『胎内記憶 バース・トラウマの秘密/Memory of Mother's Womb』(評価★5) | 遠近法で描く中国 -2nd Season-

遠近法で描く中国 -2nd Season-

片手にピストル 心に花束 唇に火の酒 背中に人生を。 

著者 七田眞(二、三章)つなぶちようじ(一、四、五、六章)
発行 ダイヤモンド社 1998年 単行本

ジャンル:教育/出産/心理学


中国南京市でのバレンタインの記事を自分で書いていて、もう一度どうしても開きたくなった本です。
「中国にゅうす」
http://ameblo.jp/moonset/entry-10073051099.html
ぼく自身予測していてなかったことですが、まじんさまから戴いたコメントに影響をうけ、
「胎内記憶」に三たび、たどり着きました。


世界中のほとんどの人が、たった一人の母の胎内からこの世に産まれてきました。
この本では、フリーライターのつなぶち氏が参加した、95年の「第5回国際イルカ・クジラ会議」の会場で、ベルギーの研究者が発表した水中出産のヴィデオに影響を受け、教育博士の七田眞先生との協力のもと書かれた本です。


目次
一章 胎内記憶、誕生の記憶
二章 母と胎児をつなぐもの
三章 右脳をひらく
四章 「愛する」ことについて
五章 大人が持つ誕生の記憶
六章 胎内記憶から何を聞くか


まずは、ニューヨークの研究者による、「誕生時の問題とその後の性格」についてのレポートを、37ページより引用します。


--引用開始--


ニューヨークのエリザベス・フェール分娩研究所のレスリー・フェラーは、誕生の問題とそれが原因で考えられる種々の人格的問題との関連を明らかにしています。

1、保育器で育った幼児の非常に多くは他人への依存度が高く、自主性が求められる場面でもうまく対処することができない。また、ユーモアに欠け、論理的である。
2、帝王切開によって生まれた子どもは、目的を達成するのに多くの助けを必要とする。目的を達成するための努力を好まず、充分な支援をしてくれない人に対しては、どんな失敗でも非難したがる傾向がある。しかし、良い面としては、情熱的で、自発的で、芸術家肌である。
3、逆子、前置胎盤など、異常分娩で生まれた人の特徴は、環境の要請に対する過剰反応と攻撃性である。その理由は、異常分娩の出産の際に激しい支給の収縮によって、かなりの圧力が胎児にかかるからだ。
逆子の場合には、頭にかかる圧力が緩和されるため、成長するとわきまえを軽視し、つらい状況に関しては、他人に頼って切り抜けようとする傾向があるそうだ。彼らは普段他人とコミュニケートせず、他人に失望感を募らせているにもかかわらず、大きな期待をかける。
4、未熟児は、物の中に押し込まれたような感じを抱き、変化に抵抗し、成長するものごとに「しがみつく」ようになる。責任を回避したり、大人になることを回避開いたりする傾向がある。


--引用止め--


まず、理解していただきたいのは、あくまでも"研究結果"であること、こういう傾向がみられる、ということです、
全ての人に当てはまるということではないでしょう。
問題提起中の、"帝王切開"の長所と短所だけでも、理解していただければよいと思います。
そして、出生時の環境や問題に起因するトラウマ、「バース・トラウマ」を最小限にするための一つの提案として、水中出産が挙げられています。
39ページからの引用です。


--引用開始--


水中出産でバース・トラウマを最低限にする工夫

1、医師の介入が最低限となる。
→分娩槽の中の水は水温34度前後、しかも血液と同じ浸透圧の生理食塩水をつかうので、へその緒が乾くことがありません。
2、筋肉の緊張が少ない。
→出産の際、胎児は自分の母親の産道を頭で押し開きながら生まれてきます。水中で母親の筋肉の緊張が緩いと、胎児は比較的楽に出てくることができます。
3、薬物に頼らない
→出産が楽なので、麻酔などの薬物に頼ることが少なくなります。
4、羊水から水の中へ
→生まれてくる赤ちゃんにとって、空気の中に放りだされるというのは怖いことでしょう。今まで胎内の用水の中で静かにいたのに、産道を通ったらいきなり音のうるさい空気の中へと押し出されるのです。水中出産だと羊水から生理食塩水の中に出てきます。また照明を落としているので赤ちゃんの目を光の攻撃にもさらすこともありません。生まれたばかりの赤ん坊は水の中でぱっちりと目を開き、しばらくしてから母親によって抱き上げら、やさしく抱きしめられながら空気の中へ出てきます。するとやがて自然と呼吸を始めるので、その段階で初めてへその緒を切るのです。
5、妊婦がポジティブに出産にかかわる
普通の出産では医師の介入が多いため、妊婦は出産をポジティブな行為として体験しにくいのです。「私が産む」ではなく、「お医者さんに頼って産ませてもらう」という意識になりがちになります。


--引用止め--


この本が書かれた98年は、水中出産がそれほど注目もされていませんでした。
現在はインターネットで、日本で実施されている水中出産についても調べられますので、ご自分でgoogleやYahoo!などで検索してお調べください。
水中出産をこの本では、バース・トラウマを最小限に抑える方法の一つと紹介しています。
もちろん、完全になくすことはできないと考えてください。
しかし我々人類は、それぞれのトラウマを潜在意識の中に持ち続け、自分で乗り越えていかなければならないと、ぼくは考えます。

誕生におけるストレスは、新生児にとって、ないに越したことはないでしょう。
それをどう受け止めていくか、そして私たち大人は今をどう生きるか、これがつなぶち氏の後半の論点になってきます。
ぼくが注目したのは、やはり「愛する」ことについて、という部分です。
ここでは、社会心理学者エーリッヒ・フロムの言葉が紹介されます。
「愛はartである」。
訳者はartを「技術」と翻訳したそうですが、つなぶち氏はもう一歩踏み込んで解釈します。
「愛とは訓練すべき技能である」。
愛は何もないところから発生しないのだ、能動的に、そして鍛錬しつづけることが必要なのだ、ということでしょうか。


あなたの心の中に常に愛を育み続けようという、意識があるなら、
きっとどんなトラブルも、トラウマからも、あなたを、そして愛する人を、救いだしてくれるでしょう。
大切な人を愛することを是非、今もう一度、ゆっくりと考えてみてはいかがでしょうか。
「胎内記憶」という1冊の本は、あなたの愛が居るべき場所を、そっと教えてくれるでしょう。



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