日本の古典 胡弓と箏~ゆらぎときらめき | 翡翠のブログ

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今日は、サラマンカホールへ。

日本の古典 胡弓と箏~ゆらぎときらめき

出演/
木場大輔(胡弓)
日原暢子(箏)

 

プログラム

越中おわら節(胡弓独奏)
春の海(胡弓・箏合奏)
千鳥の曲(胡弓・箏合奏)
琵琶行(二十五弦箏独奏)
郡上組曲 かわさき・ヤッチク・猫の子(四絃胡弓・箏合奏)
焔 Ⅰ鼓動 Ⅱ篝火 Ⅲ昇華 (四絃胡弓・二十五弦箏合奏)
アンコール ミッションインポッシブル

 

胡弓は三本の糸を弓で弾く楽器。形は三味線に似ていますが、ヴァイオリンやチェロのように弓で糸をこすって音を出します。

 

1曲目の「越中おわら節」では、舞台袖から音がするなあと思ったら、演奏しながら歩いて入場していらっしゃいました。ギターのようにストラップをかけているようには見えなかったので、体で楽器のボディ先端を支えながら、歩けるということかな?踊りの曲のようですが、踊りと一緒に演奏しながら歩くのだろうか?楽器の指板部分を回転したり、楽器自体を傾けて弓と接する角度を変えて移弦するようにみえました。演奏後の説明によれば、弓も、1曲目のような民謡では短い弓で、2曲目のようなクラシックな曲は長いものに持ち替えるそう。また、胡弓は、琴や三味線の奏者が、長い音が欲しいときに楽器を持ち替えることが多く、胡弓専門の奏者は少ないのだそう。

 

春の海は、お正月に演奏される有名な曲。尺八のパートを胡弓にアレンジしていました。

千鳥の曲では、和歌が2首引用され、それを琴の方が弾き歌うというのが面白かった。

琵琶行では、琴が二十五弦箏に変わり、演奏方法も変わり、音、音域も変わりました。

 

ここまでの演奏も良かったのですが、特に心に残ったのはここから。ここまでは、どちらかというと伝統的な曲、奏法、音だったのですが、ここからはモダンな、新しい古典という感じ。

郡上おどりの郡上節から3曲が取り上げられている郡上組曲は、もともとが民謡なので、曲自体は伝統的なのでしょうけれど、奏法や音が、とても今っぽいというか、ジャズで演奏されてもおかしくないかっこ良さ。特に「ヤッチク」と「猫の子」が、胡弓も箏もかっこよく。

 

さらにオリジナル曲の「焔」が圧巻でした。背景のパイプオルガンが赤く照らされ、まさしく炎が火焔へと燃え上がっていくようで。実際の炎をイメージしつつ、心の中の想いや情熱も伝わるようで。今、放映されている大河ドラマの「光る君へ」の主題歌になっても合いそうな感じでした。

 

そしてアンコールは、スパイ大作戦のミッションインポッシブル。え、まさか、と思いましたが、これまたカッコイイ。箏も着物をきていらっしゃるのに、打楽器を演奏している感すらありました。

 

伝統的な古典としての音楽、哀愁を帯びた胡弓の音も大切にしつつ、こんなこともできる!という新しいものへの挑戦もあり、予想以上の面白い演奏会でした。