前回より時間が経ってしまいましたが、『各論編』の後半となります。『総論編』や『各論編1』もご覧になると流れが分かります。
コロナ禍で昨年より延期されていた『ドラゴン桜2』のドラマがこの4月から始まります。本ブログのPART1である『大学への受験術』 も『ドラゴン桜』の1となるドラマの放映時あたりで書いていたように思います。
偶然ですが、受験勉強というものは闇雲に行うものではないということをどうかこの機会に知って、東大受験やその他志望校対策に役立ててください。
さて、前回の冒頭の繰返しになりますが…、
塾や予備校では、各教科満遍なく受講してほしいということもあり、仮に受かる可能性が高い戦略を立てることができても、決してそうはしません。それどころか、その生徒には要らない授業でも受講させようと詰め込んできます。
塾や予備校にとっては、簡単に東大に合格できてはむしろ「困ってしまう」ため、『ドラゴン桜』のように「東大は簡単だ!」とは様々な意味合いで言えないでしょう。東大は「簡単」であっては困るのです。世間で信じられている「超難関」大学でなければ困ります。
さもないと、大枚を叩いて塾や予備校に通う必要などなくなってしまいます。
最近では、YouTubeでも色々な講義をしてます。見方を工夫できれば、自分に必要なものはそれで済ますこともできるからです(この先受験で「使える」チャンネルをご紹介する機会もあるかと思います)。
ここでは、各教科の要点とともに「『東大は簡単だ!』と言えるのか」ということもお話ししていますが、このブログや『ドラゴン桜』1、2の原作やドラマも参考にして、どうかご自分でよく考えてみてください。
そして「自分にもできそうだ」と思ったら、是非東大受験にチャレンジしてみてほしいと思います。
昨今国際的に大学ランキングが重要視される風潮があり、それによると東大はその順位のため魅力的に見えないかもしれませんが、東大は依然としてチャレンジする価値のある日本の最高学府です。何はともあれ、まずは東大を目指しましょう。
前置きが長くなりましたが、「各論編」の続きです。
国語
理系合格者は配点80点のうち40点前後の得点を取り、差がつきにくいと言われています。特に現代文は学習するだけ無駄とする人も少なくありませんが、勉強の仕方次第で50点以上も超えてくる教科ですので、理系で数学が苦手な人の生命線となる教科です。
配点は80点ですが、理系でも60点近く取ることも可能です。なお、個人的にはこれまで東大理系で60点を超える得点をした人を見たことも聞いたこともないので、それ以上を国語で取るのは難しいと思います。得意にするにしても、その点は留意しておきましょう。
古典の学習を手堅く行い、現代文は論理性、解答スタイルを身につけある程度の背景知識を持っていれば、高得点も期待できます。これはそれほど難しいことではありません。出題レベルも難関私大の国語の方が「難」であると言えます(「東大のほうが簡単だ!」)。
学習をすれば必ず伸び、安定してくるので理系でも捨てるのは禁物です。50点近く取れれば、水物である東大数学への負担が減ります。特に理三受験生は捨ててはいけません。まず古典をしっかりと仕上げるのがポイントです。
理科
物理、化学、生物、地学から2科目の選択です。生物、地学はそれほど知識が要りませんが、特に地学は学習教材が少なくて対策がしにくいと言われます。一般的な難易度よりも自分と相性の良い科目選択ができるかどうかで、「東大は簡単だ!」と言えるかどうかも決まります。
東大物理は、問題の後半には考えにくい設問もありますが、合格点を超えるのが難しい難問というわけではありません。
理系受験生の多くが選択する科目ですが、苦手な人は伸びないままのこともあります。その場合は、物理学習で粘るよりも他の科目に変える方が時間がかかりません。こういう切り替えも大事な「受験のコツ」です。
逆に、比較的時間があり苦手でない人は、必須ではありませんが微積分を使う方が明快です。賛否両論ありますが、その場合、50点以上も目指すことができるようになります。
ただし、この場合、計算で間違うと全く点がありません。東大教官がそう口にしているので要注意です。
化学は、一般的に[物理・化学]、[化学・生物]のいずれかの組み合わせで理系受験生のほとんどが選択することになりますが、中には意外に負担が軽いということで[物理・生物]を選択する人もいます。
と言うのには、東大化学は時間内に全問解ききるのは難しい、という事情があります。比較的得意な人でも、40点行かないくらいの点数しか取れないことがあります。理三合格者でさえそうです。
東大化学では、有機化学で高得点を取るのが長らくの「セオリー」でしたが、有機化学が第1問に移ってからは、理論や無機と同様に、簡単には高得点を取れなくなってしまいました。かつてのように手堅く得点できる分野ではなくなっているので注意が必要です。
東大化学で高得点を取るためには、要領の良い計算方法を身につける必要があります。化学には雑多なテクニックや裏ワザが存在しますが、それらのマスターが時間内に全問を解くカギとなります。45点以上を目指すなら必須です。
化学には定番の問題集がありますが、その一冊だけを繰り返し解くという学習では様々な計算テクニックは身につきません。色んな問題集でテクニックを身につけておきたいところです。
東大生物は、リード文も長く日本で一番難しいと言えますが、長いリード文に問題を解くためのヒントが書かれているため、単科大学医学部などのような生物学の専門的な知識は不要です。
大学教養程度の内容を「大学入試」に出すことで問題難易度を上げるという「安易な」発想の問題は、東大ではほぼ出題されないと考えて良いでしょう。教科書程度の知識を使って「考える」ことが必要となります。
定型的な出題ではありませんが、考察問題も全て記述ではなく選択肢から選んだりと記述一辺倒でもありません。暗記的な知識量で出来が決まるような出題ではないため、「コツ」を掴めば意外に少ない勉強量で得意にすることも可能です。
特に国語が得意な人は有利になる傾向があります。一部では「生物で高得点を取るのは難しい」と言われますが、この発言をする人のほとんどは生物選択者ではないので実情を分かって言っているのではありません。
実際には60点満点中50点以上取る生物選択者は少なくありません。物理や化学と比較すると非常にコストパフォーマンスの良い科目です。理ニ、理三受験生にはオススメできます。
地学も、他大学には見られない独創的な出題です。東大の出題は地学でよく見られるタイプの問題ではないので、定型的な学習だけに終始しても合格点は超えません。
2007年くらいまでは問題数も今ほど多くなく、かなり少ない学習量で40点は取れるコストパフォーマンスの良い科目でした。現在は実質6題の出題で当時の2倍の負担となっています。
目新しい出題についてはその場で考えるしかありませんが、これにはコツがあるので可能な限り多年度の過去問を研究するとやるべきことが見えて来ます。天文分野を中心に解ける問題の幅を広げていくと30点台後半まで達してきます。
あまり時間のかからない定型的な学習を済ませたらすぐに過去問に取り掛かれるのは魅力です。地学は教材が多くないということもありますが、教科書を隈なく読んでいると得をすることがあるので、専門書に手を出すよりも教科書での学習を漏れなくやっておく方が確かです。
物理、化学のような基礎の積み重ねは不要ですので、自分が理科で必要とする得点と本番までに残された時間との兼ね合いで、地学も視野に入れて理科選択2科目を決めるといいでしょう。
ここまで各教科述べてきましたが、東大受験が簡単になるかどうかは「自分がどこで点を取り、どこで学習の見切りをつけるか」で決まることが分かります。
「東大理系受験生なのだから、数学で高得点を取る必要がある」などという考えに縛られていては、受かるはずのものも受からなくなってしまいます。自分と教科との相性を考慮して得点戦略を考えることが、何よりも東大受験では重要です。
このブログを参考にして受験戦略という考えを取り入れて学習をしていけば、受験勉強が空回りすることなく東大受験対策を今までよりももっと効果的に行うことができるでしょう。
受験勉強は闇雲に無目的で進めるものではありません。「学習しているうちに成績が上がって来たら東大受験も視野に入れる」ではなく、「今成績は大したことはないが、東大合格を目指して計画し、実行する」という決意と実行力が大切です。
社会人への準備の第一歩として、「やるべきこと」を明確化し、「それをこなす期間」を設定して「管理する」ということを自分自身で決め、その上で仕事(学習)を効率よく行うというのが、本当の「頭の使いどころ」と言って良いでしょう。
そこに「大人」としての自発性があるわけです。これに対して「とにかく色々考えずに与えられた勉強だけしていればよい」という発想では、自発性も工夫もありません。将来リーダーシップを取れる人材とはなり得ません。
仕事をこなすスタイルもそこから洗練されてきます。「たかが受験」とは考えずに、頭の使いどころを学びましょう。
「数学の先生、英語の先生、理科の先生、国語の先生、それぞれの先生が、東大受験にはハイレベルのこれこれまで解けるようにと言った」などと言う発言を真に受けていたら、全教科で高得点を狙わなければならなくなるでしょう。
1年くらいの受験勉強期間で、それで間に合いますか? それは必要ですか? よく考えてみましょう。
考えれば、本当に必要なことが「分かって」くると思います。