カーテンの波間から見える夏の午後は


 昨日も明日もなかったように


 じんわりとあたしのからだにまとわりつく


 


さびしすぎただけかもしれない


 夏をひとりで過ごすには若すぎたあの頃


 運命にまどわされた言い訳はできない   / ホシ




 重ねた月日に付加価値をつけては


 幼子のようにはしゃいでみせたっけ


 秋も冬も春もみんなあたしのためだけにあった




 はじまりのないおわりをさがしていたのは


 あたしだけではなかったのに
 




 空の青さも


あの電話にでたのも


今ここにいることも


 みんなあたしのせいだったの




 自分の不幸をうらみ人の不幸をねがう


 くりかえす愚かな駆け引き


 思い出は足かせになって


 火照るあたしをもてあます




 もう会わないって言ったのに


 もう会わないって言われたようね


 半分とれかけたボタンを引きちぎる勇気も持ち合わせないくせに





 長い夏に終わりを告げるのは


 あたしがきめることだからと言い渡された黄昏の時間 


 いちばん星があんなに遠いものだとはじめて知ったよ




 たったひとつしかないのに近すぎて遠いあたしたちの距離


 長い夏を終わらせるあたしがひとりでいた季節


 誰のせいでもなくてもまた夏はやってくる


 1999の夏がそれぞれの思いを包んでは


 人知れず生暖かい闇の中へ放たれていった