前回より時間が経ってしまいましたが、『各論編』の後半となります。『総論編』や『各論編1』もご覧になると流れが分かります。

 

 

 

コロナ禍で昨年より延期されていた『ドラゴン桜2』のドラマがこの4月から始まります。本ブログのPART1である『大学への受験術』 も『ドラゴン桜』の1となるドラマの放映時あたりで書いていたように思います。

 

偶然ですが、受験勉強というものは闇雲に行うものではないということをどうかこの機会に知って、東大受験やその他志望校対策に役立ててください。

 

 

 

さて、前回の冒頭の繰返しになりますが…、

 

塾や予備校では、各教科満遍なく受講してほしいということもあり、仮に受かる可能性が高い戦略を立てることができても、決してそうはしません。それどころか、その生徒には要らない授業でも受講させようと詰め込んできます。

 

塾や予備校にとっては、簡単に東大に合格できてはむしろ「困ってしまう」ため、『ドラゴン桜』のように「東大は簡単だ!」とは様々な意味合いで言えないでしょう。東大は「簡単」であっては困るのです。世間で信じられている「超難関」大学でなければ困ります。

 

さもないと、大枚を叩いて塾や予備校に通う必要などなくなってしまいます。

 

最近では、YouTubeでも色々な講義をしてます。見方を工夫できれば、自分に必要なものはそれで済ますこともできるからです(この先受験で「使える」チャンネルをご紹介する機会もあるかと思います)。

 

 

 

 

ここでは、各教科の要点とともに「『東大は簡単だ!』と言えるのか」ということもお話ししていますが、このブログや『ドラゴン桜』1、2の原作やドラマも参考にして、どうかご自分でよく考えてみてください。

 

そして「自分にもできそうだ」と思ったら、是非東大受験にチャレンジしてみてほしいと思います。

 

昨今国際的に大学ランキングが重要視される風潮があり、それによると東大はその順位のため魅力的に見えないかもしれませんが、東大は依然としてチャレンジする価値のある日本の最高学府です。何はともあれ、まずは東大を目指しましょう。

 

 

 

 

 

前置きが長くなりましたが、「各論編」の続きです。

 

 

 

 

国語 

理系合格者は配点80点のうち40点前後の得点を取り、差がつきにくいと言われています。特に現代文は学習するだけ無駄とする人も少なくありませんが、勉強の仕方次第で50点以上も超えてくる教科ですので、理系で数学が苦手な人の生命線となる教科です。

 

配点は80点ですが、理系でも60点近く取ることも可能です。なお、個人的にはこれまで東大理系で60点を超える得点をした人を見たことも聞いたこともないので、それ以上を国語で取るのは難しいと思います。得意にするにしても、その点は留意しておきましょう。

 

古典の学習を手堅く行い、現代文は論理性、解答スタイルを身につけある程度の背景知識を持っていれば、高得点も期待できます。これはそれほど難しいことではありません。出題レベルも難関私大の国語の方が「難」であると言えます(「東大のほうが簡単だ!」)。

 

学習をすれば必ず伸び、安定してくるので理系でも捨てるのは禁物です。50点近く取れれば、水物である東大数学への負担が減ります。特に理三受験生は捨ててはいけません。まず古典をしっかりと仕上げるのがポイントです。

 

 

 

 

理科 

物理、化学、生物、地学から2科目の選択です。生物、地学はそれほど知識が要りませんが、特に地学は学習教材が少なくて対策がしにくいと言われます。一般的な難易度よりも自分と相性の良い科目選択ができるかどうかで、「東大は簡単だ!」と言えるかどうかも決まります。

 

 

 

東大物理は、問題の後半には考えにくい設問もありますが、合格点を超えるのが難しい難問というわけではありません。

 

理系受験生の多くが選択する科目ですが、苦手な人は伸びないままのこともあります。その場合は、物理学習で粘るよりも他の科目に変える方が時間がかかりません。こういう切り替えも大事な「受験のコツ」です。

 

逆に、比較的時間があり苦手でない人は、必須ではありませんが微積分を使う方が明快です。賛否両論ありますが、その場合、50点以上も目指すことができるようになります。

 

ただし、この場合、計算で間違うと全く点がありません。東大教官がそう口にしているので要注意です。

 

 

 

 

化学は、一般的に[物理・化学]、[化学・生物]のいずれかの組み合わせで理系受験生のほとんどが選択することになりますが、中には意外に負担が軽いということで[物理・生物]を選択する人もいます。

 

と言うのには、東大化学は時間内に全問解ききるのは難しい、という事情があります。比較的得意な人でも、40点行かないくらいの点数しか取れないことがあります。理三合格者でさえそうです。

 

東大化学では、有機化学で高得点を取るのが長らくの「セオリー」でしたが、有機化学が第1問に移ってからは、理論や無機と同様に、簡単には高得点を取れなくなってしまいました。かつてのように手堅く得点できる分野ではなくなっているので注意が必要です。

 

東大化学で高得点を取るためには、要領の良い計算方法を身につける必要があります。化学には雑多なテクニックや裏ワザが存在しますが、それらのマスターが時間内に全問を解くカギとなります。45点以上を目指すなら必須です。

 

化学には定番の問題集がありますが、その一冊だけを繰り返し解くという学習では様々な計算テクニックは身につきません。色んな問題集でテクニックを身につけておきたいところです。

 

 

 

 

東大生物は、リード文も長く日本で一番難しいと言えますが、長いリード文に問題を解くためのヒントが書かれているため、単科大学医学部などのような生物学の専門的な知識は不要です。

 

大学教養程度の内容を「大学入試」に出すことで問題難易度を上げるという「安易な」発想の問題は、東大ではほぼ出題されないと考えて良いでしょう。教科書程度の知識を使って「考える」ことが必要となります。

 

定型的な出題ではありませんが、考察問題も全て記述ではなく選択肢から選んだりと記述一辺倒でもありません。暗記的な知識量で出来が決まるような出題ではないため、「コツ」を掴めば意外に少ない勉強量で得意にすることも可能です。

 

特に国語が得意な人は有利になる傾向があります。一部では「生物で高得点を取るのは難しい」と言われますが、この発言をする人のほとんどは生物選択者ではないので実情を分かって言っているのではありません。

 

実際には60点満点中50点以上取る生物選択者は少なくありません。物理や化学と比較すると非常にコストパフォーマンスの良い科目です。理ニ、理三受験生にはオススメできます。

 

 

 

 

地学も、他大学には見られない独創的な出題です。東大の出題は地学でよく見られるタイプの問題ではないので、定型的な学習だけに終始しても合格点は超えません。

 

2007年くらいまでは問題数も今ほど多くなく、かなり少ない学習量で40点は取れるコストパフォーマンスの良い科目でした。現在は実質6題の出題で当時の2倍の負担となっています。

 

目新しい出題についてはその場で考えるしかありませんが、これにはコツがあるので可能な限り多年度の過去問を研究するとやるべきことが見えて来ます。天文分野を中心に解ける問題の幅を広げていくと30点台後半まで達してきます。

 

あまり時間のかからない定型的な学習を済ませたらすぐに過去問に取り掛かれるのは魅力です。地学は教材が多くないということもありますが、教科書を隈なく読んでいると得をすることがあるので、専門書に手を出すよりも教科書での学習を漏れなくやっておく方が確かです。

 

物理、化学のような基礎の積み重ねは不要ですので、自分が理科で必要とする得点と本番までに残された時間との兼ね合いで、地学も視野に入れて理科選択2科目を決めるといいでしょう。

 

 

 

 

ここまで各教科述べてきましたが、東大受験が簡単になるかどうかは「自分がどこで点を取り、どこで学習の見切りをつけるか」で決まることが分かります。

 

「東大理系受験生なのだから、数学で高得点を取る必要がある」などという考えに縛られていては、受かるはずのものも受からなくなってしまいます。自分と教科との相性を考慮して得点戦略を考えることが、何よりも東大受験では重要です。

 

このブログを参考にして受験戦略という考えを取り入れて学習をしていけば、受験勉強が空回りすることなく東大受験対策を今までよりももっと効果的に行うことができるでしょう。

 

受験勉強は闇雲に無目的で進めるものではありません。「学習しているうちに成績が上がって来たら東大受験も視野に入れる」ではなく、「今成績は大したことはないが、東大合格を目指して計画し、実行する」という決意と実行力が大切です。

 

社会人への準備の第一歩として、「やるべきこと」を明確化し、「それをこなす期間」を設定して「管理する」ということを自分自身で決め、その上で仕事(学習)を効率よく行うというのが、本当の「頭の使いどころ」と言って良いでしょう。

 

そこに「大人」としての自発性があるわけです。これに対して「とにかく色々考えずに与えられた勉強だけしていればよい」という発想では、自発性も工夫もありません。将来リーダーシップを取れる人材とはなり得ません。

 

仕事をこなすスタイルもそこから洗練されてきます。「たかが受験」とは考えずに、頭の使いどころを学びましょう。

 

「数学の先生、英語の先生、理科の先生、国語の先生、それぞれの先生が、東大受験にはハイレベルのこれこれまで解けるようにと言った」などと言う発言を真に受けていたら、全教科で高得点を狙わなければならなくなるでしょう。

 

1年くらいの受験勉強期間で、それで間に合いますか?  それは必要ですか?   よく考えてみましょう。

 

考えれば、本当に必要なことが「分かって」くると思います。

前回の続きとなります。『東大理三受験〜総論編』のほうもご覧になると流れが分かります。

 

 

『総論編』より随分時間が経ってしまいました。この数ヶ月は本当に目紛しく、変わらず医学部を目指す受験生にエールを送りたいと思います。

 

今回このブログをアップするにあたって、既出のブログで改めた方がいいところなどを修正しています。また、リンクを貼った方が分かりやすいとのご指摘から、その点も手を加えています。

 

コロナ禍、新テスト初年度と、例年にも増して大変な状況下にありますが、受験生の皆さんの日々の取り組みが報われることを切に祈っています。

 

『東大理三受験〜総論編』において述べましたが、難関大学である東大の中でも最難関の理三の受験となると、手をつけられないほどの難易度で、特殊な対策が必要だと勘違いしている向きもありますので、「実際はそんなことはありません」ということをまず述べておきたいと思います。

 

ただし、ここでの話は純粋に一般入試の「学力」に関することだけを述べることにします。と言うのは、医学部受験は学力試験だけでは済まないからです。最大の鬼門である「面接」が控えています。東大理三、九州大学医学部医学科が面接を始めた(再開した)ことで、入試に面接がない医学部が皆無となりました。

 

昨今、大学によっては女子差別や年齢、またその他の差別により不合格になるということがありましたが、それが「キャリア形成において欠かせない条件を決定的に欠くため」である真っ当な理由を不合格になった受験生も含めて世間に対して証明し、説明しない限り、「野蛮」な不当行為であると糾弾せざるを得ません。

 

教育において公正を欠くなど、OECD加盟国としても誠にもってド恥ずかしい。これを決めた当人たちには、そのような視点があるのかどうか。MeToo Movementを見ても分かりますが、「加害者側」の意識があまりにも低くく驚かされます。

 

これを看過するのであれば、もはや日本の国際化など諦めたほうがいい。こんな野蛮な教育後進国に、どこの国からマトモな留学生が来るのか?  そのようなレベルの話となります。

 

日本の大学が国際的なランキングで評価が高くないのも、さもありなん、という話です。しっかりと世界は見ています。

 

「面接」が「本来的に」機能せずに、学力が合格水準に達していても恣意的に不合格にさせ得る「インドラの雷」であっては受験生はたまったものではありません。

 

これについては学内においても関係者以外は真相を知り得ない極秘事項なので、ある意味もはや入試においては「神」の領域です。東大医学部が公正に学生の合否を決定していると信じましょう。

 

多浪、再受験など様々な事情を抱えていて東大理三を目指す方、面接への不安と闘いながら日々学習をするのは精神的負担感が半端ないものと思いますが、合否決定が公正になされていると信じて日々の学習に励んでください。

 

 

話を元に戻します。東大理三でも手がつけられないほどの難易度ではない、ということです。実際、「受験戦略」次第でそれが可能となり得ることは、『総論編』でも述べた通りです。

 

各教科満遍なくできるだけ多く受講してほしい予備校などでは、仮に受かる可能性が高い戦略を立てることができても、決してそうはしないでしょう。

 

それどころか、大きく一般方向を誤らせるような要らない授業でも受講させようと詰め込んできます。言うまでもなく、すべては「収益」のためです。

 

ドラゴン桜』では「東大は簡単だ!」と主人公の桜木が言います。学校や予備校では決してそうは言いません。『ドラゴン桜』はフィクションだからでしょうか?  

 

では、なぜ「簡単だ!」と言えるのか。東大二次(理科)の要点を教科別に述べてみますが、少し考えてみましょう。

 

 

英語 

要約、段落構成、英作文、リスニング、文法、英文和訳、総合問題と多彩です。試験の途中にリスニングが割って入るので、解答順序、ペースを配慮した時間配分がカギとなります。

 

語彙レベルやそれぞれの設問はそれほど難しくはありませんが、英文法、文章構成などのしっかりとした基礎力が試されます。昨今見落とされがちですが、基礎的な英文法力がないと、英作文は勿論、特に大問の4が乗り切れません。まずは高校英語を穴なく固めることが重要です。

 

一般受験生が90点(120点満点)以上を取るのは難しいとされていますが、80点台までなら通常の受験勉強の範疇で1年以内の学習で十分に得点が可能です。他教科で特に苦手教科がなければ、理三でも合格レベルです。東大英語は、ここまでなら十分に手がつけられるレベルです。すなわち「東大は簡単だ!」

 

ここからは、高得点領域の話となります。苦手教科を抱えていて英語で90点以上を目指すのであれば、高校英語は手早く固めて「東大英語対策」を念頭に置いて「実用英語」の範疇の学習を行うのが効果的です。そうすると、特に大問1、2、3、5は易しく感じられるようになります。

 

東大は、言わば、入学後に学問を行うのに必須の実用的な英語運用能力の基礎を入試で問うているので、「そこ」を理解して学習をすれば、100点を超えていくことができるようになります。帰国子女でなくても十分に可能です。

 

 

数学 

東大を特殊なエリート校たらしめている教科です。「東大の問題は難しい」と言われますが、東大の問題はよく考えられていて、その後他大学でも類題が出題されるほどの影響力もあります。

 

一般に数学の入試問題の作題は出題者にとっても簡単なことではありません。しかも、自分の研究に没頭できないため、できればあまり入試には関わりたくはありません。

 

そこで、通常は既出の問題に手を加えることで出題されることが多くなりますが、豊富な人材と予算から、東大では既出の問題に手を加える形ではなく、出題者のオリジナルな問題が作られます。

 

東大の問題は難しいですが、それは他の大学とは違い、あまり「見たことのない」問題が出題されるからです。「見たことがない」から問題が難しいのは当たり前です。

 

この教科が難しいことが、実質的に東大が難しいというのと同義となっていると言って過言ではありません。合格者でも白紙答案となるほど難しい問題が出題されることもあり、得意な人でも頼りすぎると失敗します。 問題レベルを考えると、とても「東大は簡単だ!」とは言えません。

 

では、「東大は簡単だ!」と言う真意はどこにあるのでしょうか?   単なるハッタリでしょうか?

 

目標がどこにあるかが重要です。一般方向を間違えてはいけません。目標は「東大数学で高得点を取る」のではなく、「東大に合格する」ことです。

 

確かに問題は難しいのですが、それでも理系として一通り学習を行なっていれば、30〜40点程度なら特殊な学習をしなくても取れるということです。東大では部分点を期待できるからです。

 

理一、理二なら、合格最低点はそれほど高くないので、他教科でズバ抜けたものがなくてもこれでも合格は可能です。見切りをつけて東大数学で30点取るための学習。「東大は簡単だ!」と言えます。

 

理三合格を考えた場合、『〜総論編〜』でも述べた通りですが、十分に戦略を練らなければなりません。数学に力を入れるのか、入れないのか。

 

「数学塾」などに通っていると、理三志望などと言うと80点台を目指すような学習配分となり、数学が苦手な場合は、理三は勿論、東大理系、医学部医学科はすべて断念せざるを得なくなります(最悪の場合、理系をも諦めざるを得なくなります)。

 

この場合、『〜総論編〜』の「得点戦略2」のパターンは初めから除外です。全教科を見渡した戦略は取れません。これでその後の進路がほぼ決定するわけですから、ある意味ここが人生の分岐点です。

 

医者になった後は数学は不要と言ってよいので、正直数学ができるかどうかが医学部進学に大きく影響するのはどうかとも思います。実際、東大理三後期日程では数学は2次の受験教科ではありませんでした。

 

ここで「得点戦略2」に基づいて学習を進められれば、理系は勿論のこと、東大、医学部のすべてを諦めずに志望校を貫けます。「受験戦略」の有無が受験だけではなく正に人生の分岐点です。

 

「得点戦略2」に基づいた学習を行う場合、2次数学は30点(120点満点)でよいので、理一、理ニのケースと同様に、「東大合格」という目標を達成するのに必要な自己の目標得点レベルからすると、ある意味やはり、「東大は簡単だ!」とも言えます。

 

 

(以下、『東大理三受験について  〜各論編2〜』に続く)

私の旧サイト『大学への受験術』でもこの話題に触れていたので、ここでも述べておきたいと思います。

 

東京大学理科三類(東大理三)は、最難関大学の東大と最難関学部の医学部医学科を折衷するだけあって、日本最難関であることは今更言うまでもありません。

 

東大理系でも、出題される問題、その配点とも同じ理科一類、理科二類がセンター試験も合わせた合格最低点が550点満点中330点近辺であるのに対して、理科三類では近年380点超えとかなりの差があります。東大全般が難しいというよりは、東大理三のみがズバ抜けて難しいというのが真実です。

 

ただ、東京大学は理三でさえ550点満点中390点付近が合格最低点ですから、裏を返せば総合で7割ほど解ければよく、残りの3割ほどは合格するには解けなくても構わないことになります。このサイトは「受験術」ということでお話を進めていますが、その観点からすると、この「3割ほど解けなくても構わない」という事実が、東大理三受験において「受験術」が使えるポイントとなります。

 

「東大理三は難しい」というのが初めに来ると、そこから実際に自分が受験するというところまでつなぐのは大変なことです。言ってみれば、そこから先は思考が停止してしまいます。「東大理三合格に必要な390点を取るためにどうすればいいのか」ということを具体的に考えるところまで行かないのです。

 

では、東大理三に受かるためには、実際のところどんな「戦略」が考えられるのでしょうか?

 

東大2次のそれぞれの教科の特性と本番まであと1年といった条件を考慮すると、次のような「得点戦略」が考えられます。

 

東大理三受験生で、各教科あまり「無理」をせずに狙える得点は、次のようになるでしょう。これは「天才や優等生だけにしか取れない」という点数では決してありません。ここを認識することが、まず最初の第一歩となります。

 

[得点戦略1]

東大2次

英語85/120、数学70/120、国語45/80、理科(物理、化学選択)90/120 

センター試験100/110

総得点390/550

 

なお、この合格最低点は、例年の合格最低点を考慮したものです。年によって390点より高いこともあれば低いこともあります。また、このうちの100点はセンター試験で、センター配点の9割の得点ですが、「大学入学共通テスト」によって取るべき得点範囲は変わってくるでしょう。

 

東大入試は学習しなければならない教科が多いため、各教科、[得点戦略1]にある目標得点以上狙うとなるとかなりの負担となってきます。「よほどの事情」がない限り、これ以上を狙っていこうとは考えない方が良いでしょう。

 

「東大は難しい」というのは、理系の場合、「数学が難しい」ところから来ていると言えます。東大数学は、数学がよほど得意ではない限り、1年以内に高得点(80点以上)を「確実に」取れるようになるのは簡単ではないでしょう。困ったことに、得意な人でも失敗することがある、それが「東大数学」です。年によって「当たりはずれ」も大きい教科です。苦手な人だと、50点を超えるのも難しい。

 

「よほどの事情」とは、例えば、文系教科には強いが、東大数学がどうしても難しく感じて解けない、などの場合です。その場合は、例えば次のような得点戦略になります。

 

[得点戦略2]

東大2次

英語110/120、数学30/120、国語55/80、理科(化学、生物選択)95/120 

センター試験100/110

総得点390/550

 

上は、過去に知り得た数学が苦手な東大理三合格者達をモデル化した得点です(平均ではありません)。実際の得点はこれより若干前後しています。

 

「得点戦略」を基に、各教科の学習を行う。ここに、東大理三受験に「受験術」を使うヒントが隠されています。上の得点から何が見えて来るか。

 

[得点戦略2]で数学がこの得点というのは、たまたま調子が悪かったということでなければ、他の国公立大学医学部医学科を受験しても、合格水準に達しない可能性があります。言い換えると、とても奇妙な言い方となるでしょうが、国公立大学医学部医学科に行くのに「東大理三しかなかった」ということです。

 

上の[得点戦略2]で言うと、数学は取れなくても良いので他でどう得点するか。文系教科に強いのであれば、このような戦略もありなわけです。そのための学習をどう進めていけば良いか。ここが戦略の立てどころです。

 

数学は時間をかけるべきメイン教科とされているので、数学に時間をかけた上での戦略変更では、流石にとても間に合いません。

 

「何となく、学習していくうちに帳尻を合わせる」というのではなく、初めから数学にはあまり時間をかけずに英語、理科、そして国語をメインに学習時間を充てるという作戦です。

 

先の[得点戦略2]の理科では数学的要素の強い物理ではなく、長いリード文を読み解いた上で解答をしていく生物を選択していることにも着目です。生物は他の理系科目よりも若干「文系的要素」が強くなります。

 

世間では東大理三は受験すると言うことさえ憚られるほど特別なところと考えられていますが、皆さんよく考えてみてください。東大理三が闇雲に難しいのかどうか。

 

これは地頭の問題ではありません。受験勉強のスタートが早いかどうか。スタートが遅いなら、どう効率的に攻めるか。

 

なんでも「地頭」という一言で済ませたい人は、「頭が良い」ということの実質的な内容を考えたことがない人です。「地頭」を「諦め」のキッカケにしようとしている人もいます。ほとんどの場合、それは「知識量」と目標を明確に定めた「訓練度」の問題です。

 

「ヒラメキ」という現象も、多くの知識の積み重ねがもたらします。「センス」というものでさえそういうものであると慶應義塾大学で特別招聘准教授を務めていた水野学氏は言っています。

 

大学に入ってからの数学でもそうです。数学科に進むような学生は「ヒラメキ」がある人たちと思われそうですが、実際には多くのことを学ばなければなりません。あることを「知っているかどうか」で、問題を考える時の視点や視野も大きく違ってきます。

 

合格者という観点から言わせてもらうと、「攻略法」というのは確かにあり、それは、「ドラゴン桜」や「受験のシンデレラ」などで見られるように受験するにあたって「戦略」を立てることが極めて重要だということです。

 

上の[得点戦略2]をとった受験生が、もし[得点戦略1]しか考えられなかったら、東大理三はもちろん、国公立大学医学部の合格もなかったでしょう。

 

 

各論は次回に譲ります。

このブログでは、私の旧サイトに倣って「受験術」の観点から、東大や医学部合格を目指す受験生が「効率的」に勉強を進めていくのに役立つ情報を紹介していこうと思います。

 

前回の続きとなります。『「超能率受験勉強」に役立つ塾や予備校など(1)』のほうもご覧になると流れが分かります。

 

 

 

 

二見総研

東進ハイスクールで化学の指導をしていた伝説の講師、二見太郎氏が東進からの独立後に設立し主宰しています。二見氏は東京大学医学部医学科出身であり、特にハイレベル化学指導において圧倒的に実戦的な解き方を指導しています。化学だけでなく、数学の著書も出版しています。

 

「大学教養レベル」の知識を受験指導に持ち込んで「ハイレベル」を演出することなく進めていく二見氏の講義は、真にハイレベルで、芸術的とさえ言えます。

 

理三から医学部医学科に進学しているため、受験生時代にすでに効率的な解き方を極めていて、受験で必須となる項目を見切っています。それが他の「ハイレベル化学指導講師」の追随を許しません。

 

二見氏の解法を身につければ、パズルを解くように得体の知れないハイレベルの問題が「定型的に」解けるようになるでしょう。解法のポイントを抜き出すというよりも、二見氏の解法を使って「追体験」するつもりで問題を解いていくと、解法がジワリと頭に染み込んで来ます。

 

ホームページの更新が随分と古いですが、この受験化学の「至宝」を失わせてはならないと思います。旧サイトで二見氏の全教科指導を望む発言をしましたが、ここに実現する形となりまた。「準備中」となってはいますが、数学や物理の講座もあるので注目しておきたいところです。

 

 

 

 

教育コンサルティング  EC PROGRESS

関東、関西、九州で30年以上にわたって大学受験指導を行う知る人ぞ知るプロフェッショナルです。現在は九州に拠点を置いていますが、長年拠点を置いていた東京や、その他大阪などでも引き続き指導を行なっています。

 

大学受験に向けた「教育コンサルティング」ですが、大学受験を視野に入れた中学生でもコンサルティングを依頼できます。東大、京大や医学部受験生からの依頼が中心ですが、不登校の学生や高卒認定からの依頼も引き受けています。

 

受験戦略といい、熱血さといい、『ドラゴン桜』の桜木健二の指導イメージと重なります。東大、京大、医学部受験に強く、一般にはあまり知られていないようですが、これまで多くの有名人を指導しています(私の知人によると、私とは東大のほぼ同期のようです)。

 

世界の大学ランキングでは常にトップランクにあるオックスフォード大学(2020年1位)やケンブリッジ大学(2020年3位)出身のイギリス人が英語のアドバイザーです(国内トップの東京大学は残念ながらこの年36位でした)。日本の塾や予備校でオックスブリッジ出身のイギリス人がスタッフであるのは非常に珍しく、英会話学校でもあまり例がありません。

 

受験生のモチベーションを上げるのが非常にうまく、40分間話をしただけでその後勉強だけでなく学校生活も劇的に改善した中学生の話や、医学部後期日程に10日間の対策で合格させていた例など、セレブたちに慕われているのも納得な逸話が多く、『ドラゴン桜』だと言われる理由が分かります。

 

通常作成する年間計画に基づいた学習だけでなく、「センター直前で国語で点が取れない。どうにかならないか」などといった切羽詰まった状況でも、どのレベルからでも点が取れる受験戦略を考えてくれるため非常に頼りになります。特に成績が伸び悩んでいる人は、一度問い合わせてみると良いでしょう。

 

 

 

 

『Hosono’s Super School』

数学の参考書で一世を風靡した細野真宏氏が主宰するスクールです。中経出版から出版された『面白いほどわかる本』シリーズは今でも出版社と書名を変えて刊行されていますが、学習する分野を自分で工夫できるのであれば、現行の入試でも大いに役立ちます。特に確率、整数、漸化式、包絡線(旧版のみ)は優れています。

 

現在ではどこの塾や予備校でも分り易く教える講師は多いですが、それでも今だに細野数学は一目置かれています。某予備校のベテラン講師などは受験数学の様々なところに関わっていますが、授業は平凡で数学が分からない生徒向けではありません。理系に進みたいが数学が苦手といった受験生に対しては救世主的な存在ではありません。

 

細野氏の優れている点は、比較的偏差値が低い生徒でも理解しやすいその解説と到達レベルです。教科書程度のレベルから、一気に難関大入試レベルまで引き上げてくれます。これを考えると、他書は「なってない」と言わざるを得ないでしょう。

 

単に「解説が分かりやすい」というのと「数学ができるようになる過程を分かりやすく解説したもの」とは違います。最近は講義型で途中計算も丁寧に書かれた参考書も多くなってきましたが、細野氏の著書並びに講義との大きな違いはここです。細野氏の講義は単に解説を分かりやすくするというよりは、「解けるようになる過程」を苦手な人でも分かるように説明しています。

 

実際、細野氏の講座のレジュメのほうが、丁寧に「分かりやすく」解説をしている本よりも、数学の問題が自分で解けるようになります。レジュメは講義のエッセンスだけなので、著書よりも解説量が少ないにも関わらず、です。

 

解説が単に分かりやすいということだけでは「自力で問題が解ける」ようにはならないということです。多くの講師の「授業」にもそのまま当てはまります。「分かりやすい!」、それでは、それで生徒が自力で問題を解けるようになったのか?  ということです。

 

細野氏の参考書は分野が偏っていて、数IIIでは積分が基礎となる計算だけしか出版されていません。その不備を補ったのが、「Hosono’s Super School」です。受験頻出分野のセミナーを開いて未刊行分野も含めて講義を行なっていました。

 

その講義の一部は、ビデオ化されて販売もされていました。未刊行の積分は、計算だけでなく面積、体積、定積分と不等式の問題も扱われています。

 

細野氏が体調を崩した後は、経済評論家へと転身したこともあり、細野氏自身の「Super School」での活動も鈍ったようですが、「Super School」自体は今現在も運営されています。細野氏の数学に興味がある人は、「Super School」事務局に一度問い合わせてみるとよいでしょう(Tel 03-5272-6937)。

 

数学教師は、「思考力、思考力」という割にはその過程を説明せずに「自分で経験しろ、それができない人間は地頭が良くないのだろう」といったスタンスを取る人が多いように感じます。自身が苦労して身につけた「聖域」にたやすく踏み込んで欲しくないとでも考えているのでしょうか。このようなスタンスは、要は自分が問題をただ解けるだけで、その過程を人にうまく説明できないことによるものです。

 

数学は自然科学の基礎ですが、だからと言って数学ができるだけで科学的であるとは言えません。「無から有を生み出す」がごとき「ヒラメキ」と言う数学教師は非常に多いのですが、脳科学的に言うと、「このようなヒラメキ」という現象は存在しません。その意味では「非科学的」です。「ヒラメキ」という一言で、「なぜそのように解いていくのか」という論理的説明を省こうとしています。

 

人に説明できない教師(講師)など、職務怠慢と言う他ありません。冷酷にも分からない生徒たちをバッサリと切り捨てる。そういった人は、研究室に籠もって1人で数学をやっていればいいのではないでしょうか。幾多の数学嫌いを作り出しても平然としていて、生徒の心にトラウマさえも残す。子供たちを育成する教育現場に出てきて「害」をなしてはならないでしょう。

 

スタンフォード大学名誉教授ジョージ・ポリアの名著 “How to solve it” の初版は1945年です。それから75年もの間、数学の教育現場ではどんな工夫がなされて来たのか?   そもそも、工夫するつもりがあるのか?   教師たちは、数学を習うのは将来数学の道に進む人たちばかりではないことを理解しているのかどうか。

 

細野氏は、受験生が大学入試問題を自力で解けるようになる思考過程を分かりやすく説明できる数少ない数学講師の1人です。経済の分野でもこの説明力は活かされ、著書はベストセラーとなっています。受験数学界における、この貴重な「救世主」を失わせてはならないと思います。細野氏の更なる活躍を願うところです。

 

 

 

 

ディリーゴ英語教室

小中高でかけたのが50万円という驚異の教育費で大分の県立高校からハーバード大学に娘のすみれさんを合格させた廣津留真里さん主催の英語塾です(ちなみに、『「東大」「ハーバード」ダブル合格 16倍速勉強法』の本山勝寛氏、『3男1女東大理III合格百発百中 絶対やるべき勉強法』の佐藤亮子さんも大分出身で、すみれさんと同じ高校です。偶然ですが、それでも大分には「何か」が感じられます)。

 

ハーバード大学出身者が在籍し、夏季セミナーではハーバード大学から学生がやってきて指導もなされます。世界最高峰の大学から来た学生のゆったりとした気取りのなさには驚かされるでしょう。コロナ禍でさえそれまでとスタイルに変わりのない日本の大学のアドミッションとの根本的な違いを思い知らされます。

 

民間テスト導入は一旦見送られましたが、共通テストでもより実用面を意識した出題となった英語学習は、これまでの所謂「受験英語」から大きく脱却が図られたものとなるでしょう。

 

実用英語を意識した出題に対応するには、手早く高校英語の学習を終えた上でそれらの訓練を厚くするか、それらと並行して早期から「英語」学習に取り組む必要があります。

 

塾や予備校の「日本型」英語授業だけでは、日常的な学習が要となるリスニングやライティング(更にはスピーキング)スキルは磨くことはできません。当面のテストではとりあえず必須ではありませんが、先を見据えるなら4技能の訓練を視野に入れなければならないでしょう。

 

東大英語で高得点を取るにもこの辺に「カギ」があります。東大では現在の2次試験では4技能をテストできないため、ある意味出題を「自制」していますが、秋入学実現でより「国際化」を目指したかった東大が語学力を大きく評価していることはTLPからも明らかです。

 

実用英語を身につけるのは、これまでのように受験英語をマスターするのとは明らかに異なっています。単なる「英会話」ができる以上のことを目指すなら、英語の論理、リズムや文化的背景も知らなければなりません。

 

評価されるポイントはこれまでとは異なったものになります。発音・アクセント、英文法問題が解けて、英文和訳、和文英訳と簡単なリスニングができるだけで高評価が得られる出願は終わりを迎えるでしょう。

 

「世界標準」とでも言うべき英語運用能力養成を意識している大学は、大学入試においても実用英語へのシフトを図ることは時間の問題です。英語を第一言語としていない他のアジアの国の入試問題と比べてみると分かります。高校入試の問題でさえ、日本の大学受験生が高得点を取るのは簡単ではないでしょう。

 

「国際化」というのであれば、「世界標準」を念頭に置いて英語学習の方向性を見つめ直さなければならないと思います。それには廣津留真里さんの英語教室のように、世界の超一流を普段から肌で感じることが最善です。

 

漠然と「東大>ハーバード大」と考える人もまだ多いようですが、このような意識で果たして日本はこの先「ガラパゴス化」して枯れることのない未来を迎えられるのでしょうか?  子供たちの将来を見つめて不安に駆られるのは私だけでしょうか?

 

 

 

新日本速読研究会

速読と言えば、テレビなどでのパフォーマンスが目立ちすぎて、かえって一般の人からは「あんなことできるわけない」、「あんなスピードで理解できるわけない」などと敬遠されがちですが、実際には訓練をしたことがある人とない人との差は歴然です。

 

私などは時間の関係から本とパソコンソフトによる訓練しかしていませんが、それでも元の速さの4倍程度速くなりました。通常は、1分間に3,000字ほどの速さで読んでいます。これは速読訓練ではどうやら序の口のようで、教室に通っている人の中には1分間に1万字以上読める人もいるようです。

 

私自身も速さだけの追求というのは疑問視していますが、1分間に1万字のペースで読める人は、見ている風景が違うようです。脳の使い方が違うというか、いわゆる「フォトグラフィックメモリー」のような感覚らしいとのこと。

 

1分間に2,000〜3,000字でも、「スキミング」や「スキャンニング」などの速読技術も駆使するとかなり速く読めます。大学や仕事で多くの文献に当たらなければならない場合は必須と言って良いでしょう。

 

速読教室で眼球運動を鍛えて視野を広げたら、他の速読技術も学んで読み方の工夫すると情報処理は格段に速くなります。新テストでは、重要な箇所を素早く読み取って情報を整理し、それから従来のように問題を解かなければならないような出題となるので、この処理速度が重要となります。

 

自然と集中力も高まり、フォトグラフィックメモリーのような効果で記憶力もアップするので、これは根本的な能力開発にあたります。やって損はないどころか、「できる人」は本を読むのが極めて速いため、速読技術は是非身につけておきたいところです。

 

速読教室には色々とありますが、速読研究の老舗である『新日本速読研究会』が最も充実した訓練ができるですしょう。ここの『ジョイント速読術』を基礎にした速読では、呼吸法云々などで余計な時間をとったりしないため、学生にも敷居が高くなり過ぎずに速読理論に集中でき、短期間である程度まで仕上げることが可能です。

 

『新日本速読研究会』は流石に老舗だけあって方法論がしっかりしています。ダメな教室に行くと「速読ダメ」の印象が残るだけなので注意が必要です。そうなってしまうと、速読を身につける機会はその先はなかなかないでしょう。非常にもったいないことです。

 

なお、速読ができるようになることイコール勉強ができるようになることではないので、速読の方法論を極めようと躍起になって本業の受験勉強を疎かにしてはなりません。

このブログでは、私の旧サイト『大学への受験術』に倣って「受験術」の観点から、東大や医学部合格を目指す受験生が「効率的」に勉強を進めていくのに役立つ情報を紹介していこうと思います。

 

通常、大手予備校や有名塾では、偏差値が50を切っている受験生に対する東大受験クラスは(実質的に)ありません。これは、当然な話で、偏差値が50を切っている学生を東大に入れるノウハウなどもともと持ち合わせていませんし、仮にそれがあっても生徒全員に対して懇切丁寧に時間と手間がかかる受験戦略など立てずとも経営が成り立つためです。

 

東大進学率が極めて高い塾もありますが、そもそもトップ進学校の生徒しか塾に入れないのですから東大合格率が高いのも当然と言えば当然の話であって、寧ろ落ちる生徒がいる方が不思議なくらいです。学費も安いものではないのに一体何をしているのかとも思いますが、東大に落ちるのも本人の「能力」の問題ということにされるのでしょう。

 

オンラインの予備校系の講義については、『スタディ・サプリ』を始めとして様々なものがありますが、それらを「ただ受ける」だけでは最難関の理三はもちろんのこと、東大は目指せないことが分かります(ただ東大向けコースを受けて「東大理三を狙える」ようになるのであれば、その人はある意味「天才」です)。

 

重要なのは、それを使いこなす「戦略」です。如何に優れた講師陣が揃っていても、『ドラゴン桜』の要である桜木建二なくしては「東大合格作戦」は成り立ちません。「三国志」をご存知でしょうか。如何に個々が最強の戦闘力を持っていても、関羽、張飛、趙雲だけでは劉備は国を持てません。構図は同じです。

 

第1回と第2回では、入試まであと1年程度で、偏差値50以下であっても東大合格に役立つパワフルなところを紹介したいと思います。『ドラゴン桜』風に言うと、「逆転合格」させる必勝の「受験戦略」を持った主人公の桜木建二やその他各教科担当の先生の紹介にあたります。

 

なお、緊急事態宣言が解除されましたが、報告される感染者数が減ってきたとは言え、未だに収束していない新型コロナウィルス感染への懸念も拭えないため、ここでは通信指導、オンライン化されているところや、それに準じたところに絞って話を進めていこうと思います。

 

 

 

緑鐵受験指導ゼミナール

言わずと知れた受験技術研究の第一人者である和田秀樹氏監修の大学受験通信指導ゼミナールです。今年で30年になる「老舗」です。勉強のやり方を改善し、東大や医学部合格などを目指します。

 

和田秀樹氏の自己の体験をもとにした『受験は要領』以来、和田氏は受験ノウハウを受験生に伝え続けていますが、その学習を徹底できない受験生もおり怨嗟の声を上げています。そこで直接的かつ柔軟に対応できるようにこのゼミナールを開きました。

 

指導に当たるのは現役東大生です。和田氏のノウハウを汲んだ東大生たちが、学習計画を作成し、マンツーマンで受験生に「学習法」や「受験技術」を伝授します。和田氏は直接指導には関わりませんが、和田氏の監修の元、講師の東大生が情報収集、計画作成、指導に当たります。

 

講師の選定はどこぞの『◯ ◯ 会』ほどの厳しさはありませんが、元々「受験技術」に理解のある東大生が多く、受験情報収集には余念がありません。講師達の割が良いので指導の士気も高いです。

 

講師達の「割が良い」というのは学生が指導にあたる際に重要な要素です。「東大生」と言っても学生のバイトで彼らの本職ではないため、給与が良くないと当然「質」を保つのは難しくなってきます。

 

この辺りの「裏事情」は、塾・予備校選びの際にほとんど考慮されることはありませんが、重要なポイントとなります。

 

そのため、あまり儲けにはならず、和田氏は他で補って資金を投入していますが、それでも受験生のために運営を続けるのが和田氏の真骨頂と言えます。指導が単にルーティーン化していて「熱意」がなく、金儲けばかり考えている他の「教育家」も見倣うべきではないでしょうか。

 

和田氏は長年更新してきた有名な東大受験本である『東大受験技法』2018年度受験版を最後に以後新版を出さなくなりましたが、その時期より新テストに向けて医学部受験生向けのゼミを開講し、受験関係ではそちらの活動に心血を注いでいます。興味のある人はLINEの登録をすると良いでしょう。

 

なお、ネット上での『緑鐵受験指導ゼミナール』に対する批判は、その多くが新興勢力の某塾の息のかかったものであり、その他は学習方法の改善がそもそも難しいレベルの受験生の怨嗟のコメントです。特に前者に踊らされてはならないでしょう。その塾に行ったところで、いいとこ私大の医学部に受かるのが関の山です。

 

 

 

 

JGK受験技術研究会

1990年代からの運営で『緑鐵受験指導ゼミナール』と並んで受験技術指導の老舗です。口コミ中心のためあまり知られていませんでしたが、駿台市谷校の東大理三受験生の間で流行ったことで知られるようになりました。前期・後期ともに理三合格者をトップの進学校と並ぶほど出し、理三後期日程合格者の半分がここの受講生だった年もあったためです。

 

東大生、東大出身、大手塾講師、指導地域の医学部生、旧帝大出身のプロ講師が指導に当たります。スタッフの選別は厳しく、自分が問題が解けるだけではスタッフにはなれません。ただ、その分、講師の割が良いのでスタッフの士気が高いです。

 

「研究会」の名に相応しく、長年にわたって東大、京大、医学部や地方旧帝大、早慶合格者を中心に合格者の学習法、受験技術、解法等を収集し、ノウハウを蓄積してその膨大なデータを基礎に受験指導をおこなっているため受験生レベル、志望校の対応できる幅が広いのが特徴です。

 

最近ではAI指導を行うという塾や予備校もありますが、所詮「手持ちのデータ」を基礎にプログラムしてあるだけであり、AIと言ってもせいぜい入力されている初期データ程度の「智恵」しか出してくれません(興味がある方は、『東ロボくん』プロジェクトを参照すると良いでしょう)。

 

教育と言っても所詮は金儲けという考えのもと運営している塾も多いですが、『JGK受験技術研究会』と『緑鐵受験指導ゼミナール』はそれら金儲け主義の塾とは指導できるレベルが本質的に異なっています。受験生が受講しやすいよう配慮されていて、料金設定もそれらと比較して圧倒的に安いです。

 

「レベルの本質的な違い」とは、要は1年程度の学習で最難関の東大理三にも合格できるかどうかということです。ハイレベルになるほど、塾や予備校の規模によらず「東大理三合格」が指導力の指標となります。最近では『緑鐵受験指導ゼミナール』や 『JGK受験技術研究会』をマネたような団体も多くなりましたが、ここが大きな違いです。圧倒的な差があります。

 

規模が大きくても「東大理三合格」者が出ない塾や予備校も多く、受験戦略が優れていないと、普通に達成できることではないのは明らかでしょう。「合格させる」力は、塾や予備校の規模の問題ではないということです。良い実績にも関わらず寧ろ「小規模」である方が、かえって「適正」に運営しているとも言えます。

 

上の『緑鐵受験指導ゼミナール』でも述べましたが、同じようにネット上でここを批判する人は、新興勢力の某塾の息のかかったものか、学習方法の改善が難しいレベルの受験生です(やっている本人が漏らしているのだから間違いありません)。それだけ「商売上」の脅威に感じているということなのでしょう。

 

なお、『JGK受験技術研究会』は2021年春より東大受験専門となります(医学部受験生の指導も希望があれば引き続き行うようです)。

 

 

 

 

東京凰藍学院

『緑鐵受験指導ゼミナール』、『JGK受験技術研究会』、そして『東京凰藍学院』と、それぞれの名称にそれぞれの特徴、理念が表れています。『緑鐵』は東大法学部(自治会)と東大医学部医学科同窓会から来ていて、指導陣が主にこれらの学部生からなる(なっていた)ことを表し、『受験技術研究会』は名称通り、そして『東京凰藍学院』は『凰藍』に鳳凰のように自由に天高く羽ばたき、青よりも青い藍ということで、高い志を持ち師をも超えて天下に広く才を発揮することを願うものです。

 

このように、名称には込めた思いや意味があり、それを体現したいと願うものですが、ここ『東京凰藍学院』はその名前に恥じることのない実績を残しています。

 

学院長自らも鳳のように伸びやかに力強い指導をし、授業レベル、テキストもよく研究されていて東大対策には効果的です。もともと偏差値が高い学生を入塾対象にしている塾が多い中、ここでは偏差値が40台(東大型)以下の学生も東大に合格させています。

 

実際に、これを体現している教育期間は、この「学習戦略」や「学習技術」、「受験技術」について発言されることが多くなった今日においてもあまりありません。現実世界では、実際に『ドラゴン桜』のような指導を受けることは難しいのです。このブログも、そのようなところから来ています。実際にどうやれば『ドラゴン桜』のように学習が進められるのか?

 

『ドラゴン桜』のモデルとされる教科ごとの人物はいますが、『ドラゴン桜』の要はあくまでも受験戦略家の桜木健二です。『ドラゴン桜』のストーリーにもかかわらず、ここが理解できていないのか、『ドラゴン桜』と言いながらもなぜか強調されていません。それぞれの教科を教える講師は大勢いますが、桜木健二のような受験戦略家が実際には少ないからでしょうか。

 

『三国志』では、劉備玄徳が国取り合戦に参戦できたのは、グランドデザインを描き、「戦略」という概念をもたらした諸葛亮孔明の加入があったためです。それと同様に、桜木がいなければ、『ドラゴン桜』は成り立たない。必要なのは、桜木という存在です。

 

東大や医学部に合格させずに「学習戦略」や「受験技術」で指導などと言ってみても、大言壮語の感が否めません。他人に対して効果的な指導を行うのは簡単なことではありません。指導者がいかなる難問を解きこなしても、それを効果的に教えられないのであれば学ぶ側の成績が良くならないのは当たり前です。

 

指導者がたとえ東大合格者であっても、それだけでは教え子を東大に合格させることはできません。東大合格指導者が東大合格者を出すというのはそう簡単なことではないのです。

 

『東京凰藍学院』はそれを行っている少ない教育機関の一つです。大手大手で多くの人々にここの存在を知られていないのは残念なことです。

 

なお、上でも述べてきましたが、ネット上での批判は、生徒や保護者になりすました同業者の行うネガティブキャンペーンです。こういう「少数精鋭」派の塾は、とかく「潰し」に会いやすい。

 

優良な「受験術」を絶やすということは、「格差社会」をある意味定着させるということです。「身の丈に合った受験」では「教育の機会均等」に反しますし、第一、それで真に優秀な人物を発掘できるのか?   様々な事情で有名進学校に進む機会を得られなかった人には「逆転」のチャンスは永遠に訪れないことになります。

 

このブログはアフィリエイトとは無縁ですし、私が挙げる教育機関とは全く利害関係はありませんが、ただ優良な「受験技術」を絶やしたくないとの思いからこのブログを書いています。それだけは是非言っておきたいと思います。

 

 

 

 

大学受験Wittyゼミ』(『坂本式数学研究舎』)

東進ハイスクールの看板講師と言えば、今では名実ともに林修先生ということになるでしょうが、その昔、赤マントをひるがえしていた看板講師がいました。「合格王」こと、安本肇氏です。

 

安本氏は苦労の末学習法を工夫して東大、京大、東北大などに合格。「合格王」というのはここから来ています。東進ハイスクールがその「有名講師」で世に名を知られ始めた頃に在籍し、通常20分かかる問題もほんの数分(5分以内)で、しかも暗算でいとも簡単に解いてしまう『ミラクル数学』で看板講師の1人となりました。

 

東進ハイスクールを辞めた後、沖縄県浦添市で数学塾を主宰。坂本龍の名でも数冊の参考書を出版しています(それでタイトルにある「坂本式」です。一時は隠棲されたかったようです)。

 

東進時代は「合格王」と金字で書かれた赤マントがトレードマークで、生真面目な安本氏がそれを身につけているのは正直痛々しさもありましたが、通常10分以上はかかる問題も数秒で解いてしまう「ミラクル数学」は、身につければスーパーサイヤ人級で数学が解けるようになります。

 

YouTubeなどで目にすることがありますが、暗算かつ超速で問題を解いていく原理は、この「ミラクル数学」と然程変わりません。「タネ」を知らない人間から見れば、何でも言い当てるシャーロック・ホームズに驚嘆する依頼者と同じです。「東大生クイズ王」です。

 

「ミラクル」などと言うと、通常は胡散臭いイメージがあり、中身も確かめず敬遠しがちとなりますが、この「ミラクル」はその名の通りミラクルと言っていい解法です。

 

もちろん、頭を使わずにラクをしてマスターできるというものではありませんし、もともと「勉強嫌い」の人を救うためのツールでもありません(その意味では、ここで述べている全ての「受験術」は「勉強嫌い」の人を救うものではありません)。

 

時間をかけずに「瞬殺」するのですから、それなりに覚えるべきことはあります。ただし、一部の塾や予備校で行われているような「ハイレベルを演出する」ために高等数学を用いるのとは一線を画しています。

 

「ミラクル数学」では、大学受験で不要な理論は極力削ぎ落とされ、数学が得意でない高校生でも「使える」形で公式化されています。ここが大きな特徴です。「地頭が良い」特別な人のためのものではありません。

 

高等数学を授業に導入して「『難しいこと』を『難しい』まま話して感動されている」ようなものでは決してありません(高校生相手に優越感に浸っているかのような講義をする講師も少なくありませんが、まったく始末が悪いです)。ここが安本氏が苦労して工夫したところです。最低限それらは覚えなければなりません。

 

過去に出版された著書では入試頻出分野が扱われていますが、全分野にわたって「ミラクル」解法が紹介されているわけではありません。上では著書との関連で『坂本式数学研究舎』も揚げていますが、現在は沖縄県那覇市の大学受験予備校『大学受験Wittyゼミ』で指導をしているので、安本氏の数学に興味がある人は問い合わせてみると良いでしょう。苦手な人でも、地方国公立大学医学部合格レベルまで比較的短期間で到達することができるでしょう。

 

 

 

(以下、次回に続きます。)