『ホスピタルクラウン』(評価★★★★☆) | 遠近法で描く中国 -2nd Season-

遠近法で描く中国 -2nd Season-

片手にピストル 心に花束 唇に火の酒 背中に人生を。 

副題:病院に笑いを届ける道化師 / Hospital Clown
著者:大棟耕介(道化師)
発行:サンクチュアリ出版 / 2007年3月 / 単行本
ジャンル:道化師、笑顔

クラウンという馴染みない言葉は、
実は「道化師」のことでした。
ピエロ、とは違うクラウンが、
病院の子どもたちに笑顔を届ける、
そんな一人の男の生き方を綴った一冊です

<目次>

病院のピエロさん
もっとマジメにやりなさい
子どもの死
バルーンはおいといて
病院のできごと
道化師の苦悩
派手なメイク
クラウンK
いい握手
拍手をさせない
ある姉妹のこと
笑顔の連鎖
手紙
ぼくの存在
いたずら
遊んであげているの?遊ばれているの?
大切な瞬間
カメラ
魔法のプロ
おばあちゃん道化師の教え
呼吸合わせ
ルール
パッチ・アダムスとの出会い
パッチと海外へ
ロシアの病院にて
正しいやり方
24時間道化師
パッチが教えてくれたこと
道化師(クラウン)社長
笑いの力
小さな誕生会
クラウン
大棟耕介
ぼくの夢

気になった個所のご紹介です。

「ホスピタル・クラウン。病院をたずねて、闘病中の子どもたちを元気づける道化師のことをそう呼ぶ。欧米では80年代にはじまり、今は治療法のひとつとして認識されている。」(19頁)

「病院に行く前、じつは「子どもが待っている」という使命感よりも、「ああ、今日は体がダルいけど友だちが待っているから、行くか」という軽い気持ちで行くことが多くなった。」(21頁)

「こんなふうに病院をたずねるときは、なんでも子どもに教えてもらうようにしている。そうやって優位な立場にしてあげると、子どもはみるみる目を輝かせてくれる。子どもは病院でもっとも立場が弱く、毎日こうしなさい、こうしちゃダメって怒られたり命令されてばかりいる。その立場を一気に逆転させてしまうのが、ぼくたちのやり方だ。」(25頁)

「ぼくは病院でも、子どもたちに「またねー」と声をかける。お医者さんや看護師さんたちが縁起が悪いと、あえて使わないようにしている言葉だ。でも彼らは友だちだから、ぼくはまた会いたいと思う。」(28頁)

「道化師のスタイルは人それぞれだ。(中略) 基本的にはなんでもありなんだけど、忘れちゃいけないことがある。それは人が大好きで、自分が大好きであること。一番身近な人を愛せなければ、みんなを楽しませることなんてできない。」(48頁)
→身近な人=自分、ですね。

「出会った人たち全員と、ぼくはいい握手をしたい。相手にどう思われるかということよりも、自分にとってどれだけ気持ちいい握手ができたかどうか。それを評価の基準にしている。」(61頁)

「病院にいるお母さんたちはひどく疲れている。家と病院を毎日往復しているし、ずっと子どものそばについてなきゃいけない。なにより、子どもに対する罪悪感や不安で、心身ともに休まるときがない。そんなお母さんの状態を、小さい子どもは敏感に感じ取ってしまう。そのせいで母子はいっしょにふさぎこんでいることが多い。」(74頁)

「道化師は役に立つ存在だけど、かといって病気に対してなにかできるけじゃない。1分でも2分でも、子どもが病院にいることを忘れたり、病気であることを忘れてくれればいい。」(83頁)

「3時間くらい話しただろうか。パッチはぼくの質問ひとつひとつに丁寧に答えてくれた。中でも印象に残っているのは、「夢は道化師のいない世の中にすること」という言葉だった。道化師のような存在がいなくてもみんなが笑っていられるような社会にしたい、という意味だ。」(130頁)

「白色のメイクを施し、話をせず、ただ黙々とパントマイムをする、というもの悲しげなイメージのある「ピエロ」という言葉は、じつは海外ではほとんど使われていない。道化師にはひとりひとり名前があって、「ピエロ」とは無数にいる道化師のほんのひとりの役名にすぎない。」(185頁)

「たとえば道化師なら綱の上を上手に渡るよりも難易度の高い、「綱から見事に落ちてしまう役」を演じることができる。」(187頁)

多くの言葉は、いらないと思います。
どこの国の病院にも、病と闘っている子どもたちがいて、彼らを元気づけようとする道化師がいる。
そういう存在を知ること、がまず大事でしょう。

そして、今の世の中に氾濫する、人を傷つけて笑いをとることを業とする人をも気にかけながら、
今この瞬間、子どもへ笑いを届けている道化師へと思いを馳せましょう。


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