二月御園座大歌舞伎 | 翡翠のブログ

翡翠のブログ

日々の徒然をつづっています。コメントは承認後公開させていただきます。

今日は、二月御園座大歌舞伎を観に御園座に行きました。

 

二月御園座大歌舞伎 市川海老蔵改め 十三代目 市川團十郎白猿襲名披露 八代目 市川新之助初舞台

 

 

今回は古典の作品がバラエティ豊かに並んだプログラムで、昼夜選べなくて通しで両方観ることにしました。

市川團十郎白猿襲名、八代目 市川新之助初舞台の祝幕。

 

【昼の部】

◆一、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)
 大川端庚申塚の場    河竹黙阿弥 作
お嬢吉三 廣松(1日~9日) 莟玉(10日~17日)
お坊吉三 莟玉(1日~9日) 廣松(10日~17日)
和尚吉三 男女蔵

 

初めて観る演目。登場する3人が3人とも悪人で、それも鬼平犯科帳に出る鬼平側の手下みたいな感じでもなく、本当に悪そうな。のっけから、早速お嬢吉三は自分を助けた女をだまして100両奪って堀に落としていますし。このお嬢吉三、女性の振りしているときは女形らしく奇麗な女性らしい声とふるまいで、そこからガラリと男性声になるところが面白かった。また悪い3人なのだけれど、セリフが七五調で耳に残るカッコイイセリフ回しで歌舞伎らしい。「月も朧に白魚の・・・」など聴いたことがあるように思いました。設定が節分の夜だそうで、時期的にも今にあった演目でした。

 

◆二、鯉つかみ(こいつかみ)

  湧昇水鯉滝 石川耕士 補綴 藤間勘十郎 演出
滝窓志賀之助/実は鯉の精 右團次

小桜姫 玉太郎

 

これも多分初めて観る演目。場面が滋賀大津の石山寺で、セリフにも紫式部が源氏物語を書きとか、離れた恋人を光る君と読んだりと、ちょうど大河にピッタリの演目かと。

去年に観た水辺で争う演目「怪談乳房榎」は演出が「本水」で実際に舞台上で水を使っていたのですが、

今回は鯉の精と争う場面ではドライアイスを水に見立てていました。1場では鯉の精と本物が入れ替わるという早変わりもありましたが、今回は早変わりも1回で、それがメインの演出では無い感じ。面白かったのは2場で、てっきり人型の鯉の精と戦うのかと思いきや、鯉の被り物が登場して、思わず笑ってしまいました。真剣な芸を観て笑うのがありかどうか、わからなかったのですが、しかし面白くて。さらに途中からは鯉の精が小さくなって、もう人は入らず、鯉のぬいぐるみをかかえて戦って、また笑えてしまいました。面白かった。


◆三、歌舞伎十八番の内 外郎売(ういろううり)
 八代目市川新之助初舞台相勤め申し候 野口達二 改訂

外郎売実は曽我五郎 初舞台 新之助
大磯の虎 魁春
工藤祐経 梅玉

 

市川海老蔵さんの長男、堀越勸玄君が八代目市川新之助を襲名しての初舞台の演目。花道から登場した姿は可愛いながらも決まっていました。外郎の効用の早口言葉もばちりだったし、先が楽しみ。

最初、外郎売というタイトルとあらすじだけでは気が付かなかったのですが、プログラムの解説とあらすじを読んだら、富士の巻狩り、大磯で休憩、などの言葉で、能でも観る曽我兄弟ものであることに気が付きました。ただ、最後に祐経が兄弟の孝心に感心し、兄弟に潔く討たれようという覚悟を示すという部分は、よく見る曽我もののキャラクターとは異なるように思います。


◆四、吉野山(よしのやま)

 義経千本桜
佐藤忠信実は源九郎狐 海老蔵改め團十郎

逸見藤太 九團次
静御前 雀右衛門

 

昼の部のラストは吉野山、十三代市川團十郎を襲名した海老蔵さんが源九郎狐です。舞台の背景は一面の桜景色で天井からは桜の飾りが下がり、桜の季節を先取りした美しい舞台でした。義経線本桜は、これまでにも伏見稲荷の段の「鳥居前」、道行初音旅の段の「吉野山」、河連法眼館の段の「四ノ切」などを観たことがあります。この「吉野山」の段は舞が中心なので、私にはあまり得意でない演目なのですが、実は狐が化けていることで、踊りやしぐさに、ちらりちらりと狐っぽいしぐさが入るところは面白いです。

 

休憩途中でお昼ごはんと、おやつは御園座アイス最中。

 

【夜の部】

◆一、相生獅子(あいおいじし)
姫 廣松
姫 莟玉

 

女方版の石橋。奇麗ではあるのですが舞中心なので私には不得意な演目。あと、どうして当時、石橋を女方版で作ったのかな。

◆二、慶安太平記(けいあんたいへいき)

 河竹黙阿弥 作 今井豊茂 補綴
丸橋忠弥 男女蔵
女房おせつ 廣松

 

由井正雪が幕府転覆を計画した「慶安の変」に加担した丸橋忠弥を主人公にした歴史もの。1場の忠弥が飲んだくれているのは本当に飲んだくれているのかな、忠臣蔵の大石倉之助のように装っているのかな?

二幕2場の捕り物の場面が長いのですが、最初のうちは歌舞伎らしい、すごくゆっくりで型を見せる殺陣なのですが、途中からどんどんダイナミックになっていって、迫力もあって面白かった。
   
◆三、 十三代目市川團十郎白猿 八代目市川新之助

   襲名披露 口上(こうじょう)
海老蔵改め團十郎
初舞台新之助
幹部俳優出演


◆四、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶 海老蔵改め團十郎
富樫左衛門 菊之助
源義経 雀右衛門

 

今回、一番楽しみだった外せない演目。中村吉右衛門さんの弁慶も、松本白鸚(中村幸四郎)さんの弁慶も、すごくカッコよくて大好きだったのですが、團十郎さんの弁慶も迫力あって、かっこよかった。加えて、可笑しみ、コミカルっぽい動きもって面白かったし。歌舞伎の勧進帳では、富樫はわかっていて見逃す演出に思えます。最後の別れていくところ、そして花道を退出する弁慶も、すごく良かったです。

 

後半も、合間の休憩に夕飯を食べたり、おやつは芋きんつば。

 

あらすじ、解説を読みたくてプログラムを購入したのですが口絵カラー写真で、市川團十郎白猿や八代目 市川新之助の襲名披露の写真や舞台写真、中カラーには襲名イベント写真やインタビュー、代々の團十郎などの資料もあって読みごたえがありました。