校庭の隅に
掘った穴のことは
誰にも言ってはいけない
もし
どうしても
誰かに話したくなったら
あなたの
思い出を少し分けて
ほしいと言えばいい
そうすれば
遠い日の少女の痺れを
知られることはない
埋められなかった
穴の深さは
見上げることでしか
確かめられないけど
今 残った穴を
俯瞰で眺める
成熟できない私に
掘り出された土が
私の大人を
作るのだと
校庭は
今日も
話しかけてくる