2人は向かい合っていた


他にも人は数人いたけど


誰も声を発しようとはしない



ただその片割れだけが


とつとつと子供に言い聞かせるように


話しかけていた


もう1人は山のような体を


身じろぎもさせずに


じっと話に聞き入っていた



年齢や身分や氏・素性を超えて


その話はその部屋にいた


みんなに伝わったのではないかと思う


決して難しい話ではなく


人として職業人としての


基本がそこにあった





とても静かな時間