『真夜中のセロリの茎』(評価★★★☆☆) | 遠近法で描く中国 -2nd Season-

遠近法で描く中国 -2nd Season-

片手にピストル 心に花束 唇に火の酒 背中に人生を。 

英題:Celery Stalks At Midnight
著者:片岡義男
発行:左右社 / 2013年4月 / 単行本
ジャンル:短編小説集

片岡氏の短編集。タイトル一つで、読み手の心をくすぐる手腕は流石です。

<目次>

かき氷で酔ってみろ

駐車場で捨てた男

真夜中のセロリの茎

三種類の桃のデザート

あまりにも可哀相

雨よ、降れ降れ

塩らっきょうの右隣

あとがき


気になった箇所のご紹介です。

「俺はお前みたいな嘘八百の作家とは違って、ほんとだけで生きている。ほんとだけで世を渡ると、世間は年とともに確実に狭くなっていくな」(10頁)
→まさかの、作家による作家批評ですね。

「作家つうのも悪くねえな。赤坂みたいないい女に二冊も買ってもらえて、胸に抱いてもらえて、おまけに夜にはベッドのなかで、じっくりと読んでもらえる。」(28頁)

どちらも、最初の短編「かき氷で酔ってろ」からの一節です。
作家を親友にもつ、ラジオディレクターの科白です。
主人公にこのように語らせる片岡氏のユーモアに、思わず笑みがこぼれる瞬間です。

「捨てるだけなら彼女の行為、そして捨てられたことを完結させるのは、彼だけに出来ることだ。完結とは到達であり、到達は勝利だと言っていい。」(55頁/「駐車場で捨てた男」)

まあ、なんとも言い難い。
ふんわりと最近の技術も盛り込みつつ、片岡ワールドが男女の関係を描きます。


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