出版:九州大学出版会 / 1996年 / 単行本
ジャンル:講演、公開講座
九州産業大学の公開講座録です。
職名・肩書などは、公開講座開催当時のものになっていることをご了承ください。
<目次>
はじめに 山﨑良也(九州産業大学長)
一 ポスト・バブル期の商品流通の動向 大村幸生(商学部第一部教授)
二 マリーナと沿岸域の利用 奥園英明(工学部助教授)
三 自動車流通システムの国際比較と消費者 石橋貞男(経済学部教授)
四 国際グリーン・マーケティング・フレームワーク 齋藤實男(経営学部助教授)
五 水中写真の撮影と作品づくりについて 柴田益夫(芸術学部助手)
六 インド社会とカースト 二木敏篤(国際文化学部教授)
七 地震と生活 楢橋秀衛(工学部助教授)
八 有田焼の伝統包装 -海を渡った「ワラ荷づくり」- 宮木慧子(芸術学部教授)
九 多民族国家アメリカにおける同化の問題 前田圓(国際文化学部教授)
山﨑先生は私たちのゼミの担当教授でした。
大学1年と2年次には、グリーン・マーケティングの授業で齋藤先生にもお世話になりました。
気になった個所のご紹介です。
「さらに、どの百貨店を取り上げてもよいのだが、全国のデパートで多分に共通性を持っていることとして、別に新しいことを指摘するわけではないが、およそ百貨店は不動産屋的になっているといわれている。」(26頁/大村幸生)
「さて、言葉の定義なんですけれども、(中略)ピーティという人が、グリーン・マーケティングというのを定義しています。これは一九九二年の本においてですが、エンバイロメント=環境と社会貢献という意味合いを置いたマーケティングということで、プロフィット=利潤を大事にしながら、なおかつ持続的な方法で経営を行っていく、それが、グリーン・マーケティングであるというふうに定義しています。そして、大事なことは、自然環境というものを意識した売れる仕組みつくりであり、それにはグローバル、地球環境、地球全体のことを考えていかないといけないということです。」(95頁/齋藤實男)
「「プライス」は価格設定ということです、マーケティングでは例えば、日清のカップヌードルをアメリカで販売するときに、プロダクトのポジショニングについて、パスタ・ラインではなくてスープ・ラインにおいたので、プライシングも当時のリプトンの価格をにらんで二コイン、つまり五十セントにしたという例があります。製品をどういうふうに設定するかで、価格も決まってくるということです。」(99頁/齋藤實男)
→この内容は当時、講義で聴いて、なるほどなぁと感じたものです。
「消費者の四つの権利(以下、抜粋)。一、安全である権利 二、知り、知らされる権利 三、主張を聞いてもらえる権利 四、選択する権利」(100頁/齋藤實男)
→時事的ではありますが、各電力会社は消費者に対して、きちんとこの権利に応えているのかと、考えます。選択する権利については、ほぼゼロに等しいのですから。
「次の定義は、グレイ・マーケティングで、これは今の技術や競争関係の中でも、ぎりぎり、精一杯グリーンなマーケティングができるにも拘らず、やらないというのがグレイですね。それで、いよいよ今からグリーン・マーケティングの話をしますが、例えば空き缶を回収するとか、ステイ・オン・タブにするというようなことでも、グリーン・マーケティングと言えます。」(104頁/齋藤實男)
→今では普通のことですね。言葉は馴染みないかもしれませんが、特別難しいことではありません。
「国際グリーン・マーケティングは、皆のためにやることなので、やっぱり市民が主人公にならないといけません。いままでは上意下達でやってきたのを、リンカーンのオブザピープル、バイザピープル、フォーザピープル、人民の人民による人民のための政治のように、市民が主人公になっていけば、企業も環境に良いマーケティングを展開しやすくなると思います。」(124頁/齋藤實男)
「一般的に日本人ダイバーは有名なダイビングスポットがあるリゾート地へ、同じ期間に、なおかつ団体で、「バタバタとやってきて」、「わぁっと楽しんで」、「さっと帰る」、そんな感じのリゾート・ダイビングのスタイルが多く見られます。(中略)最近、日本人のダイバーはたいてい水中カメラを持って来ています。それに比較して外国のダイバーはほとんどといっていいほど水中カメラやビデオは持っておりません。(中略)日本のダイバーというのはあるパッケージで用意されたスタイルやダイビング雑誌に載った記事をそのまま体験して「楽しかった」という感じが多く、まさに陸上の観光地めぐりが、ただ水中に変わっただけという気がしないでもありません。」(148頁/柴田益夫)
→私もダイバーなのですが、自身のダイビングスタイルは、カメラは持ちませんし、ただゆらゆらと水中に漂ったり、魚を観察したり、水中からの太陽光の美しさを見上げたり、水中の地形を楽しんだりすることです。カメラを持ったことがないのでわからないのですが、カメラで被写体を狙うことに集中するあまり、水中での他の楽しさはあまり感じられないのではないかな、と思ったりもします。
「一般のインド人が自分の州を離れて他の地方へ行けば、駅の表示も読めなくなってしまう。つまりインド人にとっては、国内を旅行するのに、いろいろ言葉のうえで問題が生じることになる。」(176頁/二木敏篤)
→過去にも現在にもインドには行ったことがないので現状がわかりませんが、こういう状況があったということはわかります。
「(前略)地震災害をはじめ、自然災害を考える上で困難な点と言いますのは、「自然」という言葉が頭についていますけれども、実は災害という現象は、人間の生活・文化があって起こるものだということです。砂漠の真ん中で大きな地震があっても、被害は生じません。」(208頁/楢橋秀衛)
→自然現象の中では、例え砂漠の真ん中であっても、なんらかの影響があるとは思いますが、その時に直接、直結して人間に及ぼす被害には及ばないという意味だと考えます。
最後に、公開講座が行われたのは我が母校である九州産業大学ですが、講義録の出版は九州大学出版会というのが、興味深いと感じましたし、九州・福岡圏内の大学が良い意味で連携されていることを知ることができました。
国際社会の転換と生活 (九州産業大学公開講座)/九州産業大学公開講座委員会

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