出版:角川書店 / 平成15(2003)年 / 文庫本
ジャンル:人物伝、日本近代史
ゾルゲ事件について、まず押さえておきましょう。
「ゾルゲ事件は、リヒャルト・ゾルゲを頂点とするソ連のスパイ組織が日本国内で諜報活動および謀略活動を行っていたとして、1941年9月から1942年4月にかけて[1]その構成員が逮捕された事件。」(Wikipediaより)
リヒャルト・ゾルゲとは、ソ連人とされていますが、この作品の中ではドイツ人とされており、これは著者が聞き知った事項だと思われます。
<目次>
まえがき
第一章 人間ゾルゲ
第二章 愛のすべてを
第三章 死者は眠れない
解説
ゾルゲ及びゾルゲ事件については、多くの書物があり、映画化もされています。この作品は、ゾルゲの日本での愛人とされた石井花子氏が、ゾルゲとの出会い、交際、彼らの逮捕、そして処刑。その後、彼女の思想の変化も含めて、どのように生きたかが描かれています。
ゾルゲは彼女を守るため、彼自身の仕事や、関わった人たちと彼女との交流を最小限に止めます。そのため、ゾルゲや尾崎秀美などが検挙された際も、彼女は取り調べを受けますが、罪に問われないことになりました。そしてゾルゲの死後は、彼の墓をつくることや、彼の日本および、ソ連での地位を回復させることにその生涯を捧げます。
ついには、ソ連においてゾルゲの地位や功績が認められ、彼女自身もソ連からの招待を受けて渡航します。
第一章は、ゾルゲの話す拙い日本語と、それによる彼女との交流が、そのまま表現されており、非常に読みにくい状態が続きます。著者にとっては、これが大変重要で、伝えなければいけないことなのでしょうが、読者の立場からすると、正直苦痛でしかありません。
その部分を除けば、ゾルゲという人間の、他の文献などでは見えてこない部分が描かれていて、面白いと感じました。
人間ゾルゲ (角川文庫)/石井 花子

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