを抱える技術の宝庫、世界で最も治安のよい安全な社会・・・・・。日本には自信を持って世界に誇れ、世界に伝えて貢献できるものが、たくさんあります。」(196頁)
→国民に銃口を向けない、というところが重要ですね。

「日本でも自然という言葉は近代以前にはなく、自然を表すには多くの場合、花鳥風月、草木虫魚などのいい方をした。どこかに自然という「もの=事物」があるのではなく、個々具体的な場所としての大地や海と固有に結びついているという「こと=事象」がある。自然をそう感じとっていたのが伝統的な日本人だっただろう。」(206頁)

文化比較、あるいは比較文化論の類には、大学時代から大変興味があって、それが長じて中国に行ったりもしたのですが、帰化されたとはいえ外国出身の方が、これほど的確に指摘し、また、日本を大変研究されていることに驚きました。


日本の曖昧力 (PHP新書)/呉 善花
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