作者が1980年生まれの、同じ20代の女性ということに喜びと共感を覚えた。
太宰、ひいては“太宰好きな人”の偏ったイメージをよくぞ払拭してくれた!!
入門ということで初心者にも、愛読者にもおすすめの読みやすい一冊。
私も、中高時代に読んだ『人間失格』や『斜陽』の文章力や世界観に衝撃は受けたけれど、
いまいち何が言いたいのかよく分からず、破滅的な感じが恐ろしくて
「太宰=酒好きで女好きで薬にハマって、自殺ばっかりくり返していた暗い人」
と思い込んでいた。そして、太宰作品にハマる人は病んでいる人だと。
だけど、大学時代に『駈込み訴え』や『お伽草子』、『女生徒』など中期の作品にハマり、
口述筆記による流れるような文体や、読者だけに打ち明けるような告白調に
うっかり魅了されてしまった。顔もアンニュイでかっこいいし(笑)
でも、私自身が日常的に自殺願望を持っているわけではない。もちろん。
重松清の短編に『桜桃忌の恋人』という作品があるのだけれど、
太宰に心酔している女子大生が自殺未遂をし、彼女を好きになってしまった男子が
最後メロスばりに止めに“走る”という…ややぶっとんだ話になっている。
重松さんが太宰好きなのかはよく知らないけれど、
「太宰が好きっていうと、こんな風に思われるのか」と。誇張だとしても凹んだ。
そんな風に誤解されがちな世の中であるから、太宰の新たな魅力を引き出してくれた
作者には拍手喝采を送りたい!!!ラストの『人間失格』についての章も、
ネットに依存してコミュニケーションの希薄化が叫ばれる世の中でこそ
「道化で必死のサーヴィスをするのではなく、ちゃんと人と向き合おう」という
メッセージを明確に打ち出していて素晴らしい。私も身の引き締まる思い。
映画はまだ観てないけど、そんな希望の持てるエンディングになっているといいなぁ。
