ちょっと専門ー2 | 脳卒中(脳幹出血)医師 moonkikicocoのブログ

脳卒中(脳幹出血)医師 moonkikicocoのブログ

約72歳。12年ほど前に脳幹出血で倒れました。合併症はたくさんありますが、何とか生きています。つまらないと思うかもしれませんが、愚痴っぽいブログですが、よろしく。

 毎年患者さんが約一万人増え続き、2030年には120万人と言われ、別名心不全パンデミックと言われています。そのうち30%が高齢者です。高齢社会に入った日本では、これからますます増えるでしょう。実際毎年約7万人の人が心不全で亡くなっています。ちなみに癌で多い肺癌では毎年7万人と同数です。

 心不全の自然経過は何回か入退院を繰り返しながら、その度に決して元に戻らず次第に悪くなり、やがて亡くなるというものです。ですから治療の大きな目標に、破綻して入院をしない事があります。ですが現在心不全のコントロールの治療方針はほぼ確立しています。

 私が学生の頃は、金科玉条のごとく利尿剤とジギタリス製剤でした。研修医の時にACE(またはARB)が加わり、大学に戻っているときに、従来禁忌とされていたβ遮断薬が治療薬として加わり(実際実験では全ての種類のβ遮断薬を使っていました)、現実にどのような薬が使われているかは知らないのですけど、β遮断薬については動物実験の結果ですが、β非選択性でISAが(+)が良いようです。その後はMRA(ミネラルコルチコイド受容体阻害薬)ぐらいでしたか。

 しかし、10年近く経った最近、サルビトール=バルサルタン(ARNI)とか洞結節細胞に直接働くイバブラジンが脈拍>75の心不全に適応され、市販されています。さらには始め糖尿病薬として開発され、現在糖尿病と関係なく心不全の治療に使われる、SLGT-2阻害薬などスーパードラッグがでてきて、かなり選択肢が広がりましたね。

 さて破綻して入院になるのは、ある統計によると、約60%が患者さん側の要因だということです。例えば、疲れている 服薬をさぼる 不眠であるとかです。普通のクリニックでも非侵襲的方法(心エコー)で、心臓の状態をほぼ把握できますし、採血でBNP(<200)とか観ることもでもできます。つまり心不全をフォロー出来ます。

 医療経済的に見ても、心不全 循環器関連は、25%近くでそれを抑制するのは大変意義があります。