満期国債の政府株式への切り替えによる資本化の提案
ホワイトペーパー(案)
2026年9月1日

1. 概要

本提案は、満期を迎えた国債について、従来のように「借換債を発行して返済する」または「税収等で償還する」のではなく、一定の条件の下で「政府株式」に切り替える制度を創設するものである。

政府株式は会社法上の株式ではなく、財政法に基づき国が発行する独自の資本証券と位置付ける。

国が政府株式を発行しても、国が株式会社になるわけではない。これは、国が国債を発行しても国が「債券会社」になるわけではないことと同じである。

1. 現行制度の問題

国債が満期を迎えると、政府は通常、

・国債を償還する
・新たな国債を発行して借り換える

という処理を行う。

しかし、借換えを繰り返せば元本残高を恒久的に圧縮することが難しく、国債残高に応じた利払い負担も継続する。

特に、既存国債の満期到来分まで新規国債で借り換える仕組みでは、国債残高を減少させるために巨額の財政余力を必要とする。

そこで、満期を「返済期限」として扱うのではなく、「負債から資本への転換時点」として利用する。

1. 基本構想

満期を迎えた国債について、政府が新たな借換債を発行せず、また通常の現金償還も行わず、国債保有者に対して政府株式を交付する。

基本的な流れは、

国債発行
満期到来
借換債を発行しない
現金による償還を行わない
政府株式を交付
国債残高を減少
政府の資本として計上

とする。

これにより、満期到来国債を順次「政府の恒久的な資本」に転換する。

1. 政府株式の性質

政府株式は、会社法上の株式ではない。

したがって、

・議決権を付与しない
・国政への経営参加権を付与しない
・国の主権を株主に移転しない
・政府を株式会社化しない
・国有財産そのものの所有権を株主に移転しない

ものとする。

政府株式は、国の財政基盤を構成するための独自の資本証券である。

1. 国債から政府株式への転換

例えば、1,000億円の国債が満期を迎えた場合、政府が1,000億円の借換債を発行する代わりに、原則として同額相当の政府株式を交付する。

国債
1,000億円


政府株式
1,000億円相当

この処理により、国債という「返済を前提とする負債」を減少させ、政府株式という「返済期限を持たない資本」に置き換える。

1. 金利負担の削減

国債には利払いが発生する。

一方、政府株式については、原則として配当を行わない。

したがって、満期国債を政府株式へ転換することにより、将来の利払い負担を削減できる。

これは単純な債務削減ではなく、

「利払いを必要とする負債」
から
「利払いを必要としない政府資本」

への転換である。

削減された利払い相当額は、減税、社会保障、教育、公共投資等の財源として活用できる。

1. 会計上の取り扱い

政府株式は、一般会計または特別会計における資本金として計上する。

国債から政府株式への転換によって、

負債
資本

への振替を行う。

これにより、政府の財務構造を「借金を借金で返す構造」から「満期到来時に資本化する構造」へ段階的に変更する。

1. 新規国債との関係

本制度は、直ちに全ての国債を政府株式へ転換するものではない。

まずは満期到来分を対象とし、

「新規国債を発行して借り換える」

という現在の仕組みを、

「満期到来分を政府株式へ転換する」

仕組みに段階的に変更する。

これにより、国債残高を新規国債によって維持・拡大する構造から、満期到来分から順次資本化する構造へ移行する。

1. 市場安定化措置

政府株式を市場で取引可能な制度とする場合、価格変動への対応が必要となる。

そのため、

・発行上限
・発行時の価格決定方式
・保有期間
・ロックアップ
・アンロック
・株式併合
・市場安定化措置

等を法律で定める。

特に株価が大きく下落した場合には、一定期間ごとに株式併合を行い、額面・基準価格を調整する仕組みを設けることが考えられる。

1. 国債保有者への対応

満期国債を政府株式へ転換する際には、国債保有者の権利との整合性を確保する必要がある。

そのため、制度導入後に新たに発行する国債については、あらかじめ満期時の選択肢として、

「現金償還」
「借換え」
「政府株式への転換」

等を法律上明確に定める。

既存国債については、保有者の権利、契約条件、財政法その他の法令との整合性を検討した上で、適用範囲を決定する。

1. 同盟国・外国政府等への先行販売

政府株式は、国内だけでなく、同盟国その他の友好国に対して議決権なしで先行販売することも可能とする。

これにより、

・日本政府への長期的な資本参加
・国際的な信用形成
・外貨による資金調達
・日本経済への海外資金流入

を促すことができる。

ただし、政府株式の保有によって日本の政策決定権や主権が移転することがないよう、議決権その他の政治的権利は付与しない。

1. 国民への資産配布

政府株式は、国民への資産配布にも活用できる。

政府が保有する政府株式の一部を、

・国民への配布
・出生時の付与
・一定年齢到達時のアンロック
・社会保障制度との連携

等に利用することで、国家の財政基盤を国民の資産形成につなげる。

1. 財政再建との関係

本制度の目的は、単純に国債を別の証券に置き換えることではない。

目的は、

「満期が来るたびに国債を借り換える財政構造」

そのものを変更することである。

国債の満期到来
借換債を発行
国債残高が維持される
利払いが継続

という循環を、

国債の満期到来
政府株式へ資本化
国債残高を縮小
利払い負担を削減
財政余力を創出
減税・成長投資・国民資産形成

という循環へ転換する。

1. 最終目標

政府株式制度の最終的な目標は、国債残高を単純にゼロにすることだけではない。

国の資金調達を、

税収
国債

だけに依存する構造から、

税収
国債
政府株式

という複線型の財政構造へ転換することである。

そして、満期国債を政府株式へ順次転換することで利払い負担を縮小し、長期的には税負担を大幅に軽減できる財政構造を構築する。

1. 制度の核心

本制度の核心は、

「国債を返すために、また国債を借りる」

という仕組みから、

「満期を迎えた国債を、政府の恒久資本へ転換する」

という仕組みへの転換である。

国債は負債として発行し、満期を迎えた段階で政府株式へ資本化する。

これを継続することで、国の財政を「債務中心」から「資本中心」へ段階的に転換する。

政府株式は会社法上の株式ではなく、国家が財政運営のために発行する独自の資本証券である。

そのため、政府株式の発行は国家の株式会社化を意味せず、国の主権を市場に売却するものでもない。

これは、国債とは異なる新しい政府資金調達手段を創設し、満期国債の恒久的な資本化を可能にするための制度改革である。