テストー3 | 脳卒中(脳幹出血)医師 moonkikicocoのブログ

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約72歳。12年ほど前に脳幹出血で倒れました。合併症はたくさんありますが、何とか生きています。つまらないと思うかもしれませんが、愚痴っぽいブログですが、よろしく。

 さて「胸郭出口症候群」は知っているようで、知らない病気です。胸郭~上肢は意外に狭く、そこに動脈 静脈 神経があります。上肢を横にあげさせて、首を動かすと、痺れたり脈が途絶えたりします。撫で肩の女性や筋肉を鍛えている人に多い。

 前面の胸部ですが、まず視診ですね。皮膚の状態を観察します。胸郭が動揺していないか、呼吸と一致して凸凹しているか。「帯状疱疹」や「肋間神経痛」や「肋骨骨折」なんかはこの段階で診断がつきます。胸骨を押さえて心臓マッサージしますね。この時に有効にするには5cmくらいは必要です。以前は頻度は少なかったのですが、今では100~120回が良いとされています。肋骨はよく折れます。申告にもよりますが乳癌は上外側が多いです。

 さて次に聴診器の出番です。一般的に 胸水や空気が溜まれば呼吸音は減弱し、炎症があると大きくなります。これらの音は特徴的で、それだけで診断がつきます。例えば喘息です。心臓の音も雑音も聞きます。音には特徴があり、診断は可能です「昔 沢山憶えましたね」が、今はエコー万能です。

 左指を当てその上を右指で叩いて濁音を調べます。特に背面です。以前はこの濁音界の上昇だけで胸水の判断をしていました。気胸の診断は結構難しいです。

 何といっても胸部Xpは基本です。原則として気体は黒く、炎症や液体は白く写ります。まず横隔膜の上縁で、胸の横径と心陰影の最大径の比を見ます「普通は50%以下」。縦隔「中央部」の観察ではサルコイド結節や胸腺腫瘍で大きくなります。また同様に動脈瘤「解離性を含む」でも大きくなります。胸部や腹部の動脈瘤が破裂すると、人は簡単に死にます。救急では「地雷」といっていました。肺の動脈や静脈の解剖も重要です。とにかく肺門部は肺癌を含め、多くの病変があります。

 当時はまだピュアなリウマチ熱での弁膜症「特に僧帽弁狭窄症」があり、聴診は重要でした。

 雑音の強さも4段階に分類していましたね。抗生物質のおかげで殆どなくなりました。

 横隔膜の端っこで凸凹かどうかで胸水や血の有無を見、上肺野で気体の有無を見ます。肺野は含気の多い、閉塞性肺疾患や喘息では暗く、肺炎 肺ガンの類では白っぽく映ります。腫瘍病変で1cm以下はかなり難しい。気胸のさいたるものは緊張性気胸です。気胸の空気圧が心臓や大血管を圧迫してショックになります。

 

 次に腹部に移ります。まず視診です。膨隆しているか。腹水が溜まると膨張します。臍の辺りで拍動性の大動脈を触れます。大きければ動脈瘤です。膵炎の時に左側が赤黒くなります「グレイターナー徴候」。門脈圧が高くなると臍周囲の血管が拡張し「メヂューサの頭」と言われます。この時痔出血の合併が多い。重要なのは「反跳痛」です。左の季肋下と正中と虫垂部が特に大事です。

 肝臓「どれだけ大きいか 表面の様子=硬さや凸凹」胆嚢はこの季肋下に、膵炎や胃 12指腸のトラブルでは正中部に圧痛や反跳痛があります。虫垂部は分かりますね。それだけで診断したこともあります。

 腹部のレントゲンですが巨大胃や胃下垂や巨大大腸の診断をしました。バリウムや注腸もありありますが、二重造影よりも内視鏡検査の方がはるかに確実です。医療機器の進歩は目を見張るものがあります。必ずに椎体を見ます。それで骨粗鬆症の診断がつきますし「黒っぽくなります」、最も重要なのは動脈分枝や臓器のメルクマールになるからです。

 腹部の聴診は腸の活動の度合いを反映しています。一般に炎症があると大きくなります。背中で腎動脈の音が聞こえる事があります。子供は後ろ向きに立たせ、お辞儀をさせて背中の凸凹を見ます「脊柱の曲がりがあるか」。腹部の診察では診察台に寝て行います。

 

 次に下肢に移っていきます。まず両そけい部です。ここには内側から静脈 動脈 神経があり、触診が可能。リンパなどの触診を忘れないように。例の間接的打鍵方で筋肉「大腿4頭筋」の緊張を見ますが、「膝蓋」反射もみます。同様にアキレス腱も。以前にアキレス腱にコレステロールが溜まりやすいと言いましたね。拍動は膝か動脈で見ますが、後頸骨動脈「くるぶしの近く」や足背動脈で動脈硬化の度合いを推し量ります。検査に心電図と連動したABIなるものがあります。

 仰向けに寝て、伸ばした下肢をあげさせると、腰痛が強くなるなら「ラセーク陽性」とします。あと股関節と膝を90度にし「股関節をやや傾ける」のあとに下肢を急に伸ばす。「腸腰筋サイン」です。腸腰筋膿瘍なんかで陽性となります。もう一つ必ず行うのは「バビンスキー反射」です。足底の小指側を強く擦ると内側に曲がるという原始反射です。

 患者さんでは腰痛を訴える方が多い。そういう人は結局原因がわからない事が多い。遅れましたが「浮腫」も訴えが多いです。浮腫には2種類あります。肝臓疾患や腎臓疾患やホルモン異常などの全身性浮腫と、圧迫や閉塞の片側性浮腫。すねや足背を指で押してみて窪みかたを診る、pitting かどうか。正常の人でもありますね「靴下の跡とか」。

 窪みがないのは「粘液水腫」といいかなり特徴的です。私はこれと問診「疲れやすい とか覇気がないとか」で若い女性の「甲状腺機能低下症」を診断したこともあります。

 蛇足ですが浮腫があると、体重の10%が皮下にあるといわれます。

 下肢の拍動は膝下動脈「やや深い」と「後けい動脈」踝の近くで内側 と足背動脈を診る事が多い。

 下肢の静脈で特徴的なのは、深部静脈と表在静脈との間に「交通枝」があり、逆流しないように弁があることです。

 

 エコノミー症候群で有名な「深部静脈血栓症」はこのふくらはぎのテストで解ります「ホフマンテスト 足を背屈させると痛い」。皆さんは立ったり歩いたり階段を上ったりに重要な筋肉は何だと思いますか。意外にも「ヒラメキン ふくらはぎ」です。大腿四頭筋などは最大の筋肉ですが、むしろ「維持」するような感じです。

 他にも閉経前の女性で「子宮筋腫」があり、繰り返す貧血がある人や、内膜症でいろいろなところに内膜が迷入しているのか月経にあわせ、痛みや気胸を言う人もいました。

 以上思いつくままに、述べてみました。実際は患者さんは局在性の訴えが多く、病態の理解や診断にはあまり苦労しません。

 他にもいろいろとありますが、今ではCTさまさまです。診断に迷えばCTをとる傾向であるのも事実です。でもやはり「問診」「視診」「触診」「テスト」などの「理学所見」は大切です。オンラインでの診察に反対な理由が少しは解りましたか。