ちょっと専門ー4 | 脳卒中(脳幹出血)医師 moonkikicocoのブログ

脳卒中(脳幹出血)医師 moonkikicocoのブログ

約72歳。12年ほど前に脳幹出血で倒れました。合併症はたくさんありますが、何とか生きています。つまらないと思うかもしれませんが、愚痴っぽいブログですが、よろしく。

 今日は不整脈の話でもしようかな。病気シリーズも4回目です。一般に脈拍が50以下(徐脈)と100以上(頻脈)に分けます。さて徐脈性不整脈ですが、ほとんどの場合PM(ペースメーカー)治療になります。対象としては、頻脈と同じEPS(電気生理学的検査)という手技で診断がつきます。股動脈などからアクセスして心内心電図を取ります。いろんな刺激を加えることもあります。洞不全(洞結節の細胞が機能不全)、とかブロック(房室結節の)。頻脈のうち、洞結節の異常興奮は基本的にお薬で対処します。心房内を一定の回路で回る心房粗動やPSVT(昔はWPW症候群といって、Kent束(心房ー心室間の異常な接続))がある場合、EPS後にアブレーションで完治します。心房細動については後で述べます。次に心室ですが、一番お目にかかるのは、心室期外収縮です。例のドキッと来るやつです。ほとんどの場合(1000~3000発/㏠)無視しますが。一日に10000発になると20%ぐらいの人が、心不全になります。抗不整脈薬は副作用も強く、なかなか使い難いですね。よくあるのはメキシチールぐらいですかね。しかし効果は不確実です。心室内の刺激伝導系の旋回路や解かりやすい場所がフォーカスでは、アブレーションが奏功するでしょう(50~60%)。心室頻拍 心室細動ではPMのようにICD(除細動器)を埋め込むこともあります。しかし患者さんは、生死を分けた判断にも関わらず、ノイローゼ気味になることが多いです。

 さて心房細動(Af)ですが、頻度は高く、高齢者の10~20%にあるといわれています。心房筋が不規則に興奮し(毎分300~500)、フォーカスは左の肺静脈入口部が多いです。ここで医療者にもありがちな誤解があります。Afは必ず再発する、一生付き合う不整脈だという事です。しかし若い人や症状のきつい人は、何度かアブレーションを試みても良いでしょう。大体成功率は80~90%くらいですか。昔、持続性心房細動は、調律に苦労する群と比べても、生命予後の変化はなかったという報告がありました。まず抗凝固療法(ワーファリンでINR2くらい)。最近ではDOACというお薬を使っています。高齢(80歳以上)や痩せている人(60Kg以下)、腎機能の悪い人では、半分の量にしているようです。