『最近は自習しやすい参考書も多く出版されるようになり、受験勉強術も随分と一般の受験生に向けて語られるようになってきた。学習法を上手く工夫すれば特に有名校出身でなくても東大理三にも合格できる程度の力をつけることも可能だが、まだまだ要領の悪い勉強をしている人は多い。』(『大学への受験術』より)

 

15年以上前に、上のように始まる〈大学への受験術〉〜 東大理三合格者の受験勉強指南〜 という受験術についてのサイトを当時自分が教えていた生徒向けに立ち上げました。かなり私的なサイトでしたが、一般の方にも好評だったようで、「頭の良くなる学習法」か何かのランキングで図らずも上位を獲得するなど、数万人の方々が訪れてくださいました。

 

その後「ドラゴン桜」という受験漫画がドラマ化されたり、同じく受験をテーマとしている「受験のシンデレラ」が映画やドラマ化されました。偏差値が30、40台から東大に逆転合格するというこれらの物語の中で《受験術、受験技術、受験戦略》という一部の難関大学受験生にしか知られていなかった方法論が取り上げられたことや、SNSで合格者が自ら発信することも多くなったことで、今では難関大学を目指す多くの受験生たちにこれらは浸透し、受験指導者もよく口にするようになりました。

 

以前よりも東大受験生の間口は広がったように思いますが、とは言うものの、旧サイトで述べたように『まだまだ要領の悪い勉強をしている人は多い』という印象には、やはり変わりありません。

 

『学校では教科の指導は受けても勉強法自体について指導されることがないためか、あまりに効率の悪い勉強をしている学生が多いのには本当に驚かされる。それで成績が良くないのは頭が悪いせいだとされるのはある意味不当だろうし、そう自分で思い込んでしまうのもある種の悲劇である。』(『大学への受験術』より)

 

あれから15年以上の歳月が流れましたが、依然として、そのような勉強法をまったく知らないか、知っていても実際には別世界のこととして自分に取り入れることなく入試本番を迎えてしまう、という人たちが圧倒的に多いことに愕然とさせられます。

 

『高校に3年間も通い、更に塾や予備校に通うなどしてある意味その間受験のための勉強に縛りつけられているのに、効率の良い勉強法について全く考えたことがなかったとしたら有意義に使えるはずの時間をどれほど無駄にしていることだろう。』(『大学への受験術』より)

 

「効果的な勉強方法」というものを知らずに受験生活が終わってしまう。教科の指導はされても、肝心な「勉強方法」は誰も指導しないためにそれに気づかない。効率的なノートの取り方も、本にすると1冊分くらいの内容になりますが、このためだけに時間を割いて指導されることもありません。

 

『学生時代に身につけた学習スタイルは生涯を通じてのものになると言われる。』(『大学への受験術』より)

 

高校時代に学習の工夫がなく過ごしてしまうと、それは以後の学習、更に就職後の仕事の作業効率をも決めてしまうことにもなります。

 

『記憶力を始めとして、物事を関連付け順序立てて論理的に考える力や注意力、洞察力、集中力など個人の基礎能力が試験の合否を左右することは否定できないが、大学受験程度では学習法や受験情報も合否を左右する大きな要因となる。いくら強力な動力源を有していても羅針盤のない船で目的地に辿り着くのは至難の業である。何事においても「方法論」や「情報」が重要であることは今更強調するまでもない。孫子は遥か古代の人である。現代の我々はもっとこのことを深く認識しても良いだろう。』(『大学への受験術』より)

 

「地頭」という言葉がありますが、この話をする時にどうも頭の良さというと生まれつき決まっていると思い込んでいる人が多すぎるように思います。合格するために何をやるべきかを把握して入試までにそれを計画的にこなしていく。それさえできれば、特殊な頭脳を持っていなくても東大理三でも合格できます。

 

それを知り、消化していく方法論として「受験術」が存在します。攻撃点を外さないようポイントを絞らなければ、闇雲に攻撃したところで、相手は打ち破れません。これは受験だけではなく、広く当たり前のことです。定期テストでさえ、試験に出るポイントを考えて学習をするはずです。

 

「受験術」について述べている私の旧サイトは、サイトがあったコミュニティの終了とともに今ではなくなっています。15年と言えば、2回も教育課程が変わりますので、ある意味ひと昔以上経って旧サイトが存在していても役割を終えていますが、その中には今でも変わらずに伝えたいことがあります。

 

途中の寄り道も多い私的な「雑感」ではありますが、様々なものを取捨選択した結果について率直に述べていきたいと思っています。やや辛口のコメントもあるかと思いますが、旧サイト同様何がしかのお役に立てれば幸いです。